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100円ショップを全国展開するダイソーの矢野博丈社長(71歳)。その「ネガティブ過ぎる経営哲学」は度々話題になるが、円安時代に突入して再びその語録がネット上で話題になり、「意味凄い考え方だ」と脚光を浴びている。



最も凄いのは「会社がいつも潰れる」と社員に堂々と発言しているところ。

「6年ぐらい前まで『ダイソーはつぶれる』という確信を持っていました。そもそもダイソーなんて底の浅い商売ですから」
「ダイソーはつぶれる。そうしないために一緒にがんばりましょう、と社員に言っている」

この社長一流のやり方なのだろうか?社長自ら危機感を煽って社員も調子に乗らないそのように仕向けているようにも感じる発言、トップシェアのダイソーだからこそ、競合も次々と参入して来た時にも「急成長してきたセリアや、キャンドゥのおかげで『潰れるかもしれない』と思えた。その危機感があったから持ち直すことが出来た」と発言するなど、適度な緊張感が成功の秘訣なのかもしれない。

また「顧客はすぐに飽きるもの」という考え方もユニーク。「お客様はよう分からん」と断言した上で、「お客様にはすぐ飽きられるものです。ずーっとずーっと恐くて、眠れなかったんですよ」と、これも弱気と取られ兼ねない発言。

自社製品に関しても非常に自信がない。他社製品を引き合いに「セリアには店でも商品でも負けた」「イトーヨーカ堂の会長に自社商品を見せたらものすごい怒られた」等々...。

しかしこういう発言を続けることで、これも常に顧客に対して慢心にならない、手抜きの無い経営、言葉を替えればポジティブに伝える事も可能だが、矢野社長の場合はネガティブな言葉が逆に響いて来る。

一方で社員に全て任せるスタイルも際立つ。「新しい店舗は社員たちが決めて作り上げました」「私にはとても、こんな店作りはできません」とここでは「褒める言葉」。このギャップにやられる社員もいるのではないだろうか。

「やってきたことがいいか悪いかは、ダイソーが潰れる時にならんとわかりません」と、自画自賛という言葉を知らないのかと言うほど謙虚な矢野社長だが、ダイソーの100円ショップのアイディアの原点は、当事日本一だったダイエー中内功オーナーの「催事場が汚くなるから、ダイエーグループは100円均一の催事は中止する」と干されたことが切っ掛けだという。「ピンチをチャンスに」という起死回生の大胆さの一方で、常に弱気と思える程の慎重な経営でトップ企業を築いてきた。

円安時代に突入しダイソーには逆風が吹いている真っ只中だが、矢野社長の次の一手が気になるところだ。

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