<おっくん>
自分がいちばんつらい時に学んだことは?
<山田玲司>
俺あれ聞いてみたい。前にBSマンガ夜話で、人生で一番楽しかった時期が公園で育児しているときって言っていましたよね。
【回答】
<岡田斗司夫>
人間は徹底的に損得でしか生きられないってことを学びましたね。
<山田玲司>
それはどういう意味ですか。
<岡田斗司夫>
周りの人が、思うようにやってくれないとか、自分に対してきついっていうのがあるじゃないですか。それらは全て、言語化可能で論理的に理由があるんだ。
とことんみんなは理由があって動いていて、俺のことを否定するにしても何にしても、全てに理由があるんだから、情でとか、感情でどうしてもっていうことで納得しちゃダメだ。
すべての人間の裏側には感情が発露するだけの原因となっているメカニズム、論理がある。それを思い知らされたの。
映画という情念はフィルムとか照明とかテクニックによって支えられている。
同じように感情っていうのも、感情の出し方とかどんな言葉を使うのは感情レベルでも、なんでこういうことするのかっていうのには徹底的に合理的な理由があるって。
だいたい辛い時とか、鼻がビューンと伸びてボキッと折られた時にそういうことを思い知らされている。
<山田玲司>
具体的な時期とか。
<岡田斗司夫>
具体的にいうとね、アニメを作れなくなったとき。
「トップをねらえ!」作って「ナディア」作った後、アニメを何も作れなくなって自分の中が空っぽになったとき。
周りの人間は、アニメ作らなきゃ困るって言い出すわけですよ。
俺たちアニメ作りたくて集まったはずなのに、何を作ればいいのかって言い出す。
いいじゃなくて、作りたいもの作ればいいのに、もう自分もそのスパイラルに入っていて、6ヶ月ぐらいするともう抜けられない。
そうなるには段々金銭的に追い詰められているとか、企画通らないとか合理的な理由があって、全員登場人物にバックスペックがあって、でもそれが分かったからといって抜けられない。
半年か1年くらい何もないのに戻す感じ。何もないところから企画作る。あれはつらかったですね。
<山田玲司>
作りたいという衝動がなくなったんですか。
<岡田斗司夫>
それは本来クリエイターからあることで、俺はプロデューサーだからそれを聞いて面白くするか「俺好みにしてよ」って。
アーティストがこういうことやりたいって言ったら、オーダーする側が「こういう風にして」って言って、向こうが「それは思いつきませんでした」「じゃあそれを整えてやるよ」ってそいつの力×5倍ぐらいにして、俺のものにするっていうのが僕のやり方だから。
それがアーティストからも出てこないし、自分の方から出してくれって言われたら、そりゃでねえわ。
<山田玲司>
マンガ打ち切られた後、何ヶ月かそうなりますね。
まだキャラクターが残っていて、何描きたいのか分からない時期って定期的にありますよね。 (続く)
【まとめ】
アニメを何も作れなくなったときがつらい時期で、人の感情には原因となるメカニズム、合理的な理由がある、ということを思い知らされた。