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佐藤秀峰氏の「ブラックジャックによろしく」の二次利用自由化と、クリエイターの幸せについて考える
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佐藤秀峰氏の「ブラックジャックによろしく」の二次利用自由化と、クリエイターの幸せについて考える

2012-08-20 22:30

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    佐藤秀峰氏が、著作の一つである「ブラックジャックによろしく」の二次利用を9月15日から自由化すると発表しました。詳細は9月15日に発表するらしいです。

    2次利用の自由化では、商用・非商用問わず、作品をネットに掲載したり、国内外で書籍として出版したり、翻案やアニメ化、小説化、映画化、テレビドラマ化したり、グッズを製作して販売したり、同人作品で2次創作を行い同人誌として販売する──といったことが自由に行える。利用について事前連絡は不要で、使用料なども一切要求しない。。。そーです。

    ここまでいくと、商業漫画初のクリエイティブコモンズにしてもいいんじゃないかという勢いです。

    なにはともあれ、個人的には、前代未聞の試みですごいことだと思います。なんか面白い使い方がないかなーと思ってます。

    とりあえず、EPUB3にして、勝手にkoboで売ってみようかと思ってます(笑)


    「ブラックジャックによろしく」原画展のお知らせ。

    著作権というのはそもそもが創作者が勝ち取ってきた権利で、例えば、土地とか財産とかそういう物の所有権とは比べるべくもなく弱いものです。従来の著作権を振りかざして利益を得る方法は段々と古くなっていくはずです。

    これ、すごい考えるんですよね。世のデジタル化が進めば進むほど、作品が作りやすくなって、創作物というものの価値がすごい下がってる。やばいと思う。やばいと思うのに、世の中に創作物があふれてる。プラットフォーマというヤマ師が集まり、創作物を「コンテンツという鉄砲玉」のように扱う。プラットフォーマからみて、作品は数字をなすものでしかない。正直、紙であれ、デジタルであれ、コンテンツ業界は、個人的には未来がないと思ってます。

    デジタル化、ネット化が、創作の敷居を下げたのは事実ですが、価値も下げたんじゃないかと思ってます。最近。

    ■お金よりも読まれること・使われること・知られることの方が幸せだと思う

    ぜんぜん関係ない話です。

    なんか作っている人にとって、お金よりも、使われること・知られること・読まれること・見られること・認められることの方が幸せだと思うことが多いです。

    東京に来たばっかりのとき、いくつか研究系の受託案件を何個か受けていたことがありました。大阪で細々と仕事するときよりも、はるかに単価がよかったのですが、そこで作ったものが世に知られることはありませんでした。貯金通帳の数字で人が幸せになるわけではありません。変わったのは、コンビニのおにぎりを買うときに、120円のでも140円でも迷わなくなったくらいです。

    最初はやりがいはあったのですが、そのうち納品しても、なんか楽しくないんですよね。一年かけて作ったものが、世に知られず、とある会社の報告書とファイルで終わってしまうのは、お金になるけどしんどいなぁと思ったりします。ある程度の領域にいくと「お金じゃねえよな」と思うことも多いです。

    やっぱりね、なんか、お金よりも、作ったものが世に出て、いろいろ出回って、評価された時のほうが楽しいときもあるんですよね。ただ、実際、世に出ても、人に知られず、お金にもなってないのが99.9%なんですけどね。

    ですから、実際、80%以上のクリエイターは、「作りたくないけど、お金になるものを作る」か「好きなものを作っても、お金にもならないし、世にも知られない」のどちらかだと思ってます。

    どうしてプログラマはフリーウェアを作るのか?自分でサーバー代を出してサイトつくるのか?と言われたら、やりたいから、としかいいようがないです。特に職業プログラマは、給料もらっているので、食っていくのに困らない。職場で作りたくないものをつくるのも大事だけど、勝手に好きなものをネットでばらまくのも楽しいんですよね。お金にならないけど、自分にとって意味のある創作活動ってあるんですよ。あと、自己満足的な意味もあるけど。

    まぁ、ブラよろは、すでに世に知られているので、今回の件と、ぜんぜん関係ないですけどね。別件で「お金じゃねえよな」と思うことがあったので、まぁ、作ったものが世に流れたほうがいろいろいいよなーと思うことは多いです。ただ、コンテンツ業界に関しては、いろんなものがあふれすぎて、タダでも見てくれないものも多いので、難しくて面倒くさい。そこで、ソーシャルですよ!とか言う人もいて、もっと面倒くさい。

    以前、佐藤秀峰さんが、「ブラックジャックによろしく」を絶版になる前から、無料で配布していて、androbookで使っていただけることになった際、どうしてなのかと聞いたら、「そもそも『ブラックジャックによろしく』コミックの印税が知れてるから、それに比べたら、読んでいただいたほうがいい」という、ゴモットモなご意見を頂いて、無駄に納得しました。

    佐藤先生は、ネットでムズカシそうなことを言っておられるのですが、実際はムズカシくない人なので、びっくりしました。今回の2次利用の自由化もムズカシそうなことを言ってますけど、やろうとしていることはシンプルなので、個人的には大賛成です。

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