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自分の家やマンションを旅行者のために宿泊場所として提供する、「B&B」という仕組みがあり、それを使って宿泊する訪日旅行者(インバウンド)が増えている。「B&B」は「ベッド・アンド・ブレックファスト」の略でもともとは英語圏各国で自宅などを宿泊場所として使う小規模な宿泊所のことだ。インターネットを活用したシェア文化の発達とともに日本でも増えてきており、日常化してきているようだ。日本では「B&B」のことを「民泊(みんぱく)」と呼ぶこともある。

この仕組みを提供しているネットサービス「AirBB」が各国都市で旅行中に年越しをする「B&B」利用者の数を発表した。AirBBの利用者だけの数を元にしたデータではあるが、2015年から2016年にかけて、この「B&B」を使って東京で年越しする人の数は2万4千人だそうだ。この数字、日本での「B&B」の急激な普及を印象づける結果で驚きだ。これはもはや日本でも「B&B(民泊)」は定着したといってもよいだろう。

2万4千人という利用者の数は世界の都市で7位。安全な旅行先として世界中から人気を集める日本の姿がここでも浮き彫りになっている。

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また、世界の都市の「利用者急上昇ランキング」も発表されており、上位5位中、日本の都市が3つランクインしている。ここでも日本の都市の急激な人気上昇がわかる。

■人気急上昇の旅行先
1位 福岡 1287%
2位 キューバ 877%
3位 大阪 678%
4位 アカプルコ 519%
5位 京都 417%

世界の都市でトップは福岡。韓国から渡航しやすく、また都市の案内看板等サイネージの整備もひととおり完了していて海外からの旅行者にやさしいというのが急増の理由だろう。

改めてこれらのデータでわかるのは、日本での「B &B(民泊)」が既に普及段階に入り、多くの訪日旅行者が利用し日本での宿泊を実際におこなっているという点だ。

ただこの「B&B(民泊)」、なんと日本では現在グレーゾーンとされている。世界でも上位に入る、これだけの数の利用者がいてグレーというのもおかしな話だが、法的な整備が追いついていないのだ。日本で宿泊している多くの海外からの旅行者が法的整備が間に合わない中、グレーな状態日本で宿泊しているということになる。早く環境整備をして欲しいものだが、厚労省は2016年から省令によりこれら「B&B」を簡易宿所とし、部屋を貸す人に対し営業許可を義務付けるということだけは決めているようだ。そうなると部屋を貸し出そうという人(B&Bのホスト側)は、事前に保健所などに届け出が必要となる。実際営業許可などが始まる時期は2016年4月とも言われているが、これら許可のために何が必要なのか、どのような基準となるのかについては、現在のところよくわかっていない。

日本への旅行が増えている昨今だが、旅行者がこのまま増え続ければ宿泊場所も足りなくなり「旅行に行きたいけど泊まるところがない国」ということになってしまう。東京五輪に向かってホテルなどの整備もされていくそうだが、五輪が終われば急激に需要は減っていることがわかっている状態で、五輪需要のピークに合わせてすべてホテルを新設するわけでにもいかない。

といって、まさか旅行者に野宿でもしろと言うわけにもいかない。

「B&B(民泊)」など小規模な宿泊施設はそういった場合のバッファとしても機能できそうだが、それを機能させるためにはやはり環境整備が必要で、このままグレーゾーンで放置にはできない。これから「B&B(民泊)」に対する規制緩和がどのような形でおこなわれるか、注目だ。

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