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【インタヴュー】 メガマソ/ニュー・シングル「ブラインドイノセンス」
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【インタヴュー】 メガマソ/ニュー・シングル「ブラインドイノセンス」

2014-05-19 20:30

    (インタヴュー・構成=東條祥恵)

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    ――『FOOL'S MATE』が休刊して以来のインタヴュー、気合いを入れてやっていきたいと思います。では、ニュー・シングルの「ブラインドイノセンス」。これはメガマソの遺書ですか?
    全員:えっ!? えっ!?(驚)
    涼平:違いますよ~。
    インザーギ:いいっすね! 一番最初から「これはメガマソの遺書」って。いつもの取材が始まったって感じがしますよ(ワクワク笑顔)。
    Gou:ぎゃはははっ(爆笑)。いきなりコレどうなのよって。
    インザーギ:俺ね、いまでも覚えてるんだけど。(アルバム『Loveless, more Loveless』リリース時のインタヴューで)「涼平、死ぬの?」って聞いたじゃないですか。もしかして、殺したいのかなと。
    一同:(大ウケ)
    ――ちがっ、違いますよ~。
    涼平:ほら、まずインパクトありきで狙ってくる人だから。
    ――(違うし……)
    Gou:俺は“衣装”って聞こえてちゃったもんだから、なんで衣装?ってそっちで驚いた。
    ――なんかね、「ブラインドイノセンス」は遺書に思えたんですよね。
    涼平:遺書ではないですね。歌詞を読んでもらったら分かると思うんですが。いまでも変わらない自分たちが音楽を始めたときの気持ちと、なおかつ僕らの音楽を聴いてくれてる人たちもこういう気持ちで聴いてくれてるんじゃないかなという思いを描いたものです。遺書ってことではないけど……でも、ここまで赤裸々に書く歌詞はないのかなとは思いますね。分からないけど、こういう歌詞にある思いってどのバンドの人も持ってると思うんです。バンドを長く続けてるとね、途中から聴かなくなる人も出てくる。僕だって途中までは聴いてても聴かなくなっていったバンドはたくさんいるからね。それは、歌詞にも出てくるような感覚のずれで。でも、ギター・ソロの後でいってるように、もし君がいま聴いてる音楽が僕らの音楽じゃなくても、それでもいいじゃないかという気持ちもあるんですよ。曲がキャッチーだからこそ、歌詞は生々しい方がいいかなと思ってこういうものにしました。
    ――感覚のずれを〈僕の言葉で、キミの密度を増やせなくなって。〉と歌う歌詞とか生々しいですもんね。ここのインパクトにやられて、遺書っていう解釈が出てきたんですよね。
    涼平:あー、なるほど。でも、ここは僕がずっと聴いてたスマパン(スマッシング・パンプキンズ)からジェームス・イハが抜けて以降のCDを聴いても、あんまり響かなくなってる自分がいたのを思い出しながら書いたんです。こういうのを(メガマソのファンに対しては)認めたくないとかではなく、どんな人にも起こりうることだと。それでも構わず自分たちがやりたいことをやり続けられたらいいなということを、最後のメッセージとして描いた歌なんです。“僕らの音楽はもう聴かなくなったという人がいても構わない。それでも僕らの音楽はまだずっとここにあるよ”ということです。だから、ネガティヴな意味あいはこの歌詞にはないですね。
    ――聴かなくなっている人がいるのは当たり前なんだ。
    涼平:そう。だって、オアシスも僕は4枚目から聴かなくなったし。自分がそうなのに、メガマソのファンには「一生俺らの音楽を聴け」っていうのはおかしいでしょ?
    ――でも、ヴィジュアル系の人たちはそこをあえてそう歌うことでリスナーとの絆、ロマンを抱かせるのが得意じゃないですか?
    涼平:理想としてはみんなそうあって欲しいと思ってるからそう歌うんですよ。hydeさんみたいにいつまでも美しい人は別ですけど、みんな歳をとっていきますから。
    ――十分美しいですよ、涼平さんも。
    涼平:いやいや。それはさておき、ヴィジュアル系としての見た目は衰えたとしても、僕らはいつも“曲”には自信がある。それを好きな人が応援してくれて。たまに聴いていいなと思う人でも、ライヴには行かなくなったけどCDは聴くとか、YouTubeでPVを見たりしてるよって人でもいいんです。音楽を好きでいてくれたら。
    ――音楽を好きでいてくれたら、また感覚が重なるときがあるかもしれない。そう考えるとポジティヴな歌詞に思えますね。では、インザーギさんはこの曲、どう感じました?
    インザーギ:僕は、もしかしたら最初におっしゃっていた“遺書”という感覚も分かって。
    ――(涼平を見ながら)ほらね……インザーギさんならこの感覚を分かってくれるはずだと。
    インザーギ:そうなんですよ(微笑)。
    涼平Gou:ぎゃはははっ!(大爆笑)
    インザーギ:この曲は一番最初にちょっと切ないメロディがあって。バンドインして開けて以降は疾走感あるメロディに変わるから、どんな歌詞をのせるんだろうって思っていたらこういう歌詞がきた。僕もこのバンドに対する思いはすごく共感できたからこそ、この曲がメガマソなんだという思いを残したかったんです。だから、“遺書”という気持ちは僕の感覚にも近い。自分がいままでメガマソでやってきたものを全部入れたいと思って歌ったので。これまでは曲の主人公になって歌ってたんですけど、この曲は自分(メガマソのインザーギ)で歌ってますから。

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    ――なるほど。これ、ライヴでのお客さんのノリはどんなものを想像しながら歌いました? 私は遺書だと感じたせいか、みんなが騒いでるシーンが思い浮かばなかったんですよ。
    インザーギ:歌入れのときに涼平にいわれたのは、バンドは勢いはあるんだけども歌はバラードの要素を残したいってこと。その部分が届いてるんじゃないですか?
    ――だからこそ、キャッチーな曲でも言葉が届く。ここはナイスなディレクションですね。
    涼平:ありがとうございます(照笑)。最初にハキハキ歌ってもらったんですけど、それだとポップになりすぎちゃって。
    インザーギ:それで、歌にも落差をつけてみたんです。最初はすごくバラードっぽく歌って、バンドが入ってきたらリズムに合わせてって。でも、それよりも全編バラードっぽさを引きずって歌った方が……
    涼平:断然よかった。カッコよかった。
    インザーギ:アップテンポの歌い方に寄せれば華やかになるし、ポップにもなるし、ノれる。だけど、そこをしないカッコよさを残した歌い方ですね。
    ――難しいメロディや音域、譜割りをクリアするようなテクニックとはまた違うところでのワザありな歌なんですね。
    涼平:それを思いついたのも、元々僕が作曲した時点ではもっとバラードっぽい曲だったというのがあったからですね。
    ――では、Gouさんはこの曲についてどう感じました?
    Gou:病みましたね! すごくね、歌詞が強いんで。意味合いが。俺は……この歌詞の意味が分かったときはすごく悩んで。うーん……って思いながら、これを弾いていいのかなとも思った。でも、最終的にいきついたのは、このメガマソっていうバンドが大事だってこと。そういう思いを感じた曲です。
    ――Gouさんにはかなりヘヴィな歌詞だった?
    Gou:うん。特に〈共感できる芸術家もいないし〉っていうところとか、俺には重かった。俺にはそういうアーティストがいっぱいいるからこそね。もちろん、俺もこの歌詞にあるように途中で聴かなくなったアーティストはいるんだ。そういうふうに俺らの音楽を聴かなくなった人たちもいるんだというのは、この歌詞を一番最初に見たときから受け入れてた。でも、それでも本当は聴き続けて欲しいという思い。それを信じたい気持ちが自分の中にはあったんで、そこで病みました(苦笑)。
    ――理想と現実の狭間でね。
    Gou:うん。だからこそ、メガマソを前に聴いてたという人にもこの曲は届けたい。そういう人こそ共感できると思うから。
    ――タイトルにはどんな意味が込められてるんですか?
    涼平:“インセンス=無垢”という言葉を使いたくて。僕らは7年間メガマソをやってきて、いまだに夢を見ていて周りが見えていない。音楽をやってる人たちはみんなそうだと思うんですけど。でも、それがアーティストにはすごく大事で。周りが見えると感覚はいい意味で一般化していくだろうけど、自分たちの一番大事なオリジナリティ。そのプライオリティはどんどん下がっていって誰にも届かなくなる。アーティストにとって盲目な純粋さはとてもいいことなんだという意味で、このタイトルをつけました。

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    ――こうやってイノセントな部分を守り続けることで、バンドも長続きするんですかね。
    涼平:僕はそう思ってるんですけどね。
    インザーギ:僕は涼平が書く曲が好きだからというのが一番デカいかな。だから、歌いたいと思うし、メガマソをやりたい。いまでも涼平のデモ聴くと歌いたいって思う。他の人には歌わせたくないって思う楽曲を書いてくる魅力が一番デカいかな。
    Gou:俺は、バンドが続く理由はメンバーが支えあってるからとしか思えない。はははっ(笑)。わがままな人を支え……てる?
    ――えっと、そのわがままな人というのは?
    Gou:……涼平?
    一同:(笑)
    Gou:俺もそうだし。みんなわがままなの、メガマソって。俺とインザーギは、そのなかで間違いなくドM(笑)。そういう絶妙なバランスが上手くいって続いてるんだと思う。

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    ――なるほど。ではc/w曲についても聞かせて下さい。「ICY MILK LAKE」。これね、本作の収録曲のなかで一番好きです!
    涼平:嬉しいな~。これは「ブラインド~」でいっている“キミの好きだった世界観はこれでしょ?”というのをここに置きたかったんです。
    ――えっ……そのワナにはまってしまった?
    インザーギ:まんまとね(笑)。(涼平を)転がしてるつもりが、いつのまにか涼平の手の上で転がされてるじゃないですか!(嬉)
    ――……(大苦笑&落ち込む)
    涼平:(満足げな表情で)だってね、ソリッドなギターロックの後に普通こんな曲は置かないでしょ? 流れを考えたらもう1曲ノリのいいロックな曲を置く。だけど今回は1曲目の歌詞の意味合いに寄せて〈感覚はこっちに合わせて〉という、その感覚をc/w全曲に置いていったんです。だから、メンバーそれぞれの曲も入ってるし、新曲もこういう個性派な曲を選びました。
    ――感覚をメガマソに合わせると、「ICY ~」では星のスープの音が聞こえてきたりして。
    涼平:聞こえました?(笑顔)
    インザーギ:そこまで聞こえちゃったら、今回は涼平の勝利だね(微笑)。
    涼平:あれいいでしょ? ビョークを聴いてたら雪を踏みしめる音でリズムとってる曲があって。メガマソだったら何だろう?と考えて、じゃあ氷の音でリズム作っちゃおうと。氷の音をいくつかサンプリングして作った音をリズムとして入れたんです。
    ――サウンドは北欧ワールド。
    涼平:まさに!
    ――メガマソならではの青白いファンタジックな世界に浸れる曲ですよね。
    インザーギ:ですね。だから歌詞に感情の意味合いは持たせず、歌は一つの楽器と位置づけて歌ってます。ウィスパーで歌って欲しいというのは最初からいわれてました。
    Gou:俺はこの曲、ライヴでやるときはインザーギがまず椅子に座って、スポットをあびながら氷が入ったグラスをカランコロンしつつ歌って欲しい。
    涼平:それ、見たい! しかも入ってるのは牛乳。牛乳がどんどん薄まっていっていくの。
    インザーギ:次に「牛乳(mjolk)」が始まる。
    涼平:いいね!
    ――ここまでは全盤共通ですね。初回限定Aというのが“ようこそ盤”。
    涼平:はい。最近ファンになった人から「1枚買うならどれがいいですか?」と聞かれるので、初めての人はこれがいいよという意味で“ようこそ盤”を。c/wには、ポップなメロディを得意とするインザーギが書いた「sweet change(Acoustic Ver.)」を入れて。さらに、ミュージック・ビデオを収録したDVDをつけました。
    インザーギ:「sweet ~」はアコースティックなので優しいタッチで届くと思います。これ、一発録りです。1回しか歌ってないんですよね。
    ――続いて、初回限定Bが“マニアック盤”。
    涼平:これは、c/wにGou作曲の、メガマソのなかでも異色な曲「Until(Re-recording)」が入ってて。
    Gou:この曲の歌詞は、夢のなかで見た景色を文章にしたものです。前のはギターのアルペジオから始まってたんですけど、今回はベース・ソロから始まる曲にしてみました。
    涼平:DVDには、俺らの“マニアック座談会”というのが収録されてます。これは、俺らがメガマソのマニアックなクイズに答えていくという内容で、またこのクイズがね……
    Gou:3人ともボケボケで。
    インザーギ:ダメダメなんですよ(笑)。
    涼平:ファンの子が想像するのとは違う結果になってるんで、これは面白いと思います。その他に2月にやったライヴも収録されていて。“ようこそ盤”に較べると、もう一段階奥に入った人が楽しめる内容になってます。
    ――そして、通常盤。
    涼平:これはCD ONLYで“ようこそ盤”と“マニアック盤”の間ぐらいの位置づけ。c/wには「カレイノオヤド」が入ってます。
    ――カレイって?

     
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