少ない予算、限られた人材、短い期間......、社畜の君たちを取り巻く仕事環境はいつも劣悪だろう。そして、求められるのは結果。愚痴の一つも言いたくなるものだ。しかし、愚痴るために酒場に向かうのはまだ早い。
情報番組はステマだらけ、バラエティ番組のヤラセ、コネ入社の実態、視聴率の低下......何かと暗い噂の多いTV業界で、社畜の君たちと同じような条件で頑張っている会社を紹介しよう。飲むのはそれからだ。
いま、とても元気な会社、それは東京の地方局である「TOKYO MX」である。
同局の夕方の情報番組『5時に夢中!』が密かな人気を得ているのはご承知の通り。出演者の一人である岡本夏生がみせるコスプレは、「神レベル!!」と賞賛の声が上がるほどだ。また、『進撃の巨人』『ジョジョの奇妙な冒険』『黒子のバスケ』など、アニメの視聴率も獲得。今年4月には、新たにアニメ事業部を新設しており、自社でもオリジナルのアニメの制作を行うという。
そんなMXの内情を、元フジテレビアナウンサーで現フリーアナウンサーの長谷川豊氏が自著『「見たいテレビ」が今日もない』で紹介している。そのなかで、最も驚くのが『5時に夢中!』の収録スタジオは、実は「元結婚式場」だったということ。
「MXは都内にある結婚式場の別館を改修し、スタジオとして使っています。『5時に夢中!』や『バラいろダンディ』が収録されるスタジオは、もともと式場の喫茶スペースだったそうです」(書籍『「見たいテレビ」が今日もない』より)
なんと、TV局にも関わらずスタジオを持っておらず、しかも、結婚式場を改修したものを使っているとは意外な事実。しかし、そんな環境にも関わらず、スタッフはやっつけ仕事をしているわけではないのだ。他局よりも予算が少ない分、それぞれがアイデアを搾り出し、良いものを作るために邁進していると言える。
「『5時に夢中!』では、その日の注目ニュースにランキングをつけてコメンテーターがおもしろいコメントを加えていきます。壁に新聞を貼りつけてコメントを入れていくだけの低予算路線ですが、トークが抜群にうまい人を引っ張ってきているため、ニュースがエンタメへと高まっています」(書籍『「見たいテレビ」が今日もない』より)
確かに予算は少ない。その代わりに、知恵と発想でMXは大手TV局と勝負してきたのだ。トークがうまいマツコ・デラックスやミッツ・マングローブ、岡本夏生などを輩出できたのも、MXならではと言える。
そんなTOKYO MXの決算は、3期連続で過去最高を更新し、毎年予算達成を実現している。
■2011年度決算
売上高:93億6800万円
経常利益:7億3800万円
■2012年度決算
売上高:121億600万円
経常利益:11億2800万円
■2013年度決算
売上高:126億円9500万円
経常利益:17億4900万円
酒場で愚痴っても状況は変わらない。まずは、知恵と発想を振り絞るところからはじめてみてはいかがだろうか。
【書籍データ】
・『「見たいテレビ」が今日もない』長谷川豊著 双葉出版
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