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ソニーのWF-1000XM3は毎日使いたいANCワイヤレスイヤフォン
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ソニーのWF-1000XM3は毎日使いたいANCワイヤレスイヤフォン

2019-07-24 12:00

    本当ならもっと早くに、このWF-1000XM3をレビューしたかった。しかし、モノが到着したのが、ちょうど私が旅行している最中だったのだ。これは2つの点でとても残念だった。1つには、はっきり言って私は遅れて製品レビューを書くのが嫌いだから。もう1つは勝手な言い分だが、できることなら、その香港に行く16時間のフライトで実際に試してみたかったからだ。

    そうした長時間のフライトは、この新しいソニーのフルワイヤレスイヤフォンが想定している、ぴったりの使い方だ。十分過ぎるほどのバッテリー寿命と、アクティブなノイズキャンセリング機能(ANC)を備えたこのモデルは、明らかにBose(ボーズ)が押さえている市場に狙いを定めている。

    数週間前のプレビュー記事でも述べたように、このカテゴリーの製品を発売するメーカーには、大きく2つのうちのいずれかの方向を目指す傾向がある。1つは、運動やフィットネスに適した製品(たとえばJaybirdsやPowerbeatsなど)、もう1つは、通常のライフスタイル的な製品(Airpodsなど)だ。この製品によってソニーがどの市場を目指しているのかは明らかだろう。BoseのQuietComfortに対抗する同社のオーバーイヤータイプのヘッドフォンと同じ領域だ。

    関連記事:Beatsから新型AirPodsチップ搭載の完全ワイヤレスイヤフォン「Powerbeats Pro」

    このXM3(「0」が多すぎるので、今後はこう呼ぶ)は、フィットネスに適した防水機能や、ランニング中に使うのに安心なイヤスタビライザーを備えていない。もしそのあたりを求めている人ばかりだと、この製品は苦境に陥ってしまうだろう。しかし、ランニングに適した製品なら他にいくらでもある。例えば同じソニーのWF-SP700Nなどがそうだ。旅行に連れていく製品を探している人にとっては、XM3以上の製品はない。

    Beats(ビーツ)のPowerbeats Proと同じように、ソニーはXM3のケースで携帯性よりもバッテリー寿命を優先させた。ソニーのケースは、Beatsのものほど大きくはないが、それでもおそらくほとんどのポケットには大きすぎる。とはいえ、嬉しいことに、ノイズキャンセリング機能がオンでも6時間、オフなら8時間も単体でバッテリーが持続する。したがって、ほとんどの場合、ケースは家に置いて出かけても大丈夫だろう。

    充電機能を備えたケースをいっしょに持ち運べば、ノイズキャンセリングがオンで24時間、オフなら32時間もの音楽再生が可能となる。ケース底面のUSB-Cポートを使って、10分の充電で90分の再生が可能だ。ワイヤレスで充電することはできない。AirPodsと同様、それは2世代目の製品で実現するのかもしれない。

    XM3の楕円形のデザインは、スポーティな700Nと共通するものがある。大きさは小さめで、色は目立たないブラック、またはシルバーの2色がある。このあたりは白くて目立つAirPodsとは対照的だ。実際、普通のBluetoothイヤフォンのようにしか見えない。ぴったりとフィットさせるには、まず下を向けて耳に入れてから、90度回して持ち上げるようにするといい。実を言うと、初めてデモ機を試したとき、私は下向きのまま使おうとしていた。初心者っぽい誤りだ。

    関連記事:アップルが新しいAirPodsを発表、ワイヤレス充電ケースも

    この製品には、シリコン製の交換可能な数種のサイズのイヤチップが付属しているが、私の耳には、最初から付いているものがちょうどぴったりだった。イヤフォンを所定の位置に保持するためのメカニズムはないが、本体が小さいので、それほどずれてくることはない。軽くジョギングしたくらいでは大丈夫だった。ただし、防水機能はなにもないので、汗などで濡らさないように注意しなければならない。

    Bluetoothイヤフォンの音質は、初期のころから、かなり大きく進歩してきた。それでも、ソニーがこのサイズに、これだけの音質を詰め込んでいるのは印象的だ。最新世代のBluetoothイヤフォンでは、もはやサイズが小さいからと言って、音質で妥協する必要はないのが明らになった。そしてこのXM3は、左右独立型のBluetoothイヤフォンとして素晴らしい音質を実現している。バランスの取れた豊かな音場を再現し、低音も十分だ。

    さらに印象的なのは、ノイズキャンセリング機能だ。つい最近まで、小型のワイヤレスイヤフォンではあきらめるしかなかったもの。側面のタッチパッドをタップすると、ノイズキャンセリングとアンビエントモードを切り替えることができる。アンビエントモードでは、必要に応じて外部の音をむしろ積極的に聞くことができる。それによって、イヤフォンを外さずに近くの人と直接会話を続けることも可能となる。特に際立った機能というわけではないが、ソニーが実際の製品で実現してくれたことは嬉しい。

    面白いのは、ペアリングしたデバイスに、左右のイヤフォンが、それぞれ独立したBluetoothリンクを張っていること。それは遅延を防ぐのに役立つのはもちろん、それぞれ単独で動作させることも可能であることを意味している。何度か、片方のイヤフォンの音が途切れるという問題に遭遇した。それは不快には違いないが、その場合でももう片方は接続を維持して正常に動作し続けていた。また、左右が独立して動作しているため、バッテリー残量などを知らせる音声ガイドも、別々に行われる。

    XM3の価格は230ドル(日本ではソニーストア直販で税別2万5880円)で、AirPodsとPowerbeatsの間となっている。 iPhoneユーザーにとっては、W2チップによる自動ペアリング機能が使えないのは残念だが、NFCに対応しているので、Androidユーザーにとっては、素早いペアリングが可能となる。それを別にしても、XM3には利点が多い。音質は素晴らしく、ノイズキャンセリング機能は秀逸で、バッテリー寿命も長い。

    Powerbeatsのようにジムで使うのに最適というわけではないが、それを意識した製品ではないので、そこはしかたがない。よく旅行に出かける人や、着実に毎日使えるイヤフォンを探している人にとって、XM3は今手に入れられるものの中で最高と言える。

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    (翻訳:Fumihiko Shibata)

    この記事はTechCrunch Japanからの転載です。

    RSSブログ情報:https://news.aol.jp/2019/07/23/wf-1000xm3-anc/
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