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羽海野チカによる人気漫画「3月のライオン」は、家族を失い居場所を失っていた高校生棋士、桐山零が、近所に住む3姉妹の家族や周囲の人々との触れ合いを通して自らを見つめなおし、居場所を見つけていく物語だ。印象的な台詞や魅力的なキャラクター、そして登場する誰しもが何かしらの問題を抱えながらも、それと向き合い生きていくストーリーが多くの読者を魅了し、幅広い層から人気を獲得、大友大友啓史監督がメガホンを取り、神木隆之介が主演する実写映画二部作も来年春に公開される。
(C)羽海野チカ/白泉社
そんな人気漫画に登場する魅力あふれるキャラクターの中でもひときわ人気があり目を惹くのが、主人公・零を終生のライバルと決める情熱溢れる若手棋士、二海堂晴信だ。「ダ・ヴィンチ読者が選ぶ『3月のライオン』好きな棋士ランキング」でも第3位という人気の二海堂は、愛嬌のある丸顔に、ふくよかな体型、お茶目な部分がありつつも将棋には誰よりも真っ直ぐなキャラクター。そんな二海堂に主人公の零は何度も救われる。
実はこの二海堂、現在劇場公開されている映画『聖の青春』の主人公である村山聖(むらやま・さとし)がモデルとなっていることはご存知だろうか?
村山は、100年に1人と言われる天才・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称されながら、29歳にして亡くなった伝説的棋士だ。"怪童"とも呼ばれた彼は、病と闘いながら将棋に全人生を懸け、全力で駆け抜けた。
そんな村山は、生前「イタズラなKiss」などたくさんの少女マンガを愛読していたという。二海堂は、そんな村山を、「3月のライオン」作者の羽海野が、「彼が愛したマンガの世界で、村山さんが晴れの舞台で将棋を指している姿を描いてあげたい」という想いで登場させたキャラクターだといい、村山との共通点が多く見られる。
まず、幼少より腎臓の病気を患い、それと付き合いながら「名人」を目指している点です。病院での寂しい少年時代を過ごすなかで将棋と出会い救われたからこそ、「将棋では絶対負けない」という気持ちが強い二人。対局中は体調などを言い訳にせず試合に向き合う姿勢が重なる。
(C)羽海野チカ/白泉社
ふくよかな体型も共通点のひとつ。持病が理由での体型である二人だが、愛らしい印象を与える二海堂と同様、村山自身もゆったりとした動きやどっしりとした存在感で周囲の人に安心感を与えていたはずだ。
また、ちょっぴりお茶目な部分も似通った部分。二海堂の実家は裕福な家庭の設定だが、その財力で自ら書いた絵本を製本したり、主人公の家に泊まる際、業者にベッドを運ばせるなど、零を何度も驚かせお茶目な一面を見せる。実は村山自身にもそんな一面があり、スパイに憧れトレンチコートを好んで着用し、ホテルに泊まる際は偽名を使ってハードボイルド感を演出するなど、物語の中に入り込むかわいいエピソードが残っている。
なにより一番共通しているのは、「みんなに愛される」という部分だろう。二海堂は兄弟子や棋士仲間、執事に心配されながらも愛されているキャラクターだが、村山も、家族や師匠、ライバル棋士たちなどの周囲の人間に愛される人物だった。
映画『聖の青春』では、そんな周囲の人々の優しいまなざしを通し、彼の生き様が丁寧に描かれる。
病気のため、自由に外を走り回れず、ベッドに臥せっている時間が長かった村山聖。きっと大好きなマンガを読みながら、主人公になりきって自由に駆け回る想像を楽しんでいたはずだ。
「3月のライオン」ファンはもちろん、村山聖という魅力的な人物に興味を持った人はぜひ劇場に足を運んでみてはいかがだろうか?
『聖の青春』は11月19日(土)丸の内ピカデリー・新宿ピカデリー他全国公開
(C)2016「聖の青春」製作委員会
■『聖の青春』公式サイト
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