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11月26日、モーニング娘。'14の道重さゆみが卒業を果たした。在籍期間は史上最長となる4329日。モーニング娘。は未来永劫続いていくグループなのでいつかは破られる記録かもしれないが、彼女は人生の半分近くをモーニング娘。として過ごした。そして迎えた卒業コンサート、途中で足をつるというアクシデントもありながらメンバーたちはそれを笑顔で乗り越え、そして道重さゆみは今後も伝説として語り継がれる卒業コメントを、何も見ず、何も読まずに、自分の言葉としてファンに伝えたのであった。



【コメント全文】道重さゆみ、「さゆみのファンの人たちが、ほかの誰でもない、みんなでよかった。」|モーニング娘。'14|BARKS音楽ニュース(http://www.barks.jp/news/?id=1000110114


このような長文を可愛い顔で言えてしまうのは、赤塚不二夫先生へ弔辞を送ったタモリ以来。道重さゆみは、道重さゆみという物語を、こうして自らの言葉で締めくくった。そしてその瞬間から、新しいモーニング娘。が始まったのである。

というわけで本日は、道重さゆみの卒業全文コメントを読みながら、5つほど思い出を語ってみたい。道重さゆみというたった一人の可愛い人に、最大限の愛と感謝を込めて。


<その1>
「モーニング娘。が好き。」その気持ちだけは一度もブレずにここまでやってきました。

オーディションのとき、ボイストレーナーの菅井先生から「なんでモーニング娘。になりたいの?」と怒られながら問われて、道重さんは「好きだから」と答えてくれました。そのたった5文字の言葉が、道重さんのそれからの12年間の道を作ったのだと、本当にそう思っています。あのとき「好きだから」と言ってくれた、そしてその言葉の通りの生き方を示してくれた道重さんは、やっぱり素敵です。

山口県に生まれたその少女は、アイドルになりたかったわけでも芸能人になりたかったわけでもなく、ただただ、モーニング娘。になりたいという気持ちしかなかった。ぼくたちはそんな道重さゆみさんのことが大好きでした。「モーニング娘。が好き」な道重さんのことが大好きだったんです。誰よりも熱いモーニング娘。ファンがメンバーにいるという、それはぼくたちの誇りでもありました。モーニング娘。を好きになってくれて、本当にありがとうございます。

<その2>
リーダーになってからも、決して順調ではなかったんですけど、それこそ食欲がなくなってしまうくらい大変だなって思うこともあったし、心が折れそうになった時もありました。だけど、そんな私を、ファンのみなさんが大きな愛で支えてくれましたね。

リーダーになって10期メンバーを叱ったとき、フォローのメールを送ろうとしたら、佐藤優樹さんが勝手にメールアドレスを変えていて送れず、さらに翌日その文章を直接読ませたらなぜか爆笑して変顔をされるということがありましたね。このエピソードがぼくは大好きで何度も思い出して笑うのですが、実際にこんなことばかり起きていたのでしょうから、リーダーとしてはそれはそれは大変だったのだろうと思います。

でもそんな佐藤優樹さんは、卒業セレモニーでちゃんと道重さんに「卒業おめでとうございます」と言えるようになっていましたね。その言葉を口に出すと道重さんが卒業してしまうから、佐藤優樹さんは言うのを嫌がっていたけれど、でも勇気を出してちゃんと言えました。それはきっと、道重さゆみさんの未来を、そして道重さんがいなくなってからのモーニング娘。を、佐藤優樹さんが信じられたからだと思います。そんなモーニング娘。を作ってくれたのは道重さゆみさんです。本当にありがとうございます。

<その3>
そんなさゆみのファンの人たちは......変な人が多いです。うふふふふ。

確かに、老若男女問わずピンク色のTシャツを身に纏って、牛丼屋に行けば「俺さゆのこと好きすぎてどうすればいいか分かんねえ」と涙をこぼすし、変な人と言われれば変な人かもしれません。ハワイで「うさちゃんピースで写真を撮ってください」とお願いしたこともありましたし。まあ、確かに、変な人なのでしょう、おそらくは。

だけど道重さんも、たいがい変な人ですよ。バスツアーで自分の故郷である山口県にファンを連れて行って、昔の思い出の場所を紹介して、それが嬉しいって思える人はそうそういないと思います。ファンが変な人になったのは、道重さんが変な人だからです。でもそれは、その全ての思い出は、ぼくたちの心の中にずっと残っています。道重さゆみさんが変な人で良かったです。本当にありがとうございます。

<その4>
さゆみの後輩たちは、今までで一番の後輩たちだと思います。だから、これからも、もっともっと、あの娘たちなら頑張れると思います。さゆみも、見守っています。

卒業コンサートで道重さんが足をつってしまったとき、急きょ9人でパフォーマンスを行うことになった後輩たちは、こんなこと言うと道重さんはプンプンと怒った顔になってしまうかもしれないけど、道重さんがそこにいないことを全く感じさせないほど完璧なパフォーマンスを見せてくれました。それを遠くから見つめる道重さんは、どんなに誇らしい気持ちだっただろうかと、もちろん悔しい気持ちもあったでしょうけど、それ以上に嬉しかったんじゃないかと想像しています。

卒業セレモニーのとき、足がつって立てなくなった道重さん、二度目の急な暗転のとき、ぼくたちはさゆみんコールをしました。でも、そのコールが道重さんのプレッシャーになったらどうしようと思って、ちょっとコールが小さくなったんです。ぼくたちもどうすれば良いか分からなかったから。だけど後輩たちは、真っ暗な中、ファンにさゆみんコールを続けるよう盛り上げてくれました。ピンク色のサイリウムだけに照らされた彼女たちは、みんな笑顔で。大丈夫、楽しんでいいんですよと、後輩たちはぼくたちに伝えてくれました。それはまさしく道重さゆみさんが背中で伝えた道重イズムです。後輩たちが頼もしくなったのは、道重さんがいたからです。最高のモーニング娘。を作ってくれて、本当にありがとうございます。

<その5>
最後に、もう一度、すべての人に言わせてください。今まで、本当にどうもありがとうございました。

それはぼくたちの台詞です。勝手に取らないでください。まあでも、これだけ素敵なものを沢山くれたのだから、許します。だけどぼくらみんなは、道重さんがぼくたちに思ってくれるのと同じくらいに、道重さんにありがとうと思っているということを、どうか忘れないでください。今までも、そしてこれからも、ずっとありがとうと思っています。

もらった愛は返すものだと、教えてくれたのは道重さゆみさん、あなたです。だからぼくたちは、道重さんからもらった愛を、これからのモーニング娘。に返していこうと思います。9期、10期、11期、12期、そしてこれから出会う13期以降のみんなにも。道重さんは、モーニング娘。を卒業して一人のモーニング娘。ファンになるんですよね。是非一緒に、モーニング娘。を応援していきましょう。全盛期は一度だけとは限らない。モーニング娘。がある限り、ぼくたちはその言葉を信じられることができます。道重さゆみさんと一緒に、来るべき全盛期を迎えることが出来るのは歓びというほかありません。これからもずっとモーニング娘。を好きでいてくれて、本当にありがとうございます。


<結論>
追伸。アンコールで歌った「赤いフリージア」ですが、入りの音程が完全に外れていましたね。さすがだな、と思いました。いつの日になるかは分かりませんが、今度は完璧な「赤いフリージア」を聴かせてくれることを、心から期待しています。

文・相沢直

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