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近年までその存在をあまり知られていなかった「不安症」。これといった理由がないのに、漠然とした不安感が続くため、患者さんご本人は非常につらい思いをされるといわれています。

かの芥川龍之介も「何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安である」といった言葉を残して自死していますが、ひょっとすると同様の病状にあったのかもしれません。

現在は、抗不安薬が開発され、様々な症状の患者さんに処方されて効果を見せています。また、カウンセリングなどの心理療法や、行動療法などのお薬を用いる以外の治療法も行われるようになり、良い結果をもたらしています。

今回、発見された遺伝子は、平成帝京大学の音羽健司教授と米国バージニア・コモンウェルス大学のジョン・ヘッテマ教授の共同研究によるもので、1月12日付の米国科学雑誌『Molecular Psychiatry』に発表されました。不安症とは、特定の理由がなく、不安な状態が長時間持続して生活に著しい支障をもたらす状態を指します。

症状や病態によっては、全般性不安症、パニック症、社交不安症などの様々な疾患があり、薬と心理療法である程度コントロールできるようになってきたものの、比較的罹患の頻度が高い疾患として知られています。

これまで、様々な研究で、遺伝的要因が関与していることが報告されていましたが、どの遺伝子が特定の原因になっているかは、はっきりしていませんでした。

今回の研究では、米国、ヨーロッパ、オーストラリアの研究者が共同し、合計18000人の患者を対象とした遺伝子解析を行いました。

結果、健康な人と患者の間では、三番目の染色体に差異がみられ、また、二番染色体のCANKMT遺伝子上にある特定の遺伝子が、変異を起こすと不安症になりやすくなることがわかったとされています。

今回の研究結果が、不安症の根治療法につながるかどうかは早計ですが、飛躍的な一歩を遂げたのは間違いありません。

生活に支障をきたすほど悩まれている方にとって、さらに良い治療法が開発されるとよいですね。

※写真はイメージ 足成より  http://www.ashinari.com/2012/12/24-374400.php

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