男に恵まれない女と女に興味のない男が、ひょんなことから奇妙な同居を始め、相容れないライフスタイルを送る男女が"ありのまま"にぶつかりあう姿をコミカルに描くラブコメディー『にがくてあまい』。本作でバリバリのキャリアウーマンを演じる女優・川口春奈の好演が光るが、同世代女子の心情を表現するための秘訣とは!? 意外な理由に迫ります!


――相容れない男女の同居生活に思わず観入ってしまいましたが、最初に脚本を読まれた際、何を感じましたか?

野菜が苦手なオンナ、女が苦手なオトコというフレーズだけを聞くと、すごくコメディー色が濃厚なので「そんなことって、リアルにある?」みたいな印象を受けるかもしれませんが、実際はすごく温かくて、マキちゃんと渚のどちらの事情にも感情移入できる素敵な物語だと思いました。家族の描写も皆人間味あるので、ハートフルなお話です。

――"オーガニック・ラブコメディー"という紹介がされていますが、マキと渚だけの物語でもないですよね。

フタを開ければふたりの成長物語だけじゃなく、温かい家族の話がメインだなって、わたしも思いました。それと誰ひとり、ブッ飛んでいる人がいないところもいいと思いました。ただ、ギャグみたいなことばかりをやっているだけじゃないところに惹かれましたね。

――原作にあるキャラクターのマキを、どのように表現しようと思いましたか?

そうですね。原作があるので比べてしまうと思いますが、映画は映画オリジナルの部分を出していければいいなと思ったので、原作のマキちゃんにはあまりとらわれ過ぎないように心がけました。バリバリ働くキャリアウーマンで、外ではすごく必死で働いて、自分の弱みをみせないタイプというイメージで演じました。


――先日、あるテレビドラマで車の中だけの会話劇を拝見しましたが、カップルのあるあるが限定空間でリアルに表現されていてびっくりしました。本作を含め、同世代の女子を演じる、表現する上でのポイントは何でしょうか?

作り込みをしてお芝居をすることはほぼないので、そういう自覚はまったくないんです。車の中のドラマはセリフの量が多かったので覚えることに必死で、後はテンポを崩さないようにということだけを意識していました。わたしは感覚で演じたいタイプなので、自分の感性を大切にして演じています。

――役柄を演じている際の匿名性とでも言いましょうか、視聴者に女優・川口春奈を意識させない表現は、素晴らしいと思います。

そう言っていただけてうれしいですが、そこまで自分では意識していないんです。作り込みすぎず、脚本も読みすぎず、あえてうろ覚えなくらいで現場に入って、その時に沸き上がってくる気持ちを大事にしたいので、言ってみれば何も考えていないくらいに近いですかね。いつもそうです。

――現場を大切にするアプローチの場合、共演者の影響も大きそうですよね。今回、林遣都さんとの共演はいかがでしたか?

林さんはナチュラルに自分を受け止めてくれるので、気を張らなくても自分が自分らしく自然体に入れました。その上で、わたしが試したいお芝居を受け止めてくれる。緊張などはなく安心感と信頼感に包まれていて、そういう意味ではすごくいい関係性で、いいお芝居ができたと思っています。


――今回の『にがくてあまい』に出会って、一番よかったことは何ですか?

わたしはもちろん社会人として働いていますが、この仕事以外を知らないでここまできてしまったんですよね。知らないから、わからないことが多いじゃないですか。それにいままでバリバリ働く役柄もなかったんです。学生役などが多かったので、マキちゃんを通じて、これほどまでに大変で、孤独を感じるものなのかって、わたし自身演じてみて気がついたことがあったので、とても勉強になりました。皆さんもマキちゃんに共感していただけたらうれしいです。

映画『にがくてあまい』はTOHOシネマズ新宿ほか全国公開中!


■映画『にがくてあまい』公式サイト
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