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Pinterest、Fancy、Svpplyの違いって何だろう?キュレーションサイトから学ぶ、これからの消費のかたち
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Pinterest、Fancy、Svpplyの違いって何だろう?キュレーションサイトから学ぶ、これからの消費のかたち

2012-10-24 09:31
    PinterestFancySvpplyのようなキュレーションサイトといえば、使い心地もシンプルで、センスのある雰囲気に惹かれて、ついだらだらと眺めてしまいます。これらのサービスは今年に入り、Eコマース領域との連携においても一目置かれるようになりました。

     

    参考:
    「Pinterest」のトラフィックを収益化する動き–有元美津世のSocial Insights | CNET Japan
    アップル、ソーシャルコマースサイトThe Fancyの買収を交渉中か | CNET Japan
    eBay Inc. Acquires Svpply.com | eBay Ink

     

    そんなPinterest、Fancy、Svpplyですが、ふと、これらのキュレーションサイトの違いってなんだろう?と思いました。「画像・キュレーション・シンプル・おしゃれ」という点については、一見どれも同じように見えます。

     

    そこで今回は、Pinterest、Fancy、Svpplyがそれぞれ「大切にしていること」に注目した上で、それぞれ「どんな体験にフォーカスしたつくりになっているのか」の違いを比較し、整理して考えてみました。
    この比較からは、サービスやサイトの見せ方における工夫など、サービスを運営する上で参考になる部分もあります。と同時に、これらのキュレーションサイトからは、「これからの消費のあり方」について興味深いヒントを学べるかと思います。ひとつの視点として、ご参考いただければ幸いです。

     

     

    Pinterest、Fancy、Svpplyは何を大切にしているのか

    まずは、各サービスが掲げているコンセプトを見てみます。

     

    Pinterest

    ●Web上で見つけた美しいものをシェアするバーチャルなピンボード。
    ●他の人が作ったピンボードを眺めたり、そこから新しいものを発見することを楽しめる。
    ●Pinterestの目指すゴールは、人々がおもしろいとおもった「もの」を通じて世界中のみんながつながること。
    参考: Pinterest / What is Pinterest

     

    Fancy

    ●お店・ブログ・雑誌・ほしいものリストのようなもの。
    ●好きなブランドやショップをアップロードして、その発見をシェア。
    ●自分のお気に入りのものだけを集めたカタログを作ることができる。
    参考: Fancy – Help

     

    Svpply

    ●好きなものを見つけるためのコミュニティ。
    ●会員一人ひとりからセレクトされた110万ものアイテムがあり、7万ものショップやブランドが集まっている。
    ●ショップやブランドと人々とをつなぐ役割となっている。
    参考: About – Svpply

     

    以上のコンセプトをもとに、各サービスがそれぞれ「大切にしていること」を次のようにまとめてみました。

     

    • 関心をベースに「つながること」を大切にしているPinterest
    • 簡単に楽しく「買い物ができること」を大切にしているFancy
    • 世界のすばらしい「モノとブランドとの出会い」を大切にしているSvpply

     

     

    Pinterest、Fancy、Svpplyはどんな体験にフォーカスしているのか

    ではさらに、Pinterest、Fancy、Svpplyそれぞれの使う目的、重視されるつながり方、買い物する方法の3つの切り口ごとに、各サービスを比較しまとめてみました。

     

    使う目的

    ●Pinterestは「スクラップブックをつくること」。

    ●FancyとSvpplyは「買い物すること」にフォーカスしている。

     

    つながり方

    ●Pinterestは結婚式やインテリアなど「ライフスタイル」をもとに関心が近いユーザーとつながる。
    ●FancyはKanye Westなどのセレブユーザーがいたり、バッジ機能でインフルエンサーがわかったり、いわゆる「キュレーター」のような存在とつながる機会がある。
    ●Svpplyはまだ見ぬ世界中の「ショップやブランド」とつながる。

     

    買い方

    ●Pinterestは直接購入の機能はなく、アイテムの詳細情報へのリンクが必ずしもあるとは限らない。

     

    ●Fancyはカート機能があるので、外部サイトに行かずともFancyサイト内で購入できる。

    Fancyの購入機能

     

    ●Svpplyの「buy」ボタンは、その製品を提供しているブランドやショップのサイトにリンクしており、実際に購入手続きをするのは外部サイト

    Svpplyの購入機能 

     

    以上の比較を踏まえて、「ユーザーにどんなふうに使ってもらいたいのか」、逆に「ユーザーは何を求めて使うのか」など、各サイトごとにフォーカスされている体験について、次のようにまとめてみました。

     

    • Pinterestでは、ライフスタイル全般において素敵なことをシェアしたい。そして素敵なことベースで素敵な仲間とつながり、さらに素敵なライフスタイルを磨きたい。
    • Fancyでは、あこがれのハイセンスなあの人からインスピレーションを受けて、びびっとくるアイテムを手軽に手に入れたい。
    • Svpplyでは、今まで出会えてなかったような、すごく自分好みの素敵なアイテムやブランド、ショップと運命の出会いを果たしたい。

     

    一見似たようなサービスでも、使う目的、つながり方、買い方において各々想定するユーザーやその体験は異なり、そのためにどのように機会や見せ方を工夫しているのか、という部分は、サービスやサイトを運営する上でも参考になりそうです。

     

     

    Fancy、Svpplyが重視する「買い物体験」とは

    Pinterestはブランドやショップのコンテンツとして活用されたり、FancyとSvpplyは「買い物機能」を持っており、これらのキュレーションサイトはコマースサイトとしての側面も大きく注目されるようになりました。では、これらキュレーションサイトは「買い物」に対してどんな意識を持っているのでしょうか?

     

    中でもFancyとSvpplyそれぞれの創設者が語る買い物への考え方がとても興味深かったためご紹介できればと思います。

     

    Fancy

    Fancyの創設者Joe Einhorn氏は、Fancyが提供するものとして重視しているのは「買う前の体験」だと言っています。黒いブーツを探している場合を例にとって次のように語っています。

     

    「あなたが本当にその黒いブーツが必要であると自覚する1か月前に、あなたの頭の中にその種を植えられたら、と思っている。そして、それを本当に必要だと思った時に買ってもらえればいい。私たちはそれをできる限り理解したい。」

    参考: JOE EINHORN, FOUNDER OF FANCY, WANTS TO GET YOU PRE-SHOPPING | The High Low

     

    もしFancyで良い感じの黒いブーツを見つけたら、とりあえずリストにコレクションして頭の中に印象を残しておき、後になり「やっぱりあのブーツが欲しい」と思ったタイミングで、簡単にFancyのサイト上で手軽に購入できます。Fancyは、すぐその場で買ってもらうことをユーザーに強要せず、たとえ買わずともFancyのサイトで何か発見をしたりコレクションしたりシェアすることを楽しむ余裕を与えてくれるのです。

     

    Svpply

    アメリカの老舗オピニオン雑誌のWeb版「The Atlantic」より、“Can Pinterest and Svpply Help You *Reduce* Your Consumption?”という記事の中で、筆者は以下のような印象的な言葉を残しています。

     

    私がSvpplyが好きな理由のひとつは、買い物の量を減らせて、しかしより良いものを買うことの助けになることです。

    参考: Can Pinterest and Svpply Help You *Reduce* Your Consumption? | The Atlantic

     

    Svpplyの共同創設者Fric Jacobsen氏は自身のTumblrにて、この言葉を引用しており、これまさに自分が思っていたSvpplyのゴールだとコメントいうコメントを添えています。手に入れるものはなるべく少なく、しかしよりすてきなものを買ってほしい・・・そんな思いが込められたサービスだということがうかがえます。

     

     

    キュレーションサイトに見る、これからの消費のかたちとは

    Pinterest、Fancy、Svpplyのようなキュレーションサイトは、自分がすてきだな、と思ったものをすぐに買わずともコレクションしておけるため、無駄な消費を減らすことができるのかもしれません。しかし単に消費を滞らせるのではありません。

    本当にほしいと思えるものに出会える場となり、私たちの頭の中には印象として確実に残り、そして適切なタイミングに適切なものを買うことができる。そうして出会ったものやブランド、ショップとは持続的で深い関係が築かれ、また次のより良い消費につながっていく。そんな買い物体験を、私たちに提供してくれるサービスになっていくのではないでしょうか。

     

    買う前のすきなアイテムをシェアしたりコレクションしたり、つながりを気軽に楽しみつつ、やたら多くを消費するのではなく、本当に良いと思ったものを消費していく」。これがこれからの買い物の当たり前のかたちになるのかもしれません。


    by フィードフォース
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