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2015年のアカデミー賞レースは、共和党のフロント・ランナーであるドナルド・トランプに注目が集まる米大統領選挙に負けず劣らず、作家ラングストン・ヒューズの言葉を借りるならば、多くの叶わぬ夢のシーズンに入った。

先頭を走る者は誰か……誰も答えられないだろう。なぜなら、フロント・ランナーが不在だからだ。

俳優同士が功績を讃え合うスクリーン・アクターズ・ギルド賞(SAG)のノミネートは、いつも退屈なものとして迎えられる。候補者のほとんどが、数週間のあいだ、一向に変わらないからだ。しかし、12月9日(現地時間)の朝、ブロガーたちはアカデミー賞最大の投票部門によるセレクションに叫び声を上げた。この投票部門による判断は、誰がアカデミー賞にノミネートされ、最終的に受賞するかについて、一般的に得られる最も確かな指標とされている。

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受賞が推定されていた多くの作品が選ばれなかった。例えば、ベストアンサンブルの『オデッセイ』、ジェニファー・ローレンスの『Joy(原題)』、マイケル・キートンの『Spotlight(原題)』、ウィル・スミスの『Concussion(原題)』などだ。その代わりとして、スクリーン・アクターズ・ギルド賞の投票者たちは、映画『I Smile Back(原題)』のサラ・シルヴァーマンや、映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』のヘレン・ミレンのような、さりげない演技を喜んで受け入れた。そして多くのノミネートにかろうじて入った映画は、『Spotlight(原題)』、『Brooklyn(原題)』、『キャロル』ではなく、3部門(アンサンブル賞とヘレン・ミレンの二度目の助演女優賞を含む)にノミネートされて、好評価を獲得している『Trumbo(原題)』だった。

今年の賞レースは非常に混乱しているので、ゴールデングローブ賞の候補にも注目が集まるだろう。

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しかし、ご存知の通り、ハリウッド・フォーリン・プレス・アソシエーションが良識の代弁者となる時は、必ず、トラブルになる。2015年の賞レースが、なぜ、いつもよりおかしなことになっているのかを、5つのポイントでご説明しよう。

1:フロントランナーの欠如
例年であれば、今頃の時期になれば、世間一般の感情はすでにある役者、例えば『モンスター』のシャーリーズ・セロンや『プレシャス』のモニークなどに移入し始める。しかし今年の作品賞レースは、まったく違う方向へとバラバラに分かれていくだろう。例えば、『Spotlight(原題)』(この作品だけがスクリーン・アクターズ・ギルド賞のアンサンブル候補を通じて勢いを増し続けている)、『Brooklyn(原題)』、『オデッセイ』、『キャロル』とまだ公開されていない『レヴェナント:蘇えりし者』がある。この状況が、演技カテゴリーの賞レースにも波乱をもたらした。主演男優賞は誰の手におさまるか? ジョニー・デップ(『ブラック・スキャンダル』)か、レオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)か、マイケル・ファスベンダー(『スティーブ・ジョブズ』)だろうか? 主演女優賞は、ブリー・ラーソン(『Room(原題)』)か、シアーシャ・ローナン(『Brooklyn(原題)』)か、3度目の受賞となるケイト・ブランシェット(『キャロル』)だろうか? 唯一の一致した意見は、ルーニー・マーラ(『キャロル』)とアリシア・ヴィカンダー(『リリーのすべて』)は素晴らしい演技をみせているということだけなのだが、あれでさえ、議論を招いている。十分な上映時間だったにも関わらず、この二人の女優は、助演女優賞のレースに推されている。アカデミー賞はそれでも抵抗して(ひとりもしくは両方を)主演の賞にノミネートするだろうか。首をかしげている専門家たちもいるのだ。

2:助演部門の候補者が、多すぎる
少なくとも、20人もの俳優たちが本命争いの渦中にいる。候補者には、キートンとマーク・ラファロ(『Spotlight(原題)』、ケイト・ウィンスレット(『スティーブ・ジョブズ』)、マーク・ライランス(『ブリッジ・オブ・スパイ』)、ジェーン・フォンダ(『Youth(原題)』)、シルヴェスター・スタローン(『クリード チャンプを継ぐ男』)、トム・ハーディ(『レヴェナント:蘇えりし者』)、クリスチャン・ベイル(『マネー・ショート 華麗なる大逆転』)、ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイトフル・エイト』)、クリステン・スチュワート(『The Clouds of Sils Maria(原題)』)、ジェイコブ・トレンブレイ(『Room(原題)』)、イドリス・エルバ(『ビースト・オブ・ノー・ネーション』)、レイチェル・マクアダムス(『Spotlight(原題)』)、マイケル・シャノン(『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』)、エリアベス・バンクスとポール・ダノ(『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』)、ベニチオ・デル・トロ(『ボーダーライン』)、新人俳優のマイア・テイラー(『タンジェリン』)が含まれるだろう。挙がった名前のうちの半分は、アカデミー賞の朝にいなくなるだろうが。しかし、誰が落とされるかは、誰にも予想できない。

3:批評家は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が気に入っている?
アカデミー賞の投票者たちは、このホリデーシーズンにどのスクリーナーを見るべきか探っており、彼らはその指標として、批評家の動きをよく見ている。批評家グループからの応援をもらえたかもしれなかった『Brooklyn(原題)』や『レヴェナント:蘇えりし者』を含む、たくさんの敗残者がいた。しかし、ニューヨーク映画批評家協会賞が『キャロル』を彼らの最優秀賞に推し、ロサンゼルス・フィルム・クリティクス・アソシエーションが作品賞に『Spotlight(原題)』を推すなか、小さな映画たちは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の怒涛の追い上げによって、影が薄くなってしまった。この作品はロサンゼルス・フィルム・クリティクス・アソシエーションから本命の賞を受け、同じくボストン・オンライン・フィルム・クリティクス・アソシエーションと米国映画批評会議のナショナル・ボード・オブ・レビューからも作品賞を受賞した。

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4:スクリーン・アクターズ・ギルド賞の候補は『オデッセイ』の可能性をつぶしてしまったかもしれない
スクリーン・アクターズ・ギルド賞のレースは単独で賞シーズン全体を混乱させることはできない。しかし、2015年は、とても変な年である。アワーズ・デイリー(Awards Daily)の記者であるサシャ・ストーンがツイッターで指摘するには、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、ビデオ制作会社のウェインステイン・カンパニー、映画配給会社のフォーカス・フィーチャーズの映画が、スクリーン・アクターズ・ギルド賞のベスト・アンサンブル賞に含まれなかった(『ビースト・オブ・ノー・ネーション』、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』、『Spotlight(原題)』、『ストレイト・アウタ・コンプトン』を含む)。そして、統計的に言うと、『オデッセイ』がこの一覧に入っていないということは、作品賞の機会を逃したかもしれなかった(スクリーン・アクターズ・ギルド賞のアンサンブル候補にならずに作品賞を受賞したケースは、1995年の『ブレイブハート』以降、1度もない)。今、可能性が高いのは、『ビースト・オブ・ノー・ネーション』を抱えるNetflix(ネットフリックス)が、手ごわいアカデミー賞のプレイヤーになるかもしれない、ということだ。それは、アイオワ州とニューハンプシャー州の投票者が決め手になるような大統領選挙のようなもので、スクリーン・アクターズ・ギルド賞の候補者は、アカデミー賞の挑戦者を勢いづける助けになる。スミスかローレンスのようにもみ消されている彼らは、自分たちの映画を見るように、より一層、投票者の説得に努めなければならない。

5:アカデミー賞の投票者が、12月公開の映画に対して甘くなるか厳しくなるか、分からない
アカデミー賞シーズンは、早めの公開された映画、例えば『アルゴ』『ディパーテッド』『クラッシュ』『ハート・ロッカー』のような作品で形づくられることが多い。しかし、勢いのない年であれば、後からの追い込みでエントリーすることもある。2013年の『アメリカン・ハッスル』と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や、2004年の映画『ミリオンダラー・ベイビー』は、最後の最後、ギリギリでアカデミー賞の候補へと割り込むことができた。今年はどうか。悲惨な収益に終わった『スティーブ・ジョブズ』、評価が混沌としている『ブラック・スキャンダル』を勘案すると、弱い年だと考えられる。専門家は『レヴェナント:蘇えりし者』『クリード チャンプを継ぐ男』『ヘイトフル・エイト』『Joy(原題)』はアカデミー賞レースに深く割り込むと推測しているのだが、批評家とスクリーン・アクターズ・ギルド賞は、事実上、これらの映画を全て無視し、代わりに早々に公開された映画を好んでいる。全く……どうなることやら。

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