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【楽天トラベルインタビュー】2009年から続けてきたソーシャル対応の舞台裏。そしてPinterestは?
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【楽天トラベルインタビュー】2009年から続けてきたソーシャル対応の舞台裏。そしてPinterestは?

2012-09-14 10:00
     お世話になっております。

    ループス・コミュニケーションズの直人です。

     

    ソーシャルの中の人インタビュー、ソニー デジタルネットワークアプリケーションズライフネット生命に続き、今回は楽天トラベルさんにお話を伺って来ました。2009年にTwitter公式アカウント、2010年にはFacebookページを相次いで開設し、実験を重ねてきたということです。最近では楽天のPinterestの提携が話題になりました。

     

    楽天、というと楽天市場のイメージが強いのですがソーシャルの取り組みはトラベル独自で行なっている部分も多いようです。運用ノウハウというよりは、ソーシャル対応の狙いや既存ビジネスとのすり合わせといった面にフォーカスしてインタビューしてきました。

     

    楽天トラベルの、ソーシャルに関する取り組み

    「大企業が新しいことをはじめる」という話題には、個人的に大変な興味があります。楽天トラベルの場合はどういう感じでやっているのか、伺ってみました。

     

    (直人)

    先日WEB担Forumに「クレームも応援も含めてユーザーの声にメンバー全員が毎日触れる仕組み、最近はピンタレストに力を」という楽天レシピの取り組みが紹介されていました。最近は楽天グループ全体としてもソーシャルメディアを通じたユーザーの声収集などに力を入れ始めているのでしょうか?

      

     

     (藤原)

    そうですね。楽天グループでは、様々なサービスがあることもあり、事業毎にある程度独立して戦略の仮説検討〜施行までを行う裁量を与えられているので、例えばFacebookページの開設といったわかりやすいものはそれぞれの事業部の判断ではじめています。ただ、Pinterest対応など複数の事業部が協働で取り組むことにより効果が見込まれる施策については事業部間で連携することもありますね。そういう場合はグループ全体のWEBページのUI/UXを取りまとめている部署が主導して進めていきます。

     

     

    (直人)

    事業部毎に、独自の裁量で始められるっていいですよね。やりたい人がいても、企業によってはリスク評価の議論に3ヶ月かかることもあるそうです。コスト・インパクト・顕在化の可能性などリスクマネジメントの手法を使って定量的な基準を元にした判断ができればいいのですが、結局はスピード感とのトレードオフになってしまいますしね。

      

     

    Facebook, Twitterは早めに実験

    続いて、Facebook, Twitterのアカウント開設周りのお話を伺いました。リスクが小さそうだったら早めに見切って実験、というスタンスがスピード重視の企業らしいです。ソーシャルアカウントの実験と言っても、最近ではなく、2009年〜2010年頃の話です。

     

    (直人)

    楽天トラベルさんはTwitterのアカウント開設も早かったですね。

     

     

    (藤原)

    楽天トラベルがTwitterアカウントを開設したのは2009年8月なので、恐らくグループで一番早かったのではないかと思います。Facebookページも公式に始めたのは2010年6月ですが、アカウント自体はもうちょっと前に取得して色々と実験を行なっていました。

     

    当時の楽天トラベルって若干お客さまさんと距離があったように思うので、コミュニケーションをとっていった方がいいんじゃないかという漠然とした思いはありました。そこで色々検討した結果、やらない理由もそれほどなかったので始めたという感じです。

     

     

    (直人)

    なるほど、さすがスピード感ありますね。

    当時はどういった実験をされていたのでしょうか。

     

     

    (藤原)

    機能面の調査や検証が主ですが、並行して投稿コンテンツをどうするべきかの議論などを行なっていました。同じ「楽天」の中にあるサービスでも、楽天市場では商品点数もお客さまの購入頻度も高いため商品軸での情報発信やコミュニケーションが成り立つという仮説が立てられますが、楽天トラベルの場合、そんなに頻繁に旅行に行くユーザーはいないのでツアーやホテルといった情報を提供しているだけではお客さまに必要とされないだろう、という仮説がありました。

     

    そこで「旅」を中心に置きながら、「旅行に関するネタ」や「旅に出たくなるネタ」など話題を広げていき、どのようなコンテンツにお客さまのニーズがあり、かつ提供可能かを考えていきました。アカウントを開設してからは日々検証という感じですね。

     

    「トラベルが新しいことをやっている」というのは社内でも少し噂になっていたようで、TwitterブームやFacebookブームのころは色々な部署からよく質問が来ていました。

     

     

    (直人)

    現在は何名くらいで運用しているんですか?

    最近はソーシャルアカウントの運営代行サービスなどもありますが、最初からずっと自社で運用されているのでしょうか。

     

     

    (藤原)

    現在はTwitterは5名、Facebookは2名で、私は両方を担当をしています。ただ、みんなソーシャルメディアアカウントの運営以外にメインの業務がありますので、実際にかけている時間はそれほどありません。

     

    外部の会社に運営を代行してもらうという方法ももちろんあるとは思いますが、動きやすさや社内でナレッジをためたいので、自社で回しています。

     

     何か情報を投稿したりお客さまからの問い合わせに答える以外には、決まったキーワードでTwitterでのツイートを日々チェックして、内容によってはお客さまに状況をうかがったうえで、必要に応じてサイトやサービス自体の改善にも生かしています。

     

     

    Pinterest導入に関して

    2012年7月4日に報道された楽天のPinterest出資はネット業界で大きな話題になりました。楽天トラベルでも「Pin it」ボタンを設置していますが、どのような効果を期待しているのか伺ってみました。

     

    (直人)

    早いといえば、Pinterest導入も他大手に先んじていた印象があります。導入というか、もっと緊密な連携ではありましたけど(笑)

     

     

    (藤原)

    Pinterestは楽天が出資を決める前の、2012年初めに私の方で自主的にアカウントを開設しました。現状もそうですが、グローバルでのユーザ数が多いものの、日本人でPinterestを使っている人はごくわずかなので(直人注 : Pinterestの国内ユーザーはAdplannerでは20〜30万人、VRIでは2万〜5万人程度と推計されています)

     

    特に英語圏のネットユーザに訴求をしたいと考えていてサイト上の説明文も英語をメインにしていています。

     

    ただ、現状では楽天トラベル日本語版に比べると楽天トラベル外国語版はまだまだページ数や企画数が少ないため、Pinterestから外国のお客さまにホテルを予約していただくような直接売上げをあげるようなビジネスモデルは現実的ではありません。

     

    そこで、外国人から見て興味を持つであろう景色や宿の写真を掲載して、それを見た外国のお客さまが自分なりの視点で作ったボードに直感的にrepinしてもらえるようにしています。

     

    加えて、7月4日から日本語版各ホテルのページに「Pin it」ボタンを設置しました。

     

    参考 : 楽天、画像をPinterestに投稿できる「Pin It」ボタンを導入
    - 急成長するSNSサービス「Pinterest」との連携強化へ
    http://corp.rakuten.co.jp/newsrelease/2012/0704.html

     

    現状はこのボタンを押すと宿泊施設の画像をpinできるという非常にシンプルな機能です。海外の状況を見ても、わざわざURLや画像をPinterestのサイトに加える人は少ないようですし、フォロワー数を見ても、目利きの力が高い個人の方が大企業より多くのフォロワーを抱えている現状があるので少しでもお客さまにPinterestにシェアをしてもらいやすくするかということでこのボタンを設置しています。

     

    Pinterestのように目新しいサービスは、どうしても「企業がアカウントを開設した」ということ自体がニュースになってしまいます。もちろんそれも重要なのですが、SNSは個人の力をいかに生かすも非常に重要ですので本質的な機能面もこれから改善したいと考えています。

     

    企画としては弊社側で直接宿の紹介というよりも一般のお客さまと一緒にボードを作ったり、自分だけの旅のお気に入りの写真を持ち寄ってコンテストをしたりとビジュアルで旅の楽しさ、素晴らしさが伝えられるようなことをやっていきたいですね。

     

     

    Google+、Tumblr

    楽天トラベルPRブログ「rakutentravel.tumblr.com」

    (直人)

    Google+にもビジネスアカウントを開設していらっしゃいますね。その他に利用している、注目しているソーシャルメディアなどはありますか?

     

     

    (藤原)

    Google+は企業からの情報発信以外にも効果が期待できるので開設しました。Google側でも検索やその他のサービスとGoogle+を今後組み合わせていくと思いますし、Google+の機能面でもハングアウトを使って旅に関連する何かおもしろいことをやりたいなぁ、なんて考えてます。何かおもしろいアイデアがあったらお知らせください(笑)

     

    mixiページも昨日がスタートした日に開設をしたのですが、正直活用できていません。ただ、メディアとしてはもちろん大きなものなので継続していきたいと考えています。。他には今年Tumblrを使って楽天トラベルPRブログ「rakutentravel.tumblr.com」をはじめました。

     

     

    プラットフォームビジネスからみた「ソーシャル」 

    宿泊施設とのコラボレーション

    (直人)

    楽天トラベルでは、ソーシャルメディアにどういった展望を持っていらっしゃるのでしょうか?

     

     

    (藤原)

    私達のようなプラットフォームビジネスでは宿泊施設と楽天トラベル、そして実際に宿泊されるお客さまは関わってくるという B to B to C のモデルになります。ソーシャルメディアを使えばお客さまと直接つながれるのですが、宿泊施設のみなさまあっての我々ですので、せっかくだから宿のみなさんと一緒に何かやろう、という思いは前々からありました。

     

    そういったアイデアのひとつとして、ちょうど今(2012年7月17日〜7月31日まで)開催しているのが「朝ごはんフェスティバル」という企画です。今年で4 回目の開催となりますが、宿泊施設の自慢の朝食を、「米部門」「魚部門」「卵部門」「パン部門」など全13 カテゴリーに分類し、食べてみたいと思う朝ごはんにWEB 上で投票できる、お客さま参加型の企画となります。ページ内には各施設やお客さまがTwitterでつぶやいた内容が見れるようにもしています。 

     

    参考 : 朝ごはんフェスティバル
    http://rakutentravel.tumblr.com/post/27389220738/r-2012

     

    ソーシャルメディアは人的アプローチのひとつ

    「ソーシャルメディアは魔法の杖ではない」とよく言われますが、楽天トラベルでは「マッチング精度」という課題に対してアドテクノロジーのような「システム」と、ソーシャルを介した「人」の両面から様々なアプローチを試みているようです。

     

    (直人)

    ソーシャルメディアでは、ユーザーと店舗が直接コミュニケーションを取れるのが強みだと言われますが、宿泊施設によってはそこまで手がまわらないケースも少なくないでしょうね。ユーザーさんにとっても自分の気に入った宿泊施設のFacebookページ全部とつながったらニュースフィードやタイムラインが宿泊施設の情報で埋まってしまいます

     

    そういった意味で、楽天トラベルのようなプラットフォームが間に入ってユーザーさんと宿泊施設のコミュニケーションを媒介するというのは理にかなっているように思います。前述の「ユーザーは常に旅の情報を必要としているわけではない」という点からも、コミュニケーションのあり方についてユーザーさんの立場から考えていらっしゃるのが伺えますね。

     

     

    (藤原)

    お客さまと宿泊施設とのマッチングという意味では、共通のハッシュタグを付けてつぶやくなど様々な取り組みをしていますが、最適化という点ではまだまだ試行錯誤の状態です。

     

    WEBサービスですので、情報のマッチング精度に対してアドテクノロジーのようにシステム的なアプローチで解決しなければならない面もありますが、ソーシャルメディアではインタレストグラフの最適化や人的な判断といった側面から、ユーザーさんにお届けする情報をより精度高く、必要な情報をお届けできる方法を模索しています

     

     

    従来のキャンペーンとの違い 

     

     

    (直人)

    「 朝ごはんフェスティバル」でもソーシャルメディアを色々活用されているようですね。従来のキャンペーンと比べて変化はあるのでしょうか?

     

    (藤原)

    各施設様も票を集めるために自施設のメルマガ会員にメールを送ったり、ページで告知をしたりと工夫をされていますが、さらにFacebookページやTwitterアカウントがあることでキャンペーンを実施していることを告知する方法の幅は広がりましたね。 

     

    こういったキャンペーンはエンタメ企画室という既存の部署の枠を超えて集まったメンバーが主体となって行なっていたのですが、元々「みんなで旅行をもっと素敵なものにしよう!」という目的で実施をしていました。FacebookやTwitterのようなソーシャルメディアが普及するにつれて、徐々に宿泊施設とお客さまとの距離は縮まってきたな、と感じます

     

     

    ユーザーの声に対する施設側の反応

    (直人)

    そういったユーザーの声やレビューがオープンな場に掲載されることについて、施設側の反発などはなかったのでしょうか。

     

     

    (藤原)

    今でもいろいろなご意見はいただきますがこの数年で「ソーシャルメディア」という言葉やTwitter、Facebookというサービスが広く知られるようになり、宿泊施設側も、今やそういう声がオープンな場所に書き込まれるのは当たり前。むしろそれをハード、ソフト両方の意味で宿泊施設の運営に生かしていこうという雰囲気になってきたのだと思います。

     

    楽天市場でも、以前からメルマガでは店長の個性を前面に押し出したものがあったり、完全にインタラクティブとは言えないにしろお客さまとのコミュニケーションは様々な方法でなされてきました。ただ、近年はそれが可視化され、かつオープンになってきたというだけの違いなのかもしれません。大きな違いではありますけど(笑)

     

     

    (直人)

    オープンになったことで、それが「広まる」という点も大きな変化ですよね。

     

     

    (藤原)

    そうですね。

     

    プラットフォームとしてソーシャルの可能性に期待するのは、よい施設やサービスをより多くの方に知っていただくというだけでなく、ユーザーの集合知によってその施設やサービスの信頼性を担保、もしくは補完したいという面もあります。もともと、楽天トラベルのクチコミ(お客さまの声)は実際に宿泊した人しか書けないようになっています。その分、苦情や物申したい人の書き込みも重みをますので、同じ点を「お客さまの声」上で指摘されると施設側でも改善しよう、という動きにつながっているように思います。

     

    また、お礼やお褒めの言葉といったポジティブな書き込みもレビューやソーシャルメディアを通して中の人に届くようになってきました。従来はコールセンターやメールなど、相当強い思いを持った人しか連絡する手段がなかったのですが、宿泊施設やプラットフォームがオープンな場所にコンタクトポイントを設置したことで気軽にプラスの感情を表明できるようになったのかな、と思います。これは中の人にとって非常に大きなモチベーションになるんですよね。

     

     お客さまにとってレビューの内容の良し悪しはもちろん重要ですが、お客さまはレビューに対して実際宿泊施設がどういう対応・反応をしているかをよく見ているようです。その点、弊社の「お客さまの声」ではお客さまの投稿内容に宿泊施設側から返信が可能で、その内容は第三者にも見える形になっています。

     

     

    (直人)

    そういった「顧客の声」に対する対応は、売上にも影響するのでしょうか?

     

     

    (藤原)

    顧客の声への対応と売上が相関するという、直接的なデータは、現時点で公にできるレベルのものはありません。WEB上のクチコミ対応だけが「顧客の声対応」ではないですしね。ただ、顧客対応の良し悪しは当然顧客からの評価や最終的には売上につながります。WEBはあくまでもその一環ということになりますが、無関係ということはないでしょうね。

     

     

    クチコミの未来 

    (直人)

    ユーザーがクチコミをWEB上でシェアするという動きは、今後どのようになっていくとお考えでしょうか?

     

     

    (藤原)

    今後は、旅行から帰ってきてからレビューを書く、というよりはFacebookやTwitterで友達にシェアするのが主流になっていくんじゃないかと思っています。リアルタイムな情報はSNSで友達とシェア。自分とは直接的なつながりのない第三者に伝えたいことはレビューに、という情報の出しわけがすすんでいくと思います。後者の情報は「ここはみんなにおすすめしたい」という強い推奨の場合もあれば、「ここに行ってはいけない」という警鐘の場合もあるでしょうね

     

    実際、楽天トラベルでもご利用人数の伸びとお客さまの声のの投稿数を比較すると、利用人数ほどに投稿数は伸びていません。利用者数の増加率を、投稿数の増加率が下回っている、ということです。増加が増えない理由として、レビューサイトに書き込む代わりにSNSなどで友人とだけシェアしているのではないかと考えています。今後そういったユーザーの本音に出会いたければそのような場に出向いたり、Twitterなどオープンな場でのコミュニケーションを丹念に調べていくしかないのでしょうね。 

     

     

     

    外部企業によるワークショップを開催した理由

    (直人)

    今回、ワークショップを実施させていただきましたが、実施を決め、参加者を募るにあたって藤原さんとしてはどのような狙いや期待がありましたか?

     

     

    (藤原)

    今、楽天トラベルのソーシャル周りはアカウントの開設はしているものの、あまり人も時間も掛けられていないのですが、最近では他の会社さんも力を入れ始めているし、今まで、マスメディアに投下していたマーケティングコストをソーシャルメディアの運営に投下してくる企業も増えてくるでしょうから、全体のレベルが上がってくるだろうと思っています。そうなった場合、一部署、一人が思ってやっているだけでなく、会社全体が変わっていかなければならないという実感がありました。

     

    どんな会社でも、組織やチームの考え方を変えるのは簡単ではありませんが、外の人の考え方や外部の環境を知ってもらい、体験することで変化のきっかけになるのではないかという期待がありました。共通認識といってもみんな忙しいのでなかなか時間を取れないし、同じ社内で議論してもバイアスがかかる恐れもある。・・・であれば、ワークショップのような形式でまとめてやってしまうのは効果的ではないかと考えました。

     

      

    (直人)

    実際、やってみていかがでしたか?

     

    (藤原)

    私はマーケティングサイドの人間ですが、制作サイドも含めて案外みんな共通の課題を感じていたんだなぁ、という点が実感できたのは新しい気づきでした。課題意識を共有しただけでなく、それに対してポジティブな方向に議論が進んだのはよかったですね。ある課題に対して、「それはよくない」「やめるべき」と各自が批判的な意見ばかりが出してしまうとただのガス抜きになってしまうところが、「じゃあどうしようか」「どう代替しようか」という建設的な方向に議論が進むのはワークショップのプログラムやファシリテーターといった第三者の仕切りがあってこそだと思います。

     

    チームが大きくなると、自分の仕事を頑張りすぎているがゆえにトレンドが見えていないということは往々にしてあると思います。そういった状態で自分達が抱える課題を再確認したときに、責任の押し付けあいではなく、それぞれが外に目を向けて自分で考えられるようにしたかったんですよね。

     

     

    (直人

    代替案が大切ですよね。現状の批判だけでは何も変えられない。

     

     

    (藤原)

    そうですね。楽天トラベルは昨年対比で二桁成長を続けているのですが、去年より楽天トラベルをたくさん使いたい思っているお客様が増えているから売上があがっているんだと思うんです。いいところは伸ばしつつ、課題と思われる点は顧客の声も受け止めながら、真摯に、素早く改善できるような組織になっていきたいと考えています。

     

     

    (直人)

    ワークショップで、各自が考えるソーシャル戦略を発表する際に、トラベルのソーシャル対応を率先して進めてきた藤原さんが保守的な方向性を提案したのは印象的でした。

     

     

    (藤原)

    僕は以前にある有名なクリエイターの方が繰り返しいっていた「企画は実現できないと意味がない」という言葉が印象に残っています。「理想はそうだけど、ほんとに実現できんのかよ。」ってことなんですけど(笑)。

     

    現実的に考えると今はあんまりトリッキーな戦略よりも、トレンドにキャッチアップしながら組織全体のソーシャルに対する感度を上げていく方がいいと思ったんですよね。

     

     

    (直人)

    藤原さんの場合、新しいものに目をつけて実験するのは早いですけど、横展開はじっくり進める感じですね。

     

     

    (藤原

    さっき、「思いはレビューではなくソーシャルで共有される」方向に加速する、という話をしましたけど、そういった仮説があるのであれば先回りして手を打っていく必要がありますよね。顧客は待ってくれないですから。これまで不満に感じていた様々なことが、自分一人だったら我慢するしかなかったけど、人に伝えてそこで共感してもらえると思いが強化されるということはあると思うんです。「あ、自分だけじゃなかったんだ。自分と同じような人がいるからには、自分はやっぱり正しかったんだ」って。

     

    僕が実際にユーザーさんとやり取りした実感を伝えたり、ループスさんのワークショップで感じてもらったことを出発点にして、ユーザーとの直接的なコミュニケーション手段があるというのはどういうことなのか、何ができて、できないことは何か。そして、何をすべきなのか。一人ひとりが考えるべき時期だと思います。

     

    楽天には「成功のコンセプト」というのがあって、その中にも「仮説→実行→検証→仕組化」というのがあるんですよ。まだ離せないですけど、今も色々な仮説を検証していますよ(笑) ご期待ください。

     

     


    by 許 直人
    RSSブログ情報:http://media.looops.net/naoto/2012/09/14/rakuten_travel_workshop/
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