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2015年度アカデミー賞最多12部門ノミネートに加え、ゴールデングローブ賞3部門(作品・監督・主演男優賞)受賞のニュースも飛び込んでくるなど、今一番注目されている映画といっても過言ではないのが本作『レヴェナント:蘇りし者』。さらに、音楽で坂本龍一が参加しているなど教授ファンにもマスト・ウォッチな作品であるが、今回筆者は海外で一足お先にその世界を体験してきたので、その超過酷サバイバル追体験記をここで紹介したい。

手付かずの大自然を舞台に、デカプリオが復讐の鬼になる

舞台は1820年代のアメリカ・西部。アメリカ大陸に上陸し次々とその版図を広める西洋人達にとって、西部は「フロンティア」として荒くれ者達が冒険と探索に明け暮れる舞台となっていた。そしてヨーロッパ人と先住民達の争いが激化する中、ディカプリオ扮する猟師ヒュー・グラスは熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったまま森に置いてきぼりにされてしまう。さらに、愛する息子を味方であるはずのアメリカ人に殺害されるなど心身共にドン底に突き落とされるヒュー・グラス。しかし、復讐の鬼と化した彼は不屈の精神で大自然に立ち向かっていくのであった・・・というのが本作の大筋。
かなりシンプルなストーリーに感じるかも知れないが、史実を基にしているにもかかわらず劇中ではあまり細かい背景解説はなされないので、しっかりとストーリーを理解したい人は事前にインディアンの歴史について予習しておくと良いかもしれないぞ。

「レオ様×トムハ」の共演が今まで以上に激アツい!

筆者は「レオナルド・ディカプリオ」を現代最高の役者の1人だと考えているのだが、もう1人選ぶとすれば「トム・ハーディ」を推す。レオナルド・ディカプリオ(以下、レオ様)について詳しく述べる必要は無いとして、トム・ハーディ(以下、トムハ)はレオ様と共演した『インセプション』以降爆発的に存在感を増しており、『マッドマックス:怒りのデスロード』を経ていよいよスターダムに上り詰めた感のある英国俳優である。
今作では先に述べた『インセプション』以来のレオ様とトムハの共演となるのだが、前作では味方同士仲良くしていたのに対し、本作では完全な敵同士となる。中でも印象的なのが、極悪非道のヒールに徹するトムハのどハマり具合。西部開拓時代のフロンティア・スピリッツを具現化したかのようなザ・荒くれ者という出で立ちで、弁解のしようのないワルさ具合はなかなかのものだ。はっきり言ってかなり怖い。
一方、ほとんどセリフを発する事がない(できない)レオ様は執念の体の演技で全てを語っている。どちらの役者の演技も非常に素晴らしく、冒頭から火花を散らしまくって壮絶過ぎるラストへと繋がるストーリーを、是非その目で確かめて欲しい!

映像美の極致:白銀の世界を完全再現

 
人里離れた雪山や雪原に行った事のある人なら経験したことがあるかと思うが、雪が深々と積もった場所では、音が消えてしまったような感覚に陥る事が多々ある。これは単純に雪があらゆる環境音を吸収するため、単純に耳に音が届きにくくなるというだけなのだが、一面の銀世界で音はなく、聞こえるのは自分の吐息だけ。という光景がこの映画では見事に完全再現されている。この映像空間のリアリティは無類であり、ロケに莫大な時間と労力を費やした本作だからこそ成し得た偉業といえるだろう。
そして、本作の監督は昨年度アカデミー賞でも最多4部門を勝ち取った作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の監督「アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ」。バードマンでその効果を遺憾なく発揮した超長回しのワンカットシーンや、うっとりするほど滑らかでスムーズな映像の移り変わりはもはや極上である。

音楽が極めて特殊

その映像と呼応するが如く、これまた特殊なのが音楽である。本作では音楽に坂本龍一も参加しており、従来のハリウッド映画とはかなり異なる趣の音楽、つまり一度聴けばすぐに「あ、坂本龍一だ!」と理解できる紛れも無い坂本龍一サウンドが随所に使用されている。個人的には大島渚監督作品『御法度』で使われた音楽に似ているな、と思うほど。どこかエキゾチックな音楽だが、大自然とは調和が取れており不思議な映像体験を一層引き立てるのに一役買っている。
筆者の今年のオススメ映画一発目はこの作品である。とにかくオススメで、大自然の静けさや荒々しさを同時に楽しみたい人には特にオススメだ!自然は怖い!しかしとても美しい!

映画『レヴェナント:蘇りし者』は2016年4月22日(金)、全国公開予定。

※画像は『レヴェナント:蘇りし者』公式サイト(http://www.foxmovies-jp.com/revenant/)より引用。

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