「社会規範」と「市場規範」
今回はCGM型サービスにおけるユーザーの投稿モチベーションについて考えてみたいと思います。
以前、こんなブログを見ました。
なかなか興味深い記事ですが、要点はこの辺りの記述に集約されています。
考案したレシピをサイトにのせると、他のユーザーから「つくってみました」という報告がくるように楽天レシピ・クックパッドともにできています。そうした他のユーザーからのフィードバックは素直にうれしいものです。行動経済学者の言葉を借りれば、社会規範に基づくインセンティブがうまく機能しています。
ところが、楽天レシピはそこに「楽天スーパーポイント」という市場規範に基づくインセンティブが用意されています。報酬が金銭的インセンティブに変わると、「たのしみ」でしていた作業は「報酬をもらうため」という別の動機づけに置き換えられてしまい、とたんに「たのしくなくなる」のです。
ポイント制やキャンペーンのようなものは、投稿者のモチベーションをより「高める」施策としては効果があるかもしれません。しかし、僕の経験上、コツコツ貯めないと何にも交換できないポイントやほんの僅かな確率でしか当たらないキャンペーンをぶら下げたところで、ユーザーのモチベーションを0から「生み出す」ことは難しいです。仮に一部のユーザーに響いたとしても、そのモチベーションは長続きしないでしょう。
根底にある 「自己顕示欲」
いきなり結論になりますが、僕はユーザーの投稿モチベーションの根底に共通としてあるのは「自己顕示欲」だと思っています。ただし、その自己顕示欲は、単に自らを発信できさえすれば満たされるものでもありません。
例えば、あなたがブログを開設したとします。理論上、あなたの投稿は20億人(全世界のネット人口)の目に触れることになりますが、それだけであなたの自己顕示欲は満たされるでしょうか?
重要なのは、「反応」です。
ブログにコメントが付くなどの「反応」をもらえることで、あなたは初めて見られていることを実感でき、その結果自己顕示欲が満たされるのではないでしょうか?
この推論が正しければ、CGM型サービスが成功するためには、「いかに多くの投稿者が、いかに多くの反応を得られるようにするか」ということが大きなポイントになります。
これがクリアできれば、少なくともユーザーのアクティブ率が高く、持続性のあるサービスになることは期待できるはずです(ここで言う持続性とはマネタイズではなく、長くユーザーに使われるという意味です)。この点を十分に意識したサービス設計を行い、サービスの生命線であるコンテンツを生み出してくれるユーザーをグリップしていきたいですね。
「社会規範」の面から見たFacebookの「いいね」
ここで改めて考えてみると、facebookのいいね!ボタンは非常に理にかなった仕組みだということに気付かされます。反応するためのアクションを極限まで軽量化することで、投稿ユーザーに多くのリアクションをもらたしています。さらに、ボタンは肯定の意を伝えるものしか存在していないため、それにより反応を受ける側のモチベーションを下げてしまうこともありません。
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">by 渡辺 将基