※LINE@の画面キャプチャや説明はブログ掲載時点のものです。ご利用に際しては最新の公式情報をご参照ください。

 

お世話になっております。

ループス直人です。

 

B向けのLINEアカウント「LINE@」、皆様ご活用になっていらっしゃいますでしょうか。

 

様々な違いはあるものの、初期費用を含めて月額350万円から提供されている公式アカウントに比べると、非常に廉価なサービスです。とはいえ、小規模な店舗で毎月5,250円、年間にして6.3万円を使う価値があるのかと疑問に思っている店主さんもいらっしゃるかもしれません。

 

2013年6月30日までに申し込むと、初期費用無料、月額費用も3ヶ月の無料のキャンペーン中ですので、ものは試しではじめてみましょう。効果がなかったらすぐやめればいいのです (ヘヘ)。

 

今回のエントリでは、LINE@の利用開始から3ヶ月以内に効果測定し、それ以降継続すべきかどうかを判断するためにやらなければいけないこと、考えなければならないことをまとめてみました。

 

 

LINE@活用の要点

要点だけ先にまとめるとこんな感じになります。

 

 

前提条件

  • 初期費用無料(キャンペーン期間中のみ)
  • 月額費用3ヶ月無料(キャンペーン期間中のみ)
  • 4ヶ月目からは月額利用料5,250円がかかる。
  • 有効友だち数が1万人を超えると、1メッセージ配信につき5円のコストがかかる。

 

要点

  • 無料期間終了後、LINE@経由の売上が5,250円を下回る場合は撤退を検討。
    ただし、「有効友だち数」一人あたりの売上金額が高い(基準として5~10円以上)の場合は友だち数を増やすことができないか検討する。
  • 有効友だち数が1万人未満で、LINE@経由の売上が5,250円を上回る場合、人件費やサービスの製造原価を鑑みて黒字になるようであれば継続。ただし、LINE@経由しない売上の単価が下がったり、既存顧客の来店頻度が上がらないようであれば利益への貢献価値の有無をきちんと精査したい。
  • 有効友だち数が1万人を超える見込であれば、メッセージ1回配信あたり5円というコストを上回る利益を出せるかどうか検討。

※「有効友だち数」→アカウントに友だち登録されていて、ブロック等されていない、メッセージが届く実数。 
 

以下は無料期間中にやるべきことの、おおざっぱな流れです。

 

手順 

その1 : 試算する

無料期間後は毎月5,250円かかるわけですから、何の役にもたたなければ 毎月5,250円の赤字 になります。なので、試算のポイントとしては「5,250円以上+人件費」以上の利益が出るかどうか。利益が見込めるなら使ってみようじゃないか、という話になります。

 

で、どうやって利益を計算すればいいのかって?

 

お任せください。簡単に作成できる試算表の雛形を作っておきました。原本もアップロードしておきましたので、ダウンロードして適当にカスタマイズしてお使いください。

 

LINE@利用試算.xlsxをダウンロード 

※制作者である許直人は上記資料に関する著作権を放棄致します。資料は利用だけでなく転載・カスタマイズ・再配布等自由に行なっていただいて構いません。ただし、利用に際して発生したいかなる損害に対しても責任は負い兼ねます。ご了承の上、自己責任にてご利用ください。・・・と、言うだけ言ってみます。

 

  

基本的には「係数」の部分をいじればそれっぽい数字が出てくるようになっています。今のところ、町の小さな焼肉屋さんをイメージした数字が入っていますので、業種業態に合わせて適当に・・・。難しい関数は使ってませんが、Excelが苦手な方は基本的にグレーの部分はさわらないでくださいね。まあ、ほぼ四則演算だけなので、担当がお店を手伝ってる息子さんだったとしてもネットで調べればなんとかいじれると思います。

 

それぞれどんな数字なのかは「説明」欄を参照してくださいね!

 

あと、表の下にも書いてますけど、ここで出す数字はあくまで「クーポン利用の粗利」でしかないんですよ。 基本的にクーポンで来店した顧客が既存顧客である場合、単純な利益増とはいえないことがあります。本当の売上増加を見るためにはクーポン利用顧客の来店頻度・支払い総額を測定する必要があるんです。 簡単にいうと、いつものお客さんがいつものように来店していて、客単価が下がっただけでは意味がないということ。

 

よくわからなければ、スルーしてください。体感値、つまり体と心で感じることも大事です。

 

ご自身の店舗にどれくらいLINEユーザーがいるか想像つかない場合は、以下のデータを参考にしてくださいね!

 

LINEユーザーの姓・年代別分布

 

LINEユーザーの地域分布等

 

国内のLINEユーザー数は4,500万人以上(2013年2月時点)と言われておりますので、ご自身の商圏や顧客層の数字を掛けあわせれば、目標友達数は見えてくると思いますよ!ちょっと難しいかもしれないですけど、頑張ってください!^^b

 

 

補足 : どんな数字を入れればいいか皆目検討が付かない方へ

LINE@を始める方は、インターネットやWEBを使った集客がはじめてという方も多いことかと思います。試算表で扱う項目は、WEBで日常的にプッシュ&プル型の集客を行った経験がある方は造作なく理解できると思いますが、厳密な効果測定が難しい媒体をメインにしている方にとっては馴染みがなく難しいかもしれません。

 

ただ、深く考えこんでも、試算表に入れるべき「正解」の数字がわかるわけではありません (精度は上がっていくかも知れませんけど)。なので、あんまり考えこまない方がいいですよ。大事なのは、とりあえず考えてみることと (「とりあえずやってみる」ではなく)、自分なりのロジックを組み立てること。無料期間中に実際に試すわけですから、遅かれ早かれ結果は見えてきます。その時に予想と実績の乖離がどれくらいだったのか。どこが見当違いで、どこは正しかったのか。振り返って軌道修正し、今後の見通しが立てられることが大事だと思います。

 

「うまくいかなかった」という結果は、事前に成功基準を持ってはじめるからこそわかるものです。是非、始める前になんらかの目論見をもって進めてみていただきたいと思います。

 

 

その2 : LINE@に申し込む

リンク先のページからLINE@に申し込んでくださいね。

 

申し込みページ

 

申し込みで備考か何か書く欄があったら、「直人さんの記事を見て応募しました :p」と書いてもらえると、私が喜びますよ!NHN Japanさんとは仲良くしていきたいですからね!(へへへ)

 

 

申し込み後、LINE@の機能アップデートやマーケティングデータのような最新情報を受け取るために、ブログのRSS登録か、Twitter/Facebookでのフォローをしておくとよいでしょう。

 

・LINE@公式ブログ

 http://blog.lineat.jp/

 ※利用開始後の管理画面から閲覧できる「お知らせ」にも重要な情報がアップされていますよ^^

 

・LINE@公式Twitter

 https://twitter.com/lineat_jp

 

・LINE@公式Facebook

 https://www.facebook.com/LINE.at.JP

 

 

3 : 事前準備

申し込みをして、審査が通ればNHNから登録通知が送られてきます。管理画面にログインして、必要な初期設定とテストを済ませておきましょう。

 

3-1 : 基本設定

基本設定が必要なのは、主に以下の項目です。

 

項目 概要 ひとこと 管理画面で設定した文言が、LINEの友だち画面に表示されます。こまめに変更するとおもしろいかもしれませんね。 プロフィール
写真 ブランドのロゴやキャラクターを設定するとよいでしょう。ただ、頻繁にプロフィール写真を変えるとユーザーは何のアカウントかわからず混乱するかもしれません。本格的に友だちを集める前にきっちり決めましょうね。 友だち追加時の
あいさつ ユーザーが友だち追加を行った再に自動で送信されるメッセージです。テキストの他にスタンプ、画像、PRページなどを設定することもできます。 自動応答
メッセージ ユーザーからトークで話しかけられた際に自動で送信されるメッセージです。最大200個まで登録でき、時間や日時を指定することができます。ユーザーには、条件にマッチするメッセージがランダムで表示されます。

※上記内容はブログ執筆時点のものです。アカウント登録後、NHN Japanの公式情報を必ず確認してください。

  

3-2 : 「LINE@ナビ」に登録

LINE@ナビ

LINE@の場合、LINE公式アカウントと違って基本的には自分たち自身でアカウントの周知をしていく必要があります(LINEアプリ内「友だち」タブからの毛なs区機能などの導線はある)。

 

その中で、数少ないLINE公式集客導線である「LINE@ナビ」には管理画面から無料で登録できますので情報を入力しておきましょう。

 

自己紹介文の他、ヘッダ画像(974*280px以上、3M以内)とサムネイル画像、店舗紹介画像(3枚まで)が登録できますので必要に応じて用意しましょう。

 

 

 その4 : 「友だち」を増やす

 最初の試算で目標友達数を出しましたよね!その数を目指して、お客様にPRしていきましょう。

 

まずはNHN Japanから無料で送られてくるPOPやステッカーなどを使った店舗での告知からはじめます。

 

続いて、QRコードを発行してメニューやチラシ、ありとあらゆる面を使って宣伝していきましょう。自社ホームページやメルマガなんかもいいですね。スマートフォンサイトをお持ちであれば、「友達追加」ボタンを是非設置してみてください。QRコード」、「友だちに追加ボタン」のいずれも管理画面の「基本設定」ページで取得できます。QRコードの画像や、表示されているタグを埋め込むだけなので簡単ですよ。

 

 また、2013年2月18日より、有料の店舗用POPが提供されているようです。お使いのアカウントを友だち追加するためのQRコードやアカウント名が印刷されていますので必要であれば LINE@ のお問い合わせページからお問い合わせください。

 

QRコードが印刷された店内POP

お店の窓に貼るステッカー

 

その5 : オファーを考え、メッセージ配信

「その4」のプロセスを経てお客様が「友だち (≒お客様のこと)」が増えてきたら、いよいよクーポンや情報を発信していきます。

 

メッセージは「テキスト」「画像」「PRページ」の3タイプから選べます。

 

項目 概要 テキスト ユーザーに対するテキストメッセージです。メッセージには絵文字やスタンプを含むことができます。入力可能な文字数は500文字。送信タイミングは即時送信・予約送信から選ぶことができます。 画像 テキストの代わりに3MByteまでの画像を送信することができます。店舗の様子やキャラクターの画像を送信するのに使えるでしょう。テキストと同様に予約投稿することができます。シンプルな画像クーポンを送ることもできます。 PRページ テキストに収まりきらないような長いメッセージや、画像、クーポンなどを送ることができます。画像クーポンとは異なり、自社サイトへのURLやお問い合わせ先情報などを含めることができます。また、クーポンの種類もシリアルナンバー付きや抽選型クーポンといったものを選ぶことができます。詳細は管理画面のマニュアルを御覧ください。

※クーポンの送信に際しては「景品表示法」などの関連法規を順守してください。

※メッセージやクーポンの内容は利用規約を順守してください。

 

■PRページの種類

PRページの種類

※上記内容はブログ執筆時点のものです。アカウント登録後、NHN Japanの公式情報を必ず確認してください。 

 

上記機能を使ってメッセージを送っていくわけですが、ここで試算表の「プッシュ通知を有効にしてくれている人の割合」という項目を思い出してください。LINEユーザーがLINE@のアカウントをフォローした時点では、プッシュ通知はONになっていますが、ユーザーは任意で通知をOFFにすることができます。当然、メッセージが届いた通知をOFFにしているユーザーよりは、ONにしているユーザーの方が開封率は高くなるでしょう。

 

どれくらいのユーザーがプッシュ通知をONにし、どれくらいのユーザーがOFFに変更したかは、管理画面から確認できません。調べる方法はないものの、重要な数値だと思ったので試算表に含めました。簡単に申し上げると、あんまり無意味なメッセージやユーザーが好感を持てないメッセージを連発すると、プッシュ通知をOFFにされる可能性が高く、そうなると次第にメッセージやクーポンの開封率は下がっていくことになるでしょう。

 

つまり、集客(友だち増加)が順調であればあるほど、メッセージの内容は受け手のメリットを十分に考慮し、プッシュをOFFにされないような配慮が大切になってきます。配信内容と頻度には、十分配慮するようにしてください。

 

実際の運用TIPSに関しては、ローソンの運用方針に学ぶところが多いです。もしまだご覧になっていない方はぜひ参考になさってください。

 

参考 : LINE友だち数No.1を走り続ける「ローソン」公式アカウント運用の裏側【ガイアックス】

 

 

その6 : 効果測定を行い、運用を改善する

メッセージやクーポンを送信したら、送信数や開封率を見てその内容をブラッシュアップしていきます。クーポンの利用実数は店舗側で測定する必要がありますので、LINE@を使ったクーポン配布を行なっている旨を店舗スタッフに周知徹底し、利用があった場合はきちんとカウントするようなオペレーションを組んでおく必要があります。

 

それ以外には、管理画面で取得できる以下のような情報が運用改善のヒントとして活用できるでしょう。

 

■管理画面の「データ統計」ページ

「データ統計」ページでは、友だち追加・ブロック・差分・送信・配信数をそれぞれグラフと実数で表示することができます。

 

項目 概要 友達追加 集計期間内、該当日にあなたのアカウントが友達追加された数です。  ブロック 集計期間内、該当日にあなたのアカウントをブロックしたユーザー数です。 差分 集計期間内、該当日の友達追加からブロックを引いた純増数です。  送信 集計期間内、該当日のメッセージ送信通数です。 配信数 集計期間内、該当日のメッセージ維新件数です。「送信(配信通数) × 有効友達数」に当たります。例えば、ブロックしていない友だちが100人位て、3通配信した場合の配信数は「300」になります。

 

上記項目のうち、特に注意したいのはブロック数です。ブロック数は絶対数よりも新規登録に対する割合と、メッセージ毎の増減に注目し、ユーザーがどういった内容を好み、どういった内容を嫌うのか把握できるように努めましょう。実数のままでは役に立たないため、CSVダウンロードした後、送信数や有効友だち数などで正規化し、相対的な推移を把握するようにしましょう。

 

 

■メッセージ送信履歴

全体的な統計データの他に、個々のメッセージ送信結果について以下のような内容が確認できます。

 

項目 概要 送信タイプ 「テキスト」「画像」「PRページ」のどのタイプで送信したのかがわかります。 内容 送信した内容が確認できます。 伝達数 送信メッセージの伝達数です。有効友だち数がベースになります。 開封数 PRページが表示された数です。伝達数で除算して開封率を求めることで運用改善に役立てることができます。テキスト・画像タイプでは表示されません。 応募数 抽選型のPRページの応募数です。開封数で除算し、応募率を求めることでオファーの魅力を分析することができます。 使用数 PRページクーポンの利用数です。開封数で除算し、使用率を求めることでオファーの魅力を分析することができます。使い切り型で表示されます。 送信日時 送信日時です。

 

「概要」の欄に記載していますが、 絶対数でそのまま比較するのではなく開封率や応募率を求めることでより効果的な運用改善を行うことができるでしょう。これらの数字はCSVなどでダウンロードすることができないため、個別に集計していく必要があります。

 

 

このように、 メッセージ送信後にユーザーの反応を数値化して分析することで自社サービスユーザーの嗜好性がつかめてくるはずです。管理画面からダウンロード出来るマニュアルにもベストプラクティスが掲載されていますので、それらと合わせて最適なオファーを見つけましょう。

 

3ヶ月後の継続判断

ここまでの運用を続けると、3ヶ月後には一定数の友だちと何回かのクーポン発行結果がデータとして残っていると思います。4ヶ月目以降は月額5,250円の利用料がかかるため、3ヶ月目のデータを元に損益分岐点を求めるとよいでしょう。

 

「損益分岐点」というと難しく聞こえるかもしれませんが、要するにLINE@の運用で5,250円(+人件費)以上の成果を出しうるかどうか、という話です。有効友だち数一人あたりの利益を求め、友だち数が何人くらいになれば5,250円(+人件費)を上回るかを試算します。

 

まあ、この辺りは皆さんがどのようなビジネスを行なっているかによってまちまちでしょうから、ざっくりとした考え方だけ挙げておこうと思います。

 

  1.  LINE@クーポン利用売上から原価を引き、粗利を求める
    別に経常利益でもなんでもいいんですけど、クーポンを使うからには粗利が低くなることは当然想定されますので、売上では考えない方がいいでしょう。
      
  2.  算出した粗利から、友だち一人あたりの粗利(ARPU=Average Revenue Per User)を求める。 
    普通ARPUというと、ユーザー一人あたりの売上を使う場合が多いと思うのですが、その辺はまあ、適当で。
      
  3.  コスト(5,250円+人件費)をARPUで割って、何人くらいの友だちができればトントンになるか算出。
    人件費と言っても、お店が暇な時にバイト君がぴぴっとLINE@する場合もあれば、ガチガチにスケジュール組んでやる場合もあるでしょうからピンキリです。もちろんチューニングの余地も考える必要があります。 

 

3ヶ月で運用コストに見合った利益が出ていればもちろん続けていいのですが、そうでなければどれくらいまで友だちを増やせば黒転するかを見積もった上で、到達できそうになければやめておきましょう。また、3ヶ月目で到達している場合には、有効友だち数1万人を超えるとメッセージ配信1通あたり5円のコストがかかることを考慮しはじめる必要があります(公共サービス向けパブリックアカウントは除く)。

 

有効友だち数(ブロック数を除く純配信数)1万人の場合では、1メッセージ配信につき5万円のコストがかかりますので、1回配信あたり平均5万円の利益が見込めない場合は利益がでない計算になります。つまり、有効友だち数が1万人を超える見込がある場合は、粗利ベースで最低5円以上のARPUを確保できるような運用が求められるでしょう。有効友だち数がせいぜい数千人である場合はこの点を考慮しなくても大丈夫です。

 

 

終わりに

・・・というわけで、NHN Japanから公開されている情報にもとづき、自分なりに試算のポイントを考えてまとめてみました。実際の運用やったわけじゃないんですけどね。まあ、考え方的にはこんなところだろう、と(笑) 

 

実際の活用に際してはご覧になった皆様個々のビジネス特性、及びLINE公式情報を十分確認した上で適切な運用をしていただけることを祈りたいと思います。

 

それでは、よろしくお願い致します。


by 許 直人
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