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10月26日、現在開催中の東京国際映画祭にて細田守監督と、是枝裕和監督のトークショーが行われた。
同映画祭では、アニメーション特集「映画監督 細田守の世界」として、『時をかける少女』(06)や『バケモノの子』(15)など細田監督の作品が上映されている。この日は、『おおかみこどもの雨と雪』(12)が上映され、終了後、細田監督と是枝監督が集まった観客の前に登壇した。
是枝監督は、細田監督作品の『バケモノの子』や『おおかみこども〜』について「(登場人物の)男の子の成長を助ける父親的な存在は血が繋がっていない」と指摘。一方、細田監督も、是枝監督作品について、「『海街diary』も"父親の不在"というものがあるし、『歩いても 歩いても』もお父さんが所在無げな感じになっている。『幻の光』も突然いなくなってしまうお父さん(が描かれている)、『誰も知らない』は父親がもともといない。すごく重要なテーマかなあと(思う)」とコメントするように、両監督の作品には"父親の不在"というテーマが共通してあるようだ。
このテーマを描くことについて、両者は「単純に"いる父親"が描けないだけなんですよ(笑)。父親のいない環境の方が自分にとってリアル」(是枝監督)、「自分たちの先輩、父親たちの世代には、親子関係が濃厚すぎるような物語が結構あって。それに対する反発みたいなものもあるんでしょうかね?」(細田監督)と分析。続けて細田監督は、「是枝監督の映画を観ていると、父親の描き方、距離の取り方にシンパシーを感じる。『ある種の真実がそこにあるな』と、いつも感じる」と是枝作品について語った。
一方、是枝監督は細田監督作品について「細田さんは、映画の中で、不在の父親を違う存在で埋めていくじゃないですか。あれを『面白いなぁ』と思って拝見しているんですよ」と印象を語り、「アニメーションの世界ですごく"監督"を感じるんですよ。それが魅力でもあるし、それを乗り越えていくという、相当タフな戦いをどこかでしているのでは、と思う」と独自の視点で述べた。
この日上映された『おおかみこどもの雨と雪』について、細田監督は「『サマーウォーズ』(『おおかみこども〜』の前作)を作っているときに母が亡くなってしまったので、自分としてこれ以外に作る題材がない、という気持ちで『おおかみこども〜』はできていて。自分たち(細田夫妻)の間には子供がいなかった(当時)けれど、自分と自分のお母さんの過ごした時間をなにか違うかたちで表現したい、映画を通してお母さんに謝りたい(という気持ちで作った)」と明かした。
さらに、主人公の一家が劇中で引っ越した土地は、自分の故郷の街がモデルであることを述べ「まさか自分の母親や故郷を映画にするなんて、そんなアホみたいなことをするなんて思ってもいなかったんですよ。普通やらないんです。でも、やってしまって、『アホだなぁ』とか『気が狂ってるなあ』って自分でも思っちゃう(笑)」と笑顔を見せる場面もあった。
さらに、両監督とも次回作についても言及。家族について描く作品が多い是枝監督は、「"家族の作家"と言われてしまうことが自分ではあまり居心地が良くなくて」としながらも、次の作品は「いま脚本書いていて、全然違う話を書こうと思っていたんだけど、書いてみると結局父親がいない話なんだよね(笑)」と述べた。細田監督は脚本の決定稿が完成したことを明かし、前述したテーマになぞらえながら「父親は出てきますね(笑)」と笑顔を見せた。
第29回東京国際映画祭は10月25日(火)〜11月3日(木・祝)、EX シアター六本木、TOHO シネマズ六本木ヒルズ、歌舞伎座、109 シネマズ二子玉川 他にて開催
■第29回東京国際映画祭 公式サイト
2016.tiff-jp.net
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