労務行政研究所の発表によると、この夏の賞与の平均妥結金額は、前年同期比5.7%増の70万5792円とのこと(東証1部上場企業の125社を対象に調査)。08年以来6年ぶりに70万円台に乗るといった嬉しいニュースが届きました。
ビジネスマンたるもの、しっかり仕事で結果を残し、給与・賞与をもらいたいもの。あなたの夏の賞与はどのような数字になりそうですか?
給与・賞与など、目に見える金額という数字は、評価としてわかりやすい指標となります。ですが「自己内利益」についても、しっかり考える必要があります。
聞きなれない「自己内利益」という言葉、これは、経済入門書作家の小暮太一氏が作った造語。自己内利益とは、企業の会計の考え方を元に、労働者の幸福度を考えるというものです。
企業の会計は、「売上」から「費用」を引いたものが「利益」となります。企業ですから、もちろん利益を追求していくこととなります。100億円の売上が上がっても、110億円の費用がかかっていては、誰も評価はしてくれません。言わば、会社にとって利益は「当たり前」のこと。
しかし、この当たり前のことが、いざ労働者に置き換えて考えてみると、気に留めている人がほとんどいない......。この状態を危惧して作った言葉が、小暮氏の「自己内利益」なのです。
「個人会計の『売上』は、その個人に入ってくるお金・収入を意味します。つまり給料のことです。個人会計の『費用』は、その収入を得るのに費やしたものを意味します。あなたが、給料を稼ぐために費やすのは、時間や体力的・精神的エネルギーです。そして、この差額が『自己内利益』なのです」(書籍『ずっと「安月給」の人の思考法』より)
小暮氏は自著のなかで、自己内利益をこう説明しています。
個人が仕事を選ぶ時に収入面を気にかけることは当然のこと。高収入であればあるほど良いと考えるでしょう。しかし、その高収入を得るために、どれほどの時間や体力・精神的エネルギーを犠牲にしているのでしょうか。
転職サイトなどでは、よく「年収1,000万円以上のハイクラス求人」とうたった言葉が使われます。年収1,000万円は、ビジネスマンにとってのステータスとも言えます。もちろん、サイト内では高収入の仕事が紹介されているのでしょう。
しかし、その求人には、どれだけ仕事が大変で、毎日犠牲にする時間や体力・精神的エネルギーについては一切説明がされていません。
ですので、仮に年収1,000万円が実現できたとしても、消費するものが2倍になってしまっては、「幸せ」を感じることができません。それはつまり、企業からしたら「赤字状態」に陥ることと同じです。
つい私たちは、年収で全てを判断しようとしてしまいます。数字は嘘をつかないので、指標としてはわかりやすいものになります。しかし、そこには見えない「費用」の部分があることも。もし、時間や体力・精神的な消費が著しく大きいと感じた場合、その収入額に固執する必要があるのでしょうか。体・心の健康あっての仕事や生活。過剰な消費状況は改善すべきなのです。
あなたは「売上」を追求しますか? それとも、「利益」を追求しますか?給与・賞与よりも大切なものについて、今一度考えてみませんか。
【書籍データ】
・『ずっと「安月給」の人の思考法』小暮太一著 アスコム
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