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教師から見た子どもたちの姿について、日本標準教育研究所が調査報告書「小学校教師の現状と課題」(8月)を発表しました。

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特徴的な結果として、「学力の格差が大きい」(94%)、「成長の度合いに大きな差がある」(93%)など、9割以上の教師が子どもたちの個人差の大きさを感じているようです。また、「生活習慣が身についていない子どもが多い」(87%)、「教師が予想しない行動をとる子どもが多い」(50%)という結果も。

「モンスターペアレント」「学級崩壊」など、新たな言葉がうまれてくる昨今、教師を取り巻く環境は明らかに昔と変わっているようです。

そんな教師に向け、アメリカをはじめ、ロンドン、北京、リオデジャネイロなど世界各国の学校で教師を務めてきたシェリー・ヘンドリックス氏は、自著『「教える」ことの覚え書き』のなかで、鋭くも愛情に満ちた数々のアドバイスをおくっています。その中の一つが「握手」。

ヘンドリックス氏が高校時代に出会った担任は、初めて生徒たちと顔を合わせた時に、一人ひとりと握手を交わしたそうです。その担任教師は、刑務所で指導していたこともあり、そのことを冗談めかして語ったりして、生徒の緊張をほぐしました。

ここで注目すべきは、教師が生徒と握手をしたことです。

「握手を交わすのは、だれかといっしょに仕事を始めるときのお決まりの作法です。しかし、それまでの十年間の学校生活のなかで、ほかの先生はだれも行いませんでした。どうして先生は握手を?......私は、はたと気づきました。先生は私たちに、パートナーになろうと誘ったのだと。先生は私たちをリスペクトし、私たちに責任を担わせ、共通の目標に向かっていっしょに進もうとしているのだと」(ヘンドリックス氏)

後にヘンドリックス氏は、担任教師の握手をするという行動は、自分が「子ども」から「(教育を受けている)大人」に変わったタイミングだったと振り返っています。

アメリカでも珍しい生徒全員との握手という行動なので、日本では受け入れにくい部分もありますが、大切なのは、「子ども」として指導するのではなく、「(教育を受けている)大人」として指導するということ。

指導者の懐の広さが、教わる側の態度の変化につながる――。同書では、教えることの本質に迫る言葉が数々と紹介されているので、人を導く立場にある人の心にはきっと響くはずです。

【書籍データ】
・『「教える」ことの覚え書き ─等身大の教師であるために』 シェリー・ヘンドリックス、ラッセル・ライシ=著/坂東智子=訳 フィルムアート社

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