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『クリード チャンプを継ぐ男』

【ストーリー】
自分が生まれる前に死んでしまったため、父アポロ・クリードについて良く知らないまま育ったアドニスだったが、彼には父から受け継いだボクシングの才能があった。亡き父が伝説的な戦いを繰り広げたフィラデルフィアの地に降り立ったアドニスは、父と死闘を繰り広げた男、ロッキー・バルボアにトレーナーになってほしいと頼む。ボクシングから身を引いていたロッキーは、アドニスの中にアポロと同じ強さを見出し、トレーナー役を引き受ける。

監督:ライアン・クーグラー

アドニス・ジョンソン:マイケル・B・ジョーダン
ロッキー・バルボア:シルベスター・スタローン
ビアンカ:テッサ・トンプソン

公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/creed/

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ボクシング映画としても、“老人と若者”映画としても抜きん出た傑作!/ソドム対ゴジラ

1964年、カウンター・カルチャーの波がアメリカを打ちのめし、1968年以降、映画の中のヒーロー達は世の不条理に逆らって戦い、無惨に倒れて行きました。そんなアメリカン・ニューシネマの流行も陰りを見せ始めていた1976年のこと。ある映画の中の主人公は、いつもの様に(これまでのニューシネマ作品がそうだった様に)、鬱屈した人生を送っています。そして彼は、強いアメリカの象徴とも言える巨大な敵に挑むことになります。彼の目標は、勝てずとも、せめて最後まで自分の脚で立っていること。いつもの様に主人公は散々打ち据えられて倒されてしまうのかと思いきや、彼は何と目的を果たし、自分の存在が無意味でないと証明して、克己を成しました。これは惨めな思いをしていたアメリカ国民を鼓舞し、大変な自信を与えました。彼こそがロッキー・バルボアでした。

ロッキーはイタリア系移民。当時はまだまだマイノリティなイメージがある人物造形で、スタローン本人の顔面麻痺による滑舌の悪さも相俟って、惨めな感じのするキャラクターでした。それが勝利をつかんだわけです。以降、ロッキーは克己心の象徴として、アメリカのみならず、世界中の人々の希望として知られる様になりました。

シリーズは量産され、2006年の6作目「ROCKY BALBOA」で見事に完結した、はずでした。何とこの2015年、更なる続編「クリード チャンプを継ぐ男」が公開されました! ロッキーのライバルにして親友でもあり、3作目で非業の死を遂げたアポロ・クリードの息子を主人公と、彼のトレーナーとして協力するロッキーの、二人の物語です。

元々脚本を担当しロッキーを演じてきたスタローンは今回助演に徹していますが、シリーズのプロデューサー、アーウィン・ウィンクラーがコントロールすることで、立派なロッキーシリーズの最終作にして新章が誕生しました。監督のライアン・クーグラーは私と同じ86年生まれ!若い!(笑)しかもアフリカン・アメリカンなんですね。主演もアフリカン・アメリカンの、マイケル・B・ジョーダン。「クロニクル」のナイスガイの男の子です。故に、内容は一作目のスピリットを強く感じる作品になっています。

一作目でロッキーが老セコンドのミッキーを”壁にかかってる名前”呼ばわりして批判したことが、今度は自分に返ってくるという流れも、時の流れを感じさせます。老いたロッキーは癌と、若きクリードは現役チャンピオンと、絶対不利な戦いに挑む姿は、涙無くして観れません。そうそう、最後のファイトシーンの、主人公の片目が塞がってしまう流れも「ロッキー2」ですし、シリーズを観てきたファンとしてハンカチが必要な下りです。

一方で、カメラの発達による長回しショットの多用は、当世風の作風として物語に引き込んでくれます。2ラウンド長回しのシーンはボクシング映画を長く観てきましたが度肝を抜かれました! シリーズを観たことない方が観ても、素晴らしい作品に仕上がっています。老人と若者の作品というジャンルでも、ボクシング映画というジャンルでも、頭一つ抜きん出た傑作です。

【プロフィール】ソドム対ゴジラ
日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。卒業後、フリーで映像制作請負業。
ブログ「映画のアレコレとソレコレ」(http://cinemasa0713.blog.fc2.com/)。
自分の為より映画の為に、執筆のお仕事募集中(笑)。

今年最後は『クリード』で真っ白に燃え尽きるべし/よしだたつき

何ッ!? アポロに隠し子がいて、ロッキーに弟子入りだと……ッ! そんな“出落ち感”満載の作品(一瞬でも疑ってごめんなさい)が、これまた最高で激アツで文句ナシの傑作でした。全身の水分が涙と鼻水になって奪われ、劇場(a.k.a.試合会場)を後にする頃には最終ラウンドまで戦いきったボクサーよろしく真っ白に燃え尽きてしまった筆者。『ロッキー』を次の世代に継承したスタローンの思いを想像すると、それだけでまた涙が溢れてくるわけです。

トレーニングシーン、ジョギング疾走シーン、フィラデルフィア美術館の階段シーンと、興奮ポイントをあげればキリがないのですが、特に最後の試合のシーンには驚かされました。まるで本物の試合中継を観戦しているようで、互いに打ち合いながら徐々に顔が腫れあがっていく様子をノーカットで映し出したように見せる編集(HBOの中継風に仕上げている)が素晴らしいです。

最後に、これから鑑賞する人向けの注目ポイントを紹介。アドニスが父アポロの試合映像(YouTube)を観ながらシャドーボクシングをする場面で、アドニスが自身を投影している相手は……。これは亡き父の背中を追い、それを乗り越えようとする物語なのだッ!

【プロフィール】よしだたつき
PR会社出身の肉好き草食系雑食ライター。『Variety Japan』(http://variety.co.jp/)のシニア・エディターとしても活動中。

『クリード』と『おばあちゃんの思い出(ドラえもん)』を観て泣かなかったら人じゃない/藤本エリ

今年の晩秋、都内某所にある試写室を訪れ映画を鑑賞。「めちゃくちゃ面白そう!」とは思っていたものの、実際に観始めたらあらゆるシーンで泣いてしまい、最後には大号泣、グッタリしてその日は仕事が何も手につかず(サボっているわけでは無い)、自宅で余韻に浸りながら惰眠をむさぼった……。のが、そう、何を隠そうこの『クリード チャンプを継ぐ男』。

『ロッキー』シリーズは観ているものの、子供だったせいかそれほど思入れが無かった事を正直に告白しておきますが、こんなに心を動かされるとは思っていませんでした! 本当に最高すぎるの!

伝説のボクサーの血をひいて、ボクシングの才能がある青年が、これまた伝説のボクサーに支えられながらリング上で戦う、というストーリーは実にスポ根でベタではあるのですが(悪口じゃないです、ベタって本当に素晴らしい)、青年がスマートな現代っ子に描写されていて、恋人との関わり方等も、今の時代に実に合っていて、描写が実に自然です。だからこそ、自分を信じる事や、逆境に負けず戦い続ける事、人を愛するという事、などなど、どんな時代になっても変わらない事が浮かび上がってきた様に感じます。

年末年始、観るべき作品はたくさんありますが、『クリード』がthe most priorityなのは間違い無し! お年玉の前借りをしてでも観にいこう!

【プロフィール】藤本エリ
映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

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『クリード チャンプを継ぐ男』全国公開中!
(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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