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1月9日、京都大学・東京大学・神戸大学の研究チームは、胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が、血流に乗って他の病気の原因となっている可能性を示唆する論文を発表しました。
論文は、9日までに正式に受理され、英国の科学雑誌『サイエンティフィック・リポーツ』に発表されています。

通常、胃の中は強力な胃酸によって満たされているため、通常の状態では菌が生き残るのは難しいです。しかしながら、ピロリ菌は、胃酸に耐える頑丈な体を持っているわけではありません。胃の中に存在する尿素を分解して、アンモニアと炭酸ガスに分解するウレアーゼという酵素を分泌します。つまり、ウレアーゼを出すことによってアンモニアを発生させ、胃酸を中和し、生き延びているというわけです。

しかも、このウレアーゼという物質は、胃粘膜を弱らせることが知られています。ピロリ菌自体が胃がんを引き起こすわけではなく、ピロリ菌が分泌するウレアーゼが、胃酸を中和し、かつ胃の細胞を弱らせるために胃がんの発生を起こしやすくなるというわけですね。
 
複数の抗生物質を同時に投与すると、ピロリ菌を除菌できることが知られていましたが、法令の関係により健康保険を使った除菌治療が実現するまでに時間を要しました。現在では、健康保険を利用した除菌治療が受けられるようになっています。

また、ピロリ菌は、胃がんのほかに、心臓や血液、神経などの病気の原因になることが指摘されていました。今回3つの大学が共同で発表した論文によって、胃がん以外に、ピロリ菌が引き起こす病気のメカニズムが一つ明らかになったといえます。

現時点では、特発性血小板減少性紫斑病(血液凝固に関係する血小板が減少するため、頻繁に内出血を起こし、肌に紫色のあざが出る特徴がある)が、ピロリ菌の関与がはっきりしており、健康保険による治療が認められています。

今回の論文を皮切りに、ピロリ菌の関与が疑われる疾病は、ピロリ菌の遺伝子や分泌物質を調べるなどといった方法を重ねれば、発病との因果関係がはっきりしてくることでしょう。
今回の研究を皮切りに、実はピロリ菌が原因だった病気がはっきりするかもしれませんね。
ともあれ、まずは医師の診察を受けて、ピロリ菌の感染が認められる場合は、除菌治療を受けたほうがよいのは間違いないようです。

※画像はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2009/04/26-017743.php より

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