13日に最終回を迎えたドラマ『ラヴソング』(フジテレビ系)。主演の福山雅治の結婚によるファン離れが予想以上に大きかったのか、平均視聴率8.4%と月9最低記録となった。だが、ヒロインに抜擢されたシンガーソングライター藤原さくらの演技は"掘り出し物"と評価する声も多い。
彼女が演じた佐野さくらは吃音で、かつ両親がいなくて施設育ち。人生に嫌気がさしていたとの設定で、演技経験がない新人だと内にこもった暗い演技になりがち。だが藤原は内面的には活発なところをうまく表現し、福山が演じる臨床心理士のひと言にときめいたり落ち込んだりするのは、恋する乙女らしさが出ていた。彼に「せ、先生が好きで好きで。もう大好きなんです」と告白して受け入れらなかったシーンは、切なさが涙を誘った。
福山作詞・作曲の主題歌「Soup」もオリコン4 位とヒット。もともと自作曲によるアルバムも発売していた藤原だが、一般層にはこのドラマで本業の歌手としても知られるようになった。福山とは同じ事務所でもあり、『ラヴソング』で彼女の売り出しも図られたのは当然として、気になるのは今後も女優活動を続けるのか?
藤原は新人ではないが、新人シンガーを音楽系ドラマや映画とシンクロさせて売り出す手法は過去にもあった。
たとえば大原櫻子は2013年公開の映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』に、歌手としての才能を見出されるヒロイン役で出演。劇中バンドMUSH&Co.名義でシングルリリースしたのち、自身の1stシングル「サンキュー。」で歌手デビュー。以来、歌手と女優の両輪で活躍している。
遡れば、中島美嘉が2011年のドラマ『傷だらけのラブソング』(フジテレビ系)で歌手を目指す役で女優デビューと共に、主題歌「STAR」で歌手デビューもしている。その後は歌手活動を中心にしつつ、やはりシンガー役の映画『NANA』に主演したりも。1992年のドラマ『ウーマンドリーム』(フジテレビ系)では、主演の裕木奈江が劇中で"裕木奈江"という芸名でデビューし、自身も挿入歌「泣いてないってば」で本格的に歌手デビュー。女優業と並行させながら一時は大人気となった。
男性では、吉川晃司が1984年の映画『すかんぴんウォーク』でスターに成り上がる役でデビュー。主題歌で劇中でも歌った「モニカ」がそのまま彼自身のデビュー曲に。以後、音楽活動に専念した時期もあったが、近年は『下町ロケット』(TBS系)などで再び俳優としての注目も高まっている。
一方、藤原が音楽を志すきっかけともなったYUIは、メジャーデビューの翌年の2006年公開の映画『タイヨウのうた』にストリートで歌う役で主演。主題歌「Good-bye days」は彼女最大のヒット曲となり、日本アカデミー賞で新人俳優賞も受賞したが、結果的にYUIの女優活動はこの1本のみ。
『ラヴソング』撮影中の藤原は「今はこのドラマに集中するだけ」と語っていて、今後は女優業に関してどんなスタンスを取るのかわからないが、『ラヴソング』では表情豊かな演技を見せていただけに、また違う役でも見てみたいところだ。
文・斉藤貴志
■参照リンク
藤原さくら 公式サイト
http://www.fujiwarasakura.com/
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