(インタヴュー・構成=清水素子)
――今年初のインタヴューなので、まず、この年末年始はどう過ごされたのか? そこから伺わせてください。
TφRU:大晦日にライヴをやって、家に帰り。『初詣!爆笑ヒットパレード』を観る……という例年通りの流れでしたね。
YU-DAI:完全版を録画してあるのに、まだ半分までしか観てない! ただ、『ニューイヤーズワールドロックフェスティバル』を見逃しちゃったんで、良い新年のスタートは切れなかったですねぇ。
JUNRO:僕はなんとなく正月っぽい番組を流しながら、眠くなるまで飲んで、寝て、起きて……みたいな。毎年の感じです。
――つまり、皆さん例年と変わらずと。
TφRU:いつも通りです。ライヴ始まりは1月4日で、12日のSC(サポーターズクラブ)限定ライヴでは“よさこい”の衣装を着ました。
YU-DAI:毎年着物で福助。くんのお母さんから着付けしてもらってて、申し訳ないから自分で着れるものにしたら、よさこいが来た(笑)。
TφRU:よさこい祭のときに使う鳴子も用意してもらって。よさこいっぽいフリをしながら登場しようって、リハも3回くらいやったんですけど、これが本番グッズグズで!
JUNRO:それっぽい音楽に合わせて、キメとかも作ったのにね(笑)。まぁ、よさこいを誰もよくわかってなかったから。
――そんな楽しい年明けを経ての第1弾が、この「雪どけのブルース」。こんなにメロウでしっとりしたナンバーが表題に来るとは、ちょっと驚きでした。
TφRU:曲に関しては今回、あんまり考えずに作ったんですよ。強いて言えば、パンキッシュすぎるものは避けようかなぁってくらいで、実はカップリングの「春ウラハラ」のほうが先にできたんです。そっちがちょっとダンサブルな曲だったんで、それと対比になる曲にしようと「雪どけ~」を作ったら、コッチのほうが曲の持ってるインパクトが強いんじゃないかと。
YU-DAI:歌詞も一から書き直した!
TφRU:本当は「春雨とマロニー」っていうタイトルで、全然違う詞が付いてたんですよ。そしたら「コミカルすぎるからダメ」と社長にダメ出しされて、でも、内容はしっかりしてる!って力説してたよね。
YU-DAI:そう! 女のヤキモチがテーマで痩せてる子が春雨ちゃん、太ってる子がマロニーちゃん。“貴方のために頑張って痩せたのに、マロニーばっかり構うのね”っていう、すごく良い歌なんですけど、サビの一番盛り上がるところで“太い子が好きなのねぇ~♪”みたいな歌詞になっちゃって(笑)。良い曲なぶん、もう少し真面目に書きたいなと。
――同じ失恋の歌でも、サビが〈泣いてなんかないわ〉ですからね。確かにシリアス。
TφRU:デモの段階では静かな感じの曲だったのに、歌が乗ったら熱い感じになりましたね。あと、イントロは映画音楽っぽくしたかったんですけど、結局メロが入ったら一気に歌謡曲っぽくなっちゃった(笑)。
YU-DAI:ド頭のアコギ、なんか時代劇みたいなおどろおどろしさがあるよね。
JUNRO:うん。三味線っぽくて、そこになると絶対(『男はつらいよ』の)寅さんが浮かぶ。
TφRU:そう? 俺はギャング映画とかをイメージしてたんだけどなぁ。
YU-DAI:デモでは頭のギターが全部ラッパみたいな音で入ってたから、確かにギャング映画っぽかったけど、できあがったらヤクザ映画というか。やっぱり我々の和の部分が全面に出てしまった(笑)。
――おかげで、とても泣けます。ちなみに“雪どけ”をモチーフにしたのは、3月末のリリースに合わせて?
YU-DAI:いや、3月末に出すのは27日の渋谷クアトロ公演限定盤だけです。LIVE会場限定盤は4月末に始まる春ツアーでの発売なんだけど、歌詞を書いてたときに車からすごい雪が見えたんで、どうしても雪を絡めたくなったんです。あとは「春っぽい感じを出したいね」って話もしてて、そっちは「春ウラハラ」でやれたかなと。
――先程おっしゃっていた通り、こちらはダンサブルでノリノリな曲ですね。
YU-DAI:そしたら勝手にラップみたいなイメージが出てきて、頭の中にパラッパラッパーが浮かんだから、〈パッパラパー〉とか〈YOYOYO〉って言葉が出てくるんです。そこから続く〈てめぇ イッちゃってんじゃねえの? 脳脳脳〉っていうフレーズも気に入ってますね。ただ、息継ぎがキツいんで、ライヴでは「YOYOYO」を二人に任せたい。
TφRU:ああ、コーラスをね。メロ自体は可愛い感じですけど、詞と歌い方はけっこう激しいんですよ。
――そうなんです。彼女に浮気された男の曲ですが、なぜ〈金で解決して別れよう〉なんていうフレーズが出てくるのかと。
YU-DAI:それは僕の持論ですね。浮気されてボコボコにしたい気持ちはやまやまだけど、そうすると捕まってしまうんで、金で解決するのが一番だという大人の考えです。
――な、なるほど……。JUNROさんはいかがでした?
JUNRO:こういうノリは演奏するのも好きなんですけど、意外と速かったんで大変でした。ライヴだとこれ以上の速さになるかもしれないから、演奏にかかりっきりになりそう。
YU-DAI:そんなんじゃダメだよ。アートポップエンタテインメントなんだから踊らなきゃ! ただ、ダンサブルなバンドではないので、客席はどうなるか……。
TφRU:ダンサブルな曲でも、ウチってわりとお客さんがおとなしいんです。YU-DAIくんが何かしら提示して、やっと徐々に動く感じ。
YU-DAI:僕は踊ろうが何しようが、来てくれればそれでいいんですけど。ま、臨機応変にやってもらいたいです。
――楽しい曲ですからね。ただ、収録2曲ともに春に引っ掛けた恋が破れる歌になっているのには、何かこだわりが?
YU-DAI:やっぱり春と言えば別れの季節ですからね。いつもは「大人でポン」みたいな、これから旅立つ人に向けてのエールを歌ってましたけど、あえて今回は春の嫌な部分を歌ってみました(笑)。
――そんなところもYU-DAIさんらしい(笑)。そして3曲目は両タイプそれぞれに既発曲のアコースティックバージョンが収録されていて、本当にセクアンのアコースティックってカッコいいなと痛感しました。
TφRU:僕も今回のアコースティックが今までで一番気に入ってます。
JUNRO:うん。カッコいいと思う。最初は激しいのが2曲なんで、どうなるんだろう?って完成形が見えなくて。TφRUに聞いたら「そのままで」って言われたんですよね。それでも何度も確認した(笑)。
TφRU:「暴動男(と書いてライオットマン)」はリズムをハーフにしてますけど、「絶頂バリケイド」は完全に同じアレンジで、楽器をアコースティックに持ち替えただけなんですよ。
YU-DAI:ま、アコースティックっていうと、いつもけっこうシンミリした曲をやってたから、今回は激しい曲がいいんじゃないかって。
――結果、クアトロ限定盤の「暴動男~」は太鼓やアコギがラテンな感じで、LIVE限定盤の「絶頂バリケイド」はランニングベースが利いたウエスタンと、見える景色が違って面白かったです。さらに前者には「波間のデストロイ」、後者には「ニューシングル!買わなきゃよかったこのメガネ スタンドバイミー気狂い白書」と、なんとJUNROさんがヴォーカルを取った曲が入っているのも見逃せないですね。
YU-DAI:いや、そこは本来触れてほしくないところなんです。
――というと?
JUNRO:もともとは、ワンマンライヴでYU-DAIくんがドライヤーをかけに行く時間を繋ぐために、僕が何かをやるコーナーが設けられて。じゃあ、歌ってみようってことで作ってもらったのが「波間の~」なんです。それが3年くらい前で、第2弾が「ニューシングル!~」。
TφRU:ずっとカヴァーをやってたんですが、オリジナルがあったら盛り上がるんじゃないかと、言い方悪いですけど片手間に作った場繋ぎの曲だったんですよ。だから、それを音源化してセクアン名義で売るっていうのは、全く考えてなかったんです。まぁ、今回はSC通販と会場限定のみで一般発売はしないと言うから、入れるとしたらココじゃないかと。
JUNRO:けっこうお客さんからは「出ないんですか?」と言われたりもしたけど……。歌詞もYU-DAIくんの歌詞に出てくる言葉を遊びっぽく繋げただけで、あんまり真面目に書いてなかったし。
YU-DAI:僕なんて、この2曲に関しては何も関わってないですからね! あ、でも「ニューシングル!~」のタイトルは俺が考えたな。インストアイベントで「YU-DAIさんはタイトルを付けるのが得意だそうなので、今、何か付けてみてください」って言われて、そこで付けたのがコレなんです。じゃ、いくらか俺に入ってくる?
JUNRO:俺にいくらか入ってきたら分けるよ! もうね、1枚通して聴くと、YU-DAIくんが歌ってる曲との違いばかり耳についちゃって。確かに僕は歌なんて歌ってこなかったから、このクオリティはしょうがないって、わかってはいるんですけど……。
――つまり、YU-DAIさんに対するライバル心があるってことですね。
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