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捨てないパン屋2「手を抜く」(旅するパン屋 & deRien blog)
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捨てないパン屋2「手を抜く」(旅するパン屋 & deRien blog)

2016-02-07 16:30
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    今回はBoulangerie deRienさんのブログ『旅するパン屋 & deRien blog』からご寄稿いただきました。
    捨てないパン屋2「手を抜く」(旅するパン屋 & deRien blog)

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    手を抜くことによって、僕も喜び、お客も喜び、そして、パンは残らなくなった。

    「僕は手抜きしてパンを作ります。そのかわり、材料は入手できるベストを使います。」と公言しています。

    6年前くらい、菓子パンを無くしたとはいえ、数十種類のパンを作っていた頃、スタッフは最大8名いました。

    今より売上はありました。
    けれど、

    売っても売ってもお金は残らない。
    みんな働きまくって頑張ってるから、ちゃんと給料払ってあげたい。

    だったらもっともっと売らないと。
    どんどん焼く。
    売れるときは売れる。
    でも、残るときは、どんどん残る。

    残るパンにショックを受ける。
    がむしゃらに頑張る。
    だんだん疲れてくる。
    余裕がなくなる。
    優しくなくなる。

    大切な身近な人にあたってしまう。

    俺ってだめだな。と思う。

    という状態になっていました。
    転機は3年前、オーストリアのパン屋での研修でした。
    朝8時に行って、お昼に仕事が終わってしまったのです。

    労働時間4時間・・

    手抜き。

    しかし、そのパンは日本のどのパンよりも断然に美味しい。
    おれは、18時間も寝ずに働いて、いろんな人に迷惑かけて、出来るパンは、ここよりまずい。

    何やってたんだろう・・
    日本にいた頃は、気づけなかった。
    手をかければかけるほど、良いパンが焼けると思ってた。

    でも違った。
    手をかけて、B級の材料を使うより。

    手を抜いて、最高級の材料を使うほうが、断然美味しくて、作るのも楽で、値段も安い。
    そして、これは、パン屋だけでなく、他の仕事にも共通するのかもしれないぞ。
    だったら、まず自分の店で証明するべし。

    と思ったのです。

    そして、帰国してお店を再開する時に、手抜き宣言をしたのです。
    種類は4種類、具は入ってない、そして大きいパンだけ。
    だから結構な量を焼いても、作るのは僕一人、適当に捏ねて、どかっと丸めて、4時~11時で仕事を終えて家に帰ります。

    そして、12時~18時で、奥さんが店頭で売ります。

    種類も、製法も、売り方も、営業時間も、手を抜いています。

    でもそのかわり、材料はベストのものです。
    粉は国産の有機栽培のもの、有機がなければ減農薬のものをつかいます。

    薪窯や自家製酵母の使用も材料の一部と考えてのこと。
    もちろん材料代は倍以上に高いです。
    でもそれでも、手間ひまかけて、人手もかけて作るより、はるかに安く作れます。
    お客は、良い材料の美味しいパンを食べられます。

    しかも、安い。

    パンは売れ残りにくくなりました。
    そしてそれは、お客さんも、作りても、農家さんも、その周りの人も、みんなを喜ばせる方法だったのです。

    関連記事
    「捨てないパン屋」 2016年2月7日 『ガジェット通信』
    http://getnews.jp/archives/1386255

    執筆: この記事はBoulangerie deRienさんのブログ『旅するパン屋 & deRien blog』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2016年02月07日時点のものです。

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