岡田斗司夫ゼミからのお知らせ
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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/01/07
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今日も『解決!ズバッと』をお届けします。
今回は『「お金」って何だろう?』 からです。
僕が質問し、山形浩生先生に答えてもらった対談を、Q&A形式で、分載しながらお届けします。
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岡田斗司夫さん/56歳/作家/「人口が減少する世界で、経済成長は可能か?」
岡田 ちょっと話がずれてしまいましたけど、経済政策というのは、世の中にお金が回るようにして経済的に成長するために行うわけですよね。これから人口が増えていく発展途上国ならいいんでしょうけど、日本のようにこれから人口がどんどん減っていく国で、こういう経済モデルは成り立つんでしょうか?
日本でも高度経済成長期なら、企業が銀行からお金を借りて小規模から中規模へ、さらに大規模へと事業を拡大していくのはハッピーストーリーだったと思うんです。でも、人口が減っていく場合、ハッピーとは言えないのではないでしょうか?
例えば、あるSNS企業が大成功して、100人規模から1000人規模へと成長したとしますよね。業界トップの企業で働く人は1000人だけど、その陰では弱小SNSが潰れまくって数千人の失業者が出ているかもしれない。
スーパーマーケットチェーンのウォルマートだってそうでしょう。ウォルマートが進出してきて小規模な商店が潰れたからといって、ウォルマートが雇用を保障してくれるわけではないですよね。経済が縮小していくときは、トップ企業だけが残り、その他の中小企業は潰れて失業者が増えることになりませんか?
【山形浩生先生の回答】
山形 それは業態によると思います。産業分野によっては企業が潰れることもあるでしょうが、どの業界を見ても必ずトップ企業が独占になるわけじゃありませんよね。人口が減っているなら労働人口も減っていくわけですから、昔ほど失業者が出ないかもしれない。それは一概に言えないと思います。
岡田 印象論で申し訳ないんですけど、事業規模を大きくすることイコール経済発展だったのは、中小企業と大企業が共存できた成長期だったからではないかという気がしています。今後は小さくなっていくパイの取り合いになるのでは?
山形 そういう問題を解決するための考え方の1つが、金利を下げようというものです。パイの大きさは決まっているわけじゃない。金利が下がるほど企業はお金を借りやすくなりますから、さまざまなプロジェクトを実行しやすくなる。
結果的に、雇用される人の数も増えるわけです。インフレにすることで、お金の価値は下がりますよね。アベノミクスでは、インフレ期待を作って、実質的な金利を下げてマイナスにすることを目指しました。そうすれば、企業の設備投資や消費が盛んになると考えられたのです。
岡田 そういう状態を長期的に持続させることは可能なんでしょうか?
山形 米国でもインフレ率を上げて実質金利を下げ、企業の投資を刺激しようとしています。これをいつまで続けるか、5年なのか、10年なのか、その出口戦略をどうすべきか、関係者はあれこれ議論はしていますが。
岡田 10年くらいインフレが続いても大丈夫なんですか?
山形 日銀はこれまで、何があろうとデフレを続けてきました。その力をもってすれば、過剰なインフレは防げると思います。
岡田 えーと、インフレになるとお金の価値がどんどん下がるから、お金の貸し手としては、金利が安くても今持っているお金を誰かに手渡したいわけですね。個人にしてみたら、安いうちに買ったほうがいいから借金してでもモノを買うことになる。なんだか、『ファウスト』の悪魔、メフィストフェレスと取引しているみたいだ(笑)。僕の親が聞いたら、「借金はいかん!」と怒りそうです。
山形 そうなんですよね。
岡田 確かに、インフレ率が高かった1960年代は景気がよかったなあ。
山形 いや、当時のインフレは結果であり、景気がよいからインフレになるんですけどね。
岡田 それなら、意図的にインフレを起こしてもあまり意味がないのでは?
山形 そういう意見もあります。ただ、インフレ率を意図的に上げるプロセスで市中に流れるお金の量が増えて金利が下がり、それによって景気がよくなった例はいくらでもあります。
リーマンショック以降、米国は量的緩和策を採ったことで、ある程度景気を上げることができたと。米国の量的緩和策は不十分だとも言われますが、それでもしないよりはだいぶマシだったという見方が多いですね。
岡田 インフレにすることで景気がよくなった歴史的な例としては、どんなものがあるんでしょう?
山形 20世紀の初頭、世界経済は金本位制で動いていました。価値を裏付ける金がないと、お金を発行できないという制度ですね。1929年から始まった世界大恐慌に対応するため、英国は1931年に金本位制を停止、各国も次々と金本位制から離脱しました。
金の担保というインフレを抑えていたものがなくなったことで、市中に流れるお金の量を増やすことができるようになり、世界の景気は回復していったのです。景気がよくなったのが先か、インフレが先かは経済学者によって議論がありますが、インフレが景気対策になった例の1つだとは言われています。
【まとめ】
経済成長可能かどうかは業態による。景気をよくする方法の1つは、インフレにして実質金利を下げて企業がお金を借りやすくし、設備投資や雇用、消費を刺激すること。
【最新著作】
山形浩生先生との対談本『お金って、何だろう? ぼくらはいつまで「円」を使い続けるのか?』は、僕が山形先生にどんどん質問して教えを乞う、という形式で進行しています。
このブロマガでは、その第二章を読みやすいサイズに分割して、順次お届けします。「経済の根本の根本」を、常識や思い込みにとらわれず、とことん質問し、かみくだいて、身もふたもなく解説してもらった第二章。
ぜひ、お気軽にお楽しみ下さい。
じゃあ、また明日。バイバイ!
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