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全国各地に難読駅名が存在しますが、特に多いのが大阪の地下鉄。「杭全」「立売堀」「放出」......。これらは大阪に実在する駅の名前です。大阪府民にとっては馴染みのある駅名でも、府外の人にとっては難読駅名となるでしょう。ちなみに正解は、「くまた」「いたちぼり」「はなてん」。

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他にも、代表的な難読駅名として「喜連瓜破駅」というものもあります。こちら、四文字熟語ではありません。「きれうりわり」という珍しい読み方をする、大阪市営地下鉄谷町線にある駅です。

では、なぜこのような難しく長い名前になってしまったのでしょうか。書籍『大阪「地理・地名・地図」の謎』には、こうするしかなかった一つの出来事があったと紹介されています。

喜連瓜破駅が誕生したのは、1980年(昭和55年)。当初は、駅が平野区喜連二丁目にあったことから、「喜連駅」になる予定でした。喜連という地名は、鎌倉時代から見ることができる古いルーツを持った地名。歴史ある地名のため、駅名としてすんなり採用されました。

しかし、これに異論を唱えたのが、喜連地区と道路を挟んで向かい合っている瓜破地区。実はこの駅、喜連地区と瓜破地区の間に位置しており、それが問題となったのです。なぜ、喜連の地名だけが駅名に採用されるのだと。

瓜破地区が譲れないのには理由がありました。それは、瓜破という地名にも深い歴史があったのです。

「大化年間(645~650年)、道昭法師が三密行法をしていると仏像が突然落ちてきた。道昭法師がその仏像を安置し、手元にあった瓜を供えたところ、瓜が真っ二つに割れたというのだ。この伝承が瓜破地区の起源であり、地元の人は由緒ある地名として大事にしていたのである。しかも、喜連は江戸時代に摂津国住吉郡に属し、瓜破は河内国丹北郡に属しており、両地区は隣に存在していながら、歴史的には国境をまたいだ地区。そうやすやすと相手の地名を優先させるわけにはいかないという事情があった」(同書より)

つまり、どちらも同様に歴史があり、駅が両地区の間にあったため「喜連瓜破駅」とどちらの地名も採用することで、この問題が落ち着いたのだとか。パッと見では非常に難しい漢字の駅名ですが、その背景を知ることで身近に感じることができます。

「この駅名が読みにくいことは確かだが、それ以上に地元の愛着が反映されているひとつのよい例である」と、同書ではまとめられています。

【書籍データ】
・『大阪「地理・地名・地図」の謎』 谷川彰英(監修) 実業之日本社

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