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私の再生、そしてソニー/コロンビアレコード後の人生(ケニー・ロギンス)
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私の再生、そしてソニー/コロンビアレコード後の人生(ケニー・ロギンス)

2012-10-10 22:00
    君に「何か大切なもの」があって、その時その大切なものの価値に気づいているということは、奇跡的なことなんだ。プロジェクトを活性化し、ビジョンを深めるような目的をもって、今まで体験したことのない感覚に君は満たされている。 それはまるで、君がつかんだものが、まるで、後を追いたくなるホタルのようで、それは熱や光の気配しかなく、君をからかうように飛んでいる。そして、遠く離れたほとんど見えないところに連れて行くのだ。君に発見されるのを待っているかのような、もやで覆われた古代都市に向かっているのだ。

    アメリカの偉大な神話学者、ジョセフ・キャンベルの有名な言葉に「自分の至福の喜びに従え(Follow your bliss)」というものがあった。「自分の心に従え(follow your heart)」と読み替えたものもいる。僕は「元気の源に従え(follow the juice)」と言っている。君のスイッチをオンにしてくれる何か、楽しそうな何か、元気が溢れでてくるような何かに君を導く、感情の爆発に従え、という意味だ。この信念に従った結果、ブルー・スカイ・ライダーズを結成することになった。

    ライダーズが、私の「発見されるのを待っていた、遠く離れたおとぎの都市」だったんだ。しかし、ここに至るまでには、1998年にまで遡る必要がある。あまり忘れたいとは思わない自分自身になるまでのことで、運命は他のプランを用意して待っていたんだ。破滅的なニュースが再生のための隠されたメッセージということが、僕には分からなかったんだ。どういうことかって?

    「自分自身を再生」するために、インスパイアされたんだ。最終的に、クリエイティブなインスピレーションが半分、生存競争に勝ちたい思いが半分で決断した。必要なこと?

    本当に、この「君自身を再生」することをおススメするよ。正直に言うと、過去何年もの間で、現在が一番楽しいね。結果(主に音楽の)はかなり良い感じになっている。

    しかし、「ポップ界での成功」を収めて何年もしてから、なぜ、そこそこ分別のある大人がもう一度一から始めようと決心したのか?リスクは?

    21歳の時からソニー/コロンビアレコードに所属していて、そこのレコーディングアーティストでいることが当たり前のように体に染み付いていたんだ。その間、会社の社長が6人、入れ替わり立ち代り来ては去っていくのを見ていて、ジョニー・マティスがやったように、ただ時間をやり過ごすことになると思い始めたんだ。"10 feet tall and bullet proof"みたいに、ずっと同じところにうろうろしてね。とにかく、僕の最後のCD『Leap Of Faith』の売上は100万枚を突破していた。本当に絶好調だったし、全速力で、いや嘘だごめん、巡航速度くらい?は出して進んでいたよ。

    マネージャーからの電話で初めて知ったんだ。マネージャーは、秘書が下っ端のアシスタントにその話を話しているところを聞いて、そのアシスタントは掃除夫のそばを通り過ぎる時に彼からその同じ話を聞いたそうだ。ソニーはもう僕を必要としてないという話をね。まったく、なんて礼儀を欠いた仕打ちなんだろう。長きにわたって売り上げた3,000万枚もの記録に対し、ゴールドの腕時計やパーティー用の帽子もなし。

    突然、僕の「ウォーバックスおじさん」がいなくなったんだ。僕がいつもとても頼りにして成長した、その見えない「父なる人物」であるレコード会社は、もっと若くてクールな人に軸足を移していたんだ。その夜、進行中の録音を急遽、中止にして、会社のレコーディング予算がなくなったので、一流の奴らが集まった僕の製作チームは解散になった。次にすることを考えなければならないなと、思った。しかし、それは簡単なことではなかった。

    例えば... 引退? 先生? 絵を習う? ヨガ? 何か新しいことを学ぶ? 50才で?! 下の方を見渡すと...目の前にあるのはくだらないものばかり。

    激しくへこんだ。18歳で参加した「Electric Prunes」というバンドのツアーが、お金をもらえた最初の仕事だった。それ以来、初めて「雇われていない」状態になったのだ。何の訓練も受けずままにね(そう私は思っていた)。
    すっかり気が滅入って、ひどく落ち込んでしまった。「僕があの有名なケニー・ロギンスでなければ、僕はいったい何者なんだ?」ソニーだけでなく、世界が僕のことを持て余しているように思われた。「死ぬには若すぎるが、ロックンロールするには年を取りすぎている」というフレーズが思い浮かんだ。(これまで獲得した成功にあやかればいいという考えは、浮かばなかった。ヘンだけど。)

    それで、これまでになく、とてもゆっくりと分かりかけてきたことがある。それは、私の感情の健康状態が、私がクリエイティブな状態にあるという成果そのものだったということ。いい感じでいるために、アクティブでクリエイティブな状態をキープしている必要があったんだ。当時の妻であるジュリアの熱心な勧めに従って、自分自身に投資し、書き物とレコーディングを続けることにしたんだ。実は、貯金をたくさん使ってしまった。本当にたくさん。でも、おかげでゴミ溜めから徐々に這い上がることができた。相当お金を使ってしまったね。CD『It's About Time』が大成功を収めたことを話すのは大好きだったが、ちゃちな最後を道徳劇のようなプレイで締めくくったとは、話したくない。事実、そうはならなかった。

    その過程を通して気づいたのは、僕の頭の問題は、僕がやっていることではなくて、僕がそれをやっている理由だということだった。僕にとって「書く」という行為が、「ミスター・ロックスター」ではない、私という人間の存在そのものと等価であることを分かる必要があった。僕は、自分の売上によって、自分の成功、つまり自分の価値を判断する行為を止めることを学ぶ必要があった。「コントロールできるものをコントロールせよ」と友人のビル・レオポルドがいつも言っていた。キャッシュを両拳いっぱいに握りしめた連中が入り口に押し寄せているかどうかは、「コントロールできること」の範疇には入らないのだ。

    だから、僕は書き続けてきたし、レコーディングを続けてきた。すると、次第に、プロジェクトやブランドについて僕に何か書いてほしい、歌ってほしい、なぜならクールだから、と思っている人の声を聞くようになった。そしてTargetのCDのために働いているときに、ゲイリー・バーとその他のメンバーと出会って...今に至るんだ。

    ゲイリー・バー、そしてジョージア・ミドルマンとの出会いがあったので、別のブログを用意する必要がでてきた。だから、運命が似たようなメッセージを君に届けるかもしれないが、みんなに3つの単語でできているアドバイスを残しておくね。たとえ実現に数年かかるとしても、自分の元気の源に従え(Follow the juice, even if it takes a few years to materialize.)。

    シンガーソングライターのケニー・ロギンス、ゲイリー・バー、そしてジョージア・ミドルマンは、新しいバンドであるブルー・スカイ・ライダーズを結成、2月のハフィトンポスト50で特集されました。彼らの最初のアルバムになる『Some Experience Required』が完成、このブログでバンドの活動を書き残していくことになっています。

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    RSSブログ情報:http://www.fabloid.jp/Kenny-Loggins/kenny-loggins-on-reinvention/
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