とかく、行楽シーズンになると、全国各地にある遊園地などで、いわゆる「絶叫マシーン」を楽しむ人々が急増、テレビの情報番組などでも、その光景が紹介されることもしばしばであるが、この広い世界のなかには、そうしたマシーンに乗らずとも、日々の生活の中で、実にスリリングな体験をしている人々が、少なからず存在している。
これは中国の湖北省で、山間部に住む人々たちが物資や人々の移動のために使用しているお手製のケーブルカー。村人たちの生活を支える重要な手段の一つとして、日々、フル活動しているというこの装置は、ヨーロッパのスキー場から古いリフトの装置を手に入れ、そこにお手製のカゴをつなぎ合せて設置したものだという。
実はこの地域、その厳しい自然環境から、そもそも周辺の地域と隔絶された状態にあり、それでも昔からこの場所に住む人々は近年まで普通に暮らしていたというが、ここ数年は中国全体で生活様式がめまぐるしく変化したこともあって、都市部の人々と同様に、携帯電話やパソコン、テレビといった家電や日用品のある暮らしを手に入れようと考えたという。結果、村の外で働いたり、学校へと通ったり、買い物に出ることを思い立った彼らは、こうした試みを行うようになった。
現地では「ごくごくありふれたもの」であるとはいえ、我々からすると、か細いケーブルにぶら下がり、小さなカゴで移動するというその光景は、まさに死と隣り合わせのもの。しかし、少なくとも彼ら村人にとってそれは、自ら勝ち取った、希望の綱と言えるのかもしれない。
文・遠山勤
【参照リンク】
Scariest commute in the world? Mountain-top villagers use rickety cable car to get to work YouTube
http://www.mirror.co.uk/news/world-news/scariest-commute-world-mountain-top-villagers-4784766
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