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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「マンガ家は儲かるの? 誰もがワンピース描けるわけじゃないけど」
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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「マンガ家は儲かるの? 誰もがワンピース描けるわけじゃないけど」

2015-07-14 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/07/14
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    おはようございます。

    今日は『解決!ズバッと』はお休み。
    情報サイト『探偵ファイル』に掲載したコラムをお届けします。


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    「マンガ家は儲かるの? 誰もがワンピース描けるわけじゃないけど」

    (元記事はコチラから)


     発売中の少年ジャンプで、『ワンピース』がギネス入りした、と特集している。
     「1人の作者が描いたコミック累計発行部数が世界最多」としてギネス世界記録に認定された。
     ギネス・ワールド・レコーズによると、昨年末の時点で、約3億2086万6000冊を売ったことになる。

     まぁ「1人の作者が描いた」という注釈が入るのは、複数スタッフ制度のアメコミなら「X-MEN」の5億部とか、バケモノみたいな作品が他にあるからだ。

     いまや唯一のジャパニーズドリームと言われるマンガ家業。
     「ワンピース」だったら原稿料で年間5000万。
     単行本の印税で年間13億以上。
     テレビアニメ1話あたりの原作使用料が30万だから、年間で1500万。
     映画版でも使用料で100万円はもらえる。
     一番大きいのはキャラクター化権などのグッズ販売。
     これが15億程度。
     海外での収入はあんがい少なくて2億円。
     ざっと合計で30億円以上が【毎年】の収入になる。

     「ドラゴンボール」なんかは連載が終わったのはもう20年前なのに、いまだキャラクター権での収入が年間5億以上だとか。

     と、ここまでは「誰でも知ってる売れているマンガ家」の話。
     では売れていないマンガ家や、「そこそこ」のマンガ家は?

     日経BPが以前に面白い調査をした。
     まず、いま日本にはマンガ家が何人いるのか?
     セルシスの川上陽介氏によると「プロが5000人、アマチュアは20~30万人」だと言う。
     セルシスはマンガやアニメのIT化でトップメーカーだから、この数字は信じて大丈夫。

     プロのマンガ家5000人の年収は、わからない。
     というよりあまりにバラバラで平均値を求める意味がない。
     ただ言えるのは「20世紀中に単行本を出した作家は、比較的楽に暮らしている」ということかな?

     たとえば僕の知り合いの、マンガ家の話。
     Aさんはマンガ家としては知名度は低い。
     どっちかというとマンガに関するエッセイやテレビ出演などが有名。
     でもマンガ関係者以外に名前が広く知られている、というほどではない。
     しかし都内に持ち家があり、リゾートに別荘もある。

     Bさんは都心の超一等地に豪邸がある。
     マンガ家としての知名度は高いし、アニメ化も経験している。
     すべて20年以上前の作品だけど、生活には困っていない。

     Cさんはいまだに「現役でマンガ家であること」にこだわっている。
     Cさんもヒットを出したのは20年以上前。
     最近はネットなどで作品を公開している。

     3人とも、20世紀のウチに、つまり子ども人口が多くてネット影響力が少なかった時代に単行本が出せた。
     だから当時の子供たちなら誰でも名前を知っていたし、いまその子供たちが編集者や雑誌・新聞の記者になって彼らに仕事を発注してくれる。

     この場合の仕事とはマンガとは限らない。
     マンガよりもずっと原稿料単価が高く、コスパの良いイラストの仕事。
     テレビタレントとしての仕事。
     エッセイストとしての仕事。
     そういうマンガ家近辺の仕事で、かなり喰えている、というのが「そこそこのマンガ家」の実態だろう。

     AさんやBさん、Cさんは「5000人のプロマンガ家」番付で言えば、かなりトップクラスだ。
     トップ50人ではないけど、間違いなくトップ300人に入るだろう。

     昭和時代のマンガ家は、これからも仕事には不自由しない。
     当時、ファンだった子どもや青年たちが、これからも彼らにコスパの良い仕事を振るからだ。

     それに比べて平成のマンガ家はかなり不利だ。
     5年ほど前まで大メジャー誌で連載していたDさんは、単行本も昭和時代ほど売れない、と嘆いていた。
     子ども向けのコミックでも、初版刷り部数で1/3とか1/5程度だそうだ。

     だから単行本化されても、大ヒットでなければ家は建たない。
     アニメ化の話はいっぱいあったけど、いつのまにか「昭和のマンガ」がアニメ化されたり、アニメ会社オリジナルの作品が枠を持って行ったりで、けっきょくは流れてしまった。
     Dさんは「いま、喰えない」とはっきり言う。

     Eさんはマニア誌で人気があったマンガ家だ。
     単行本はかならず増刷がかかり、当時のファンたちはEさんの本をぜんぶ揃えるのが当たり前だった。
     しかしマニア誌が次々と廃刊・休刊になり、Eさんの活躍の場は減った。
     平成の特徴は「いま描いていない作家は、すぐに忘れられる」だ。

     子ども人口が少ない上に、スマホの普及でマンガ以外の娯楽も多い。
     「むかし、好きだったマンガ」に忠誠心を持ってお金を払い続ける平成キッズは、昭和に比べて圧倒的に少ない。
     Eさんはけっきょく、マンガ関連産業のIT企業に転職した。

     マンガ家は、いまだにジャパニーズドリームだと僕は思う。
     経済規模や売り上げだけじゃない。
     その成果、作品性から得られるものがあまりに多い。
     僕たちは正義や道徳を、まずマンガで学ぶ。
     悪徳や堕落も、マンガが教えてくれる。
     矮小化したアートやアカデミズムなどくそ食らえ。
     マンガこそ日本国民の「最大の共有資産」であり「国民の物語」なのだ。

     これらすべてが「たった5000人のプロ」の手で生み出されている。
     しかし平成にデビューするマンガ家たちの将来は、上に書いたとおりあまり明るくない。
     「ワンピースギネス入り」のニュースを聞いても、僕の気持ちがあまり明るくなれないのは、こういう事情だ。


    以上、情報サイト『探偵ファイル』よりお届けしました。
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