ライトセーバーを手に対峙したカイロ・レンとレイは、たとえ足元から地面が崩れ去ろうとも、最後まで戦い抜く決意をしていた。
製作会社インダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)のテクニカル・ディレクター兼スーパーバイザーを務めるダン・ピアソンは、映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』におけるクライマックスの戦いで、大地が崩れ去るリアリティを観客に信じ込ませる仕事について、「ドラマは一瞬で観客を引き込まなければなりません。でなければ、それ以外の仕事がすべて無駄になります」と語った。ピアソンと彼のチームは、独自のシミュレーション・エンジンを作り、地質や物理法則に基づいて森林と大地が崩れていくリアリティを生成した。
「地面の粒子には、乾燥した粒子と湿って泥のようになっている粒子があります。そうした粒子の物理的な情報をシミュレーション・エンジンに入力すると、エンジンはその構成を基に、全粒子のリアルな動きを作るのです」(ピアソン)。
彼らのシステムに多くの情報を提供することで、システムは2人のキャラクターの足元で地面が本当に動いていると観客が信じ込むリアルなデザインを生成した。私たちが無意識のうちに受け入れ、予測している物理法則にしたがってすべての動きを作るからだ。
一度シュミレーターが大地の動きを予測し、コントロールできるようになれば、チームはあまり手作業をする必要がなくなる。しかし、その時点では、シミュレーターはまだ地面の粒子の動きしか作れない。周囲の森の木の枝などは、地面とは違うルールに従うのだ。枝を構築する粒子は、土の粒子とは動きが全く異なる。
「自分たちが満足できる映像効果を作れないのではないかというプレッシャーを和らげるため、我々はこの映画の脚本をなるべく早い段階で読み、シミュレーターの構築作業をスピードアップする機会を見出しました」(ピアソン)。
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