【参考】ゲームエンジン『Unity』の新料金プラン発表に批判集中 →謝罪のうえプラン再検討へ:
https://getnews.jp/archives/3444091[リンク]
「Unity Runtime Fee」についての修正案を告げるオープンレター(An open letter to our community | Unity Blog):
https://blog.unity.com/news/open-letter-on-runtime-fee[リンク]
「Unity Runtime Fee」の問題はどう解決したか?
そもそも「Unity Runtime Fee」は、新料金プランであるとともに実質的な値上げとなっていた。そして今回の修正案においても、値上げという点に変わりはない。
しかし値上げ自体は、特に問題となっていなかった。今後も『Unity』を継続的に利用するためには、Unity Technologiesが健全なかたちで収益を上げるのが大前提だからだ。ではどこが問題だったかというと、大きく「課金モデル」「信義則」「技術的問題点」の3点。
まず「課金モデル」については、『Unity』で作られたゲームのインストール数に応じて手数料が発生するという形式が問題とされていた。無料ゲームの場合、収益に対してインストール数が大きくなってしまうことから経済的なダメージに繋がってしまう恐れがあったためだ。
これに対し修正案では「収益の2.5%」か「ゲームの新規ユーザー数に基づいて計算された金額」のうち、いずれか低い方となった。仮に大量の新規ユーザーを獲得したにもかかわらず収益が低かったという場合であっても、低い方の金額に基づき課金される。
また、「Unity Runtime Fee」が適用される条件も、「過去12か月で20万ドルの収益」&「累計20万インストール」というものから、「過去12か月間の収益が100万ドル以上のゲーム」というかたちに変更された。このため無料ゲームであっても、経済的ダメージを受けてしまう恐れはなくなったといえる。
次に、「信義則」については、過去のバージョンの『Unity』で作られたゲームに対しても新料金プランが適用されるという点が問題だった。5年前の『Unity』で開発し、5年前に発売したゲームについて現時点で追加料金を払うというのは、いくらなんでも理不尽だろう。
こうした「信義則」を反する点については、修正案を告げるオープンレター冒頭で、深い謝罪のメッセージが書かれている。さらに具体的な修正点として、新料金プランが適用されるのは「2024年以降に出荷されるUnityの次のLTSバージョンからのみ」となった。既にリリース済みのゲームや現在開発中のゲームは、新料金プランの適用対象となるバージョンに『Unity』をアップグレードしない限り、対象とならない。
そして最後の「技術的問題点」について挙げられていたのが、「どうやってインストール数を計測するのか?」という点。ユーザーが個人情報の取得を拒否可能なスマートフォンアプリにおいては、初回インストールと二回目以降のインストールを正確に見分けることが不可能に近いからだ。
この点については、『Unity』利用者側の自己申告制となった。ちなみに自己申告制という形式自体は、『Unreal Engine』でも採用されているかたちだ。
「Unity Personal」は条件緩和! 失った信頼を回復できるか?
SNSの反応を見る限り、「Unity Runtime Fee」の修正案は比較的前向きに受け取られているようだ。ただその一方で、今回の件が信頼を損なうものであったことは間違いない。実際に今回の騒動後、『Unreal Engine』や『Godot Engine』など、『Unity』からの移行先となるゲームエンジンが注目を集めている。
こうした状況もあってか、修正案の中で「Unity Personal」プランは「Unity Runtime Fee」以前と比べてさらに条件が緩和されている。「Unity Personal」プランは、個人や小規模デベロッパーを対象に用意された無料プラン。個人や小規模デベロッパーが対象であるため、過去12か月に得られた売上または調達した資金が10万ドル未満という利用条件が設定されていた。
「Unity Runtime Fee」はこの「Unity Personal」プランに対しても適用されるというかたちだったが、この点については修正案で撤回。さらに、10万ドル未満という条件が20万ドル未満にまで緩和された。また、「Unity Personal」ではゲーム起動時に『Unity』のロゴマークが必須表示となっていたが、これも必須ではなくなった。
『Unity』が今回の件で信頼を失ったのは事実。ただ「Unity Personal」についての変更は、「失った信頼を回復し、今後もゲームコミュニティと共に歩みたい」というUnity Technologies社の意志としてポジティブに受け取ってよいといえるのではないだろうか。
(執筆者: ガジェット通信ゲーム班)
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