通勤のラッシュ時に、急におなかがゴロゴロ。耐えがたい腹痛に襲われて、やむなく途中下車されたという経験がある人、多いのではないでしょうか?
腹痛自体、食中毒などの急性の感染症をはじめ、様々な病気で起こる症状です。でも、悪いものを食べた心当たりがないのに、急な腹痛に苦しむ機会が多いなら、過敏性腸症候群かもしれません。一度、消化器専門のお医者さんに相談してみたほうがいいでしょう。
過敏性腸症候群(IBS)とは、ストレスなどによって、腸の蠕動運動が乱れ、腹痛などの症状を起こす病気です。
下痢や便秘を伴うことも珍しくありません。
男女比の差はないとされていますが、男性は下痢を訴える方が多く、女性は便秘を伴う方が多いといわれています。
また、春先の季節の変わり目に症状が増加するという意見がありますが、新学期・新年度の環境の変化が影響しているのではないでしょうか。
医学者の間では、厳密にいえば腸の病気ではなく、極度なストレスによる脳への負担と考えられています。実際、医師の診断によっては、抗不安薬や抑うつ状態を押さえる抗うつ剤の処方を軸に、腸の動きをコントロールする薬を処方することによって改善を図るケースが一般的となっています。
具体的には、腸の動きが悪くなって、便が硬くなる人には、塩類下剤などの便に水分を含ませて柔らかくする下剤で便を出させたり、激しい差し込みがある患者には、腸の蠕動運動の動きを抑える抗コリン剤を処方する場合があります。
また、下痢を伴う人には、腸の蠕動運動を鈍くする抗コリン剤(コリンと呼ばれる腸の活動の際に使われる物質を阻害するお薬)を処方し、症状を緩和する方法をとります。
下痢型・便秘型以外に、下痢と便秘が混在するタイプもあります。この場合、整調するよりも、腸のトラブルを引き起こしている不安やストレスを取り除くお薬を中心に処方しながら、経過観察を行います。
ところで、このつらい過敏性腸症候群ですが、厚生労働省や日本消化器学会などの様々なデータから推計すると、およそ1200万人が、この病気で苦しんでいる可能性があります。
つまるところ、日本の総人口の10人に1人が苦しんでいるということになるわけですが、視点を変えれば、勤労世帯の相当数の人は、この病気でトラブルを起こしているといっても過言ではありません(そういえば、ラッシュ時に電車に乗ると、駅のトイレの個室って、必ずといっていいほど満員ですね)。
ふだんの生活の中では、オフの日に思いっきりはじけてストレスを発散させることも大事でしょうね。とはいえ、大多数の人が、自分でコントロールできないほどストレスに悩む時代です。
先述の症状で悩んでいるようなら、消化器専門のお医者さんに相談して、手早くお薬でコントロールするほうが得策かもしれませんね。
※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2013/01/31-375836.php より
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(執筆者: 松沢直樹) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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