末期の脳腫瘍で余命宣告されていた父親が、自分が死ぬ前に、同じくガンと闘っている娘のために遺した"あるもの"が、ネット上に大きな感動を呼んでいる。
イギリスに住むトム・アトウォーターさんは、この数年、脳腫瘍と闘った末に、先月末に亡くなった。彼には娘のケリちゃんがいたのだが、ケリちゃんは生後3ヶ月の時に小児がんのひとつである神経芽細胞腫と診断。一度は化学療法で治ったのだが、再発の恐れは十分あると医師から言われた通り、3歳のときに再発してしまう。しかし家族にとって悲劇はこれだけでは収まらなかった。トムさんも、脳腫瘍であることが同じ時期に発覚したのだ。
手術はしたのだが悪性の腫瘍を取りきれず、ゆくゆくは死に至ると告げられたトムさんは、衝撃を受けつつも家族のために残された日々を生きようと決意したという。
「ガンで死ぬことがわかっているのに前向きになるのはとてもとても難しいことだった。でも妻とケリが、僕に笑顔で前に進むべきたくさんの理由を教えてくれたんだ」と、トムさんは生前インタビューで語っている。
二度目の化学療法も成功したケリちゃん。しかし再発の可能性はまだ高いことを医師から知らされたトムさんは、自分はもういないであろう未来の彼女の治療費を募金で募ろうと思い立った。
NPO法人The Neuroblastoma Children's Cancer Alliance UKのサポートを受けながら、ケリちゃんを救う募金活動「Kelli Smith Appeal」を始めたトムさん。その結果、最終的には50万ポンド(約9000万円)も集まったのだそうだ。
「これは僕にとって、夫として父親として、とても大きな意味をもつことだった。娘のためにし残したことが決してあってはいけないと思っていた。それがどんなに難しいことでもね。いま僕は、感謝と共に、大きな仕事を終えたきもちでいっぱいだ」。
そして9月29日に永眠したトムさん。妻のジョーリーさんは夫の死後、Facebookに「彼は私のヒーローでした」と投稿している。
It is with great sadness that I share with you all that my wonderful and amazing husband Tom Attwater passed away this...
Posted by Joely Attwater on Tuesday, September 29, 2015
■参照リンク
http://www.dailymail.co.uk/