これを読んでるあなたが超優秀な働き者なら「ウチ来ない?」なんてヘッドハンティング的なことがあったりすると思うんです。「給料は今のところより倍だよ~」なんて人参をぶら下げられたら即飛びついちゃいますよね。でもちょっと待って! それを決めるのは『フォックスキャッチャー』を観てからにして!
ということで、今回ご紹介する『フォックスキャッチャー』なんですが、まず念頭に入れておきたいのは、この映画は実録映画ってこと。でも観る前に調べちゃうと面白さ半減だと思うので、ググり癖のある人はストップ! 観てからのほうがいいですよ。
映画はオリンピックの金メダリストであるマーク・シュルツ(チャニング・テイタム)が、財閥の超御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)が率いるレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に来ない? とお誘いを受けるところからスタート。とはいってもこの時点でマークにとってのデュポンは見ず知らずのオッサンですからね。当然怪しむわけです。でも「フォックスキャッチャー」には最新のトレーニングマシンが勢揃い。おまけにデュポンは目ん玉がぶっ飛ぶほどの年棒契約金をマークにご提示。妙に話も合ったりなんかしちゃったもんだから、マークはすっかり気を許してガッチリ握手で契約成立。......これが不幸の始まりです。
マークが契約しちゃった超金持ちのオッサン、ジョン・デュポンという人間なんですが、平たく言うと狂人だったわけです。それも、ギャーギャーわめくようなわかりやすい狂い方ではなく、音を立てずじわじわと人を侵食していく沼っぽいタイプのキチ。これはタチが悪い!現代ではそういう人を「統合失調症」だの「サイコパス」だのと簡単な言葉一つで片付けちゃう傾向がありますけど、この映画ではそういった言葉を一切使わずにじっくり「基地外」を描くわけです。なのでこの映画って、「もしも自分がキチに金で買われたら」という恐怖を描くホラーなんですよね。僕の経験上、日本にもデュポンのような人間はわんさといるので、みなさんホント気をつけましょうね!
『フォックスキャッチャー』は2月14日(土)、新宿ピカデリーほか全国公開
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文/市川力夫
http://youtu.be/zWNHlt3mEOk
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