アメリカを代表するベストセラー作家 マイケル・ルイスの原作をもとに、ブラックな笑いが持ち味のアダム・マッケイ監督が経済破綻の裏側で起きた真実にユーモアを掛け合わし痛快なドラマに昇華させた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』が3月4日(金)より全国公開となる。この度、本作でマッケイとともに脚本を担当し、見事アカデミー賞脚色賞を受賞したチャールズ・ランドルフに電話インタビューを実施。金融映画として"新しい"本作の魅力や、ブラッド・ピットのプロデューサーとしての顔を教えてくれた。
--オスカーにノミネートされたとき、誰と喜びましたか?
アカデミー賞ノミネート発表の当日は、実は朝5時にアダムの家に集まっていたんだ。ふつうは選ばれなかったとき、すごく悲しくなるから本当は人と見るものではないんだけど、幸いなことにたくさんノミネートされたからみんなハッピーだったよ(笑)
--マーゴット・ロビーやセレーナゴメスの用語解説シーンがとても面白かったです。金融映画としては新しい作品ですが、参考にした作品などはありましたか?
今回は本当にユニークな作品になったと思う。それはもちろんアダムのお陰でもあるんだ。彼は独特なコメディの資質を持っているんだけど、それが僕の資質と重なって、見たことがないような新しいタイプの作品になったんじゃないかなと思っている。
執筆にとりかかる前に、お互いに参考するべく観た作品があったんだ。僕はミロス・フォアマンの大ファンで特に初期のチェコでつくっていた作品が好きなんだけど、それらはコメディではあるけれど、当時の社会状況では言えないような体制だったり、社会に対する批判をコメディの形を取りながら静かに行っているんだ。
アダムの方は『24アワー・パーティ・ピープル』を参考にしていて、ライアン(・ゴズリング)は映画の中でナレーションの役目を果たしているけど、キャストのひとりでありながら観客に語りかけてきたり、作品自体にコメントをし続けるといった手法はインスパイアされた。だけど、それは物語の意図みたいな部分で少し参考にしただけで、お互いにそれをそのまま使っているわけではない。
今までフィクションでこういった手法をとる作品をなかなか観たことがないし、脚本において言えば、一番観ていて面白いポイントになっているようにも思える。だって、顕在的な用語を説明するのに、誰かがでてきて、映画の流れをわざわざ止めて、説明して、また物語が始まるんだからね(笑)
僕ら二人の脚本、そしてアダムのビジョンとキャスト、編集者のハンク(・コーウィン)等と共に密なコラボレーションをした結果が、この非常にユニークな作品なんだ。
--いちばん好きなシーンはどこですか?
自分で書いたシーンでは、ライアンがジェンガを使って、住宅市場崩壊の構造をわかりやすく説明するシーンだね!とても気に入っている。
あと、アダムが書いたシーンで一番気に入っているのは、ブラッドが市場の崩壊を知り喜ぶその若きトレーダーたちをビシッと制するシーンだ。あそこで作品のトーンが変化を遂げるわけで、観客にとってもそれまで応援していたはずなのに、応援しちゃいけないんだと思わせるシーンだったと思う。それはなぜならば、彼らがやっていることは直接的に観客の方の生活にも影響を及ぼすことでもあるからね。
--セリフのスピードが速く、やり取りが多いですが気を付けた点はどこですか?
僕はもともと早いペースの台詞回しが大好きなんだ。なぜなら、例えば人というのは仕事場の同僚でお互い顔見知りであれば、専門的なことについてなんかはとても早く話すものだと思うからだ。特に仕事場を舞台にした会話は早くあるべきだと思う。コメディ的にも成立すると同時に、仕事場でのリアリズムを出せるからね。
--製作者としてのブラッド・ピットをどう思いますか?
本当に最高だよ!彼だけでなく、あとの三人(デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、アーノン・ミルチャン)を含め本当に最高だ。非常に聡明だし、品がある。それからなによりも映画づくりを大切にしているし、矜持を持ってつくっている、地に足がついた四人だと思う。
あと、マスコミがどう言うとか下らないことに一切目を向けずに映画づくりをしているところは、ブラッドが国際的なセレブであるからこそ面白い点だよね。名声というのは人を良くもすれば悪くもするし、名声を得たときにサバイブすることはとても難しいことだけど、それができるのがブラッドなんだ。彼はとても聡明で地に足がついていて、自分の価値感をしっかりと持っているから、そういう名声に対して揺るがないものを持っているんだと思う。それは非常に珍しい資質だと思うし、プロデューサーとしてもとても素晴らしいよ。
--4人のキャラクターで誰が一番好きですか?
どのキャラクターも自分の子どものようで選べないな(笑)
ライアンは、ユーモラスに演じていて、アドリブの入れ方も俊逸だった。スティーブ・カレルはすごくエモーショナルで、オープンな演じ方をしていた。クリスチャンにおいては、世界でもトップに位置する役者の一人だと僕は思っているんだけど、今回もまた恐れ知らずの独特なパフォーマンスで、変わったキャラクターを献身的な演技で見せてくれたと思う。ブラッドにおいては、成熟した演技を見せてくれた。容姿なんかは、彼だと知らなければ最初は気づかないんじゃないかと思うくらいで、実は眼も物語の後半にならないとよく見えないような、非常に静かな演じ方をしていた。やっぱり自分の技に自信があるからこそ、あそこまで役に埋没して演じられるんだと思うね。
映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は3月4日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
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■参照リンク
映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』公式サイト
moneyshort.jp
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