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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/03/21
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おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
岡田斗司夫が、1995年から2001年に「テレビブロス」誌で連載していた『オタクの迷い道』から、セレクトしてお届けします。

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連載第4回「濃ゆいオタクたちの天国『濃縮おたくランド』」 


 オタクにも上下がある。オタク度は「濃い」「薄い」で表現される。
 濃い、というのはオタク文化に対する「情熱が激しい」と言う意味か。
 単に「好き」とか「面白かった」では終わらない、終われない、ありあまる気持ちとも言える。

 オタク道を極めるために、何を犠牲にしているかも重要なチェックポイント。
 クーラーはなくてもトランスフォーマーのLD−BOXがあるような人は「本当に濃い人」だ。尊敬しよう。

 パソコン通信・ニフティサーブに「濃縮おたくランド」という会議室がある。
 濃縮、の名に恥じずさすがに濃い人ばかりだ。

 オタクというのは「一席ぶってナンボ」だし、濃いオタクほど語りまくる。
 ところが濃くなればなるほど、人の知らない知識を仕入れて、他の人がついてこれない。
 その為せっかくの演説も虚しく宙を舞う。
 いつも初心者オタクに「もっと修行しろ!」と心の中で叫ぶ濃いオタクたち。
 彼らに安らぎはないのか。

 が、「濃縮おたくランド」なら大丈夫。
 「セーラームーン」?薄い薄い。やっぱり土曜の夜は「恐竜家族」だ。
 ジム・ヘンソンスタジオの技術を見よ。
 いやいや「シンプソンズ」だね。アレが判って一人前だ(何の?)

 ちょっと待て、本当に「濃い」モノは、もっと日常にあるぜ。
 「ドラえもん」の本橋演出はどうだ?
 いや藤子F不二夫なら「チンプイ」じゃないか?
 幼児番組には案外濃いネタが隠れてるぞ。
 そういえばポンキッキーズで…。

 「濃縮おたくランド」は果てしなく煮詰まり、カルピスで言うと「原液」を通り越して、箸が立ちそうなぐらい濃くなってしまった。
 もちろん、そんな濃い話についてくるヤツなんてほとんどいない。
 
 今や、すっかり書き込みの減ってしまった会議室。オタクの天国ってこんな静かなところなのか。


以上、『オタクの迷い道』よりお届けしました。