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§4:一般的な(笑)契約条件についての基礎知識。
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§4:一般的な(笑)契約条件についての基礎知識。

2013-03-19 11:53
    ■料率の「値ごろ感」がわからないんで、交渉のしようがないんです。。。
    ■提示された契約条件が良いのか悪いのか。。。

    その1:【音源も一緒にCDに収録してもらう場合の条件について】

    「自分の曲をCDに収録してくれるというオファーがあり、契約書が送られてきたんだけど、その条件が良いのか悪いのか、さっぱり解らないんです。」という相談をこれまでに何度もいただきました。
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    そこでここでは「音楽関連の契約書」について説明したいと思います。
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    教科書的な知識はいろいろな本に書かれているので、ここではもっと「生々しい」知恵や考え方について説明します。
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    ただし注意して欲しいのは 「契約条件は《こうでなければならない》ということではない」をいうことです。
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    契約条件というのは契約する双方がいろいろと検討し合いながら決めていけばいいものですので、乱暴な言い方をすれば「様々な条件」が存在するのです。
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    しかし、ほとんどのボカロPさんが理解している「音楽業界における契約書の一般的なイメージ」というものはとても少ないと思いますので「普通、音楽業界においてはこんなかたちの契約をする場合が多いらしいよ」的な知識が必要になってくると思います。
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    ここに記載しているのは、あくまでも「普通はこんな感じかなぁ」的な知識だということを強調しておきますので、「ここに記載している条件と違うから提示された条件は間違っている」とは絶対に考えないでくださいね。
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    【音源も一緒にCDに収録してもらう場合の条件について】
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    この場合難しい言い方をすれば「音楽原盤供給」および「音楽著作権の録音使用」を許諾する契約になります。
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    《まずは音楽原盤まわりについて》
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    ポイント1:「音楽原盤制作の業務委託契約」なのか?「音楽原盤のライセンス契約」なのか?
    ポイント2:着うたなどの二次使用に際に「音楽原盤使用料」がもらえる契約なのかどうか?
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    一般的には既にある音楽原盤をそのレコード会社に提供するのですから「音楽原盤のライセンス契約」になるはずなのですが、契約書の体裁によっては「今回のCDのために新たに音楽原盤を制作してもらう」という書き方になっている場合があります。
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    「音楽原盤の制作委託契約」の場合、普通はその納品した原盤の所有権が先方に移ることになりますので、最初の対価はもらえますが、そのCDが着うたなどになった時の「着うたにおける原盤使用料」がもらえないという場合がほとんどです。
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    また「音楽原盤譲渡契約」であれば、文字通り「あなたの原盤の権利が先方に完全に移る契約」です。
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    「音楽原盤のライセンス契約」であれば、CDにその音楽原盤を使用するときの対価はもちろん、そのCDが着うた化された場合の対価についても交渉する権利があるはずです。
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    ただし「音楽原版のライセンス契約」でも「着うたなどの二次使用」に関しての対価はもらえないとする契約もありますので、そのあたりがどうなっているのか契約書をよく読みましょう。
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    ここで考えなければならないのは「音楽著作権使用料」ではなくあくまでも「音楽原盤使用料」です。音楽著作権と音楽原盤権ではまったく異なる権利ですので、混乱しないようにしましょう。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 1
    提供した音楽原盤を他のレコード会社にもライセンスできるのか?できないのか?
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    「ご自身の同人CDには使用できますよ」と言われるケースは通常だと思いますが、更につっこんで「他のレコード会社のCDに提供できるか」を確認してみるといいでしょう。
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    「非独占のライセンス契約」であれば、自分の同人CDはもちろん、他のレコード会社のCDにもなんら縛りがなく提供できるはずです。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 2
    着うたなどの二次使用における原盤使用料は発生するのか?しないのか?
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    着うたやiTunesなどの配信が大きなビジネスとなっている昨今において、配信の印税が発生するかどうかはとても重要なことです。発生するのか?しないのか?発生するとして印税はいくらなのか?を確認するようにしましょう。
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    業者乙(笑)ですが、dme の場合、完パケの音楽原版を dme経由で dwango.jp にて配信する場合、その印税は音楽著作権印税+音楽原盤印税で販売価格の50%をお支払いしております。
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    ポイント3:CD収録についての「音楽原盤使用料」はどう設定されているか?
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    ここでは「一般的なレコード会社ではこんな感じで考えている」という条件を紹介します。あくまでも「これが正しい条件」というわけではありません。条件は契約する双方が相談して決めればいいのです。あくまでも「相談する上での参考」として考えてください。
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    一般的に「原盤印税」は下記の通りです。
    ボカロPさんが制作した音源をマスターコンプを外した状態で提出し、それをレコード会社がマスタリングする場合だと考えてください。
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    CDの税抜販売価格×(100%-容器代)×15%÷収録楽曲数×出荷枚数×(100%-出荷控除)
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    ここで「容器代」は「税込販売価格」の10%、「出荷控除」は20%、というのがが大手レコード会社の大体の目安です。
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    上の式では「算出ベース」が「税抜販売価格」になっていますが、これは各社いろいろな場合があります。また上の式では「原盤使用率」は15%ですが、これもいろいろな場合があります。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 3
    算出ベースは《税抜販売価格》か?《卸価格》か?
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    印税の計算が 《税抜販売価格》の●% と書かれているのか? それとも《卸価格》の●% と書かれているのか? そして、卸価格ベースの場合、《卸価格は販売価格の何パーセント》となっているか? これらは重要なポイントです。
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    原盤使用料率がたとえ15%だとしても、「税抜販売価格の15%」なのか「卸価格の15%」なのかでは印税学が大きく違います。このあたりを必ず確認しましょう。
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    しかし、何度も言いますが「算出のベースは税抜販売価格なのが正しい」ということではありません。あくまでも上記は一般論です。「日本においてはCDは《再販指定商品》となっており、販売価格がレコード会社が指定できるので、慣習的に税抜販売価格をベースに算出する場合が多い」というだけのことです。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 4
    原盤印税率は音楽著作権印税率とは別に設定されているか?トータルで設定されているか?
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    上の式で原盤印税率は「15%」としていますが、これはあくまでも「原盤印税率」であり「音楽著作権印税」は含まれておりません。「音楽著作権印税」はこの式とは別に発生させるのが普通です。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 5
    「原盤印税率」は(音楽著作権印税を除いて)何パーセントになっているか?
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    「原盤印税率」は15%で決定されているわけでもありません。これより低い場合もあれば、某大手レコード会社の原盤を借りようとするときなど 20%(もしくはそれ以上!)要求される場合もあります。
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    更に言えば「音楽原盤はカラオケだけでボーカルトラックはレコード会社が差し替える場合」や「音源原盤の中からギターパートだけを新たにレコード会社が収録しなおす場合」などもあると思います。その場合は「15%」から下がっていくはずです。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 6
    契約条件についてちゃんと説明してくるかどうか?
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    これはかなり重要なことだと思います。上に書いた数字、例えば「容器代」についても、上では「10%が通常だ」と書きましたが、場合によっては 15% の時だってあるわけです。
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    その場合、下に書いた「A社」と「B社」のパターンがあると思います。
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    《A社との会話》
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    ボカロP:
    なぜ御社の容器代は15%なんですか?通常は10%だと聞いたのですが。
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    A社担当:
    それは弊社の規則だからです。弊社のCDに収録するためにはこの条件を飲んでもらう必要があります。
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    《B社との会話》
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    ボカロP:
    なぜ御社の容器代は15%なんですか?通常は10%だと聞いたのですが。
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    B社担当:
    確かに10%とする場合が多いようですね。ただ今回の弊社のCDは楽曲を提供していただくボカロPの方にも、そして当然買っていただくお客様にも満足していただけるように、ブックレットや特典など、通常のCDのレベルを超えたものを考えているのです。
    普通のレコード会社ではできない特別な商品を作りたいので、どうしても容器代を多めに設定する必要が出てきたのです。是非、ご理解ご協力いただけないでしょうか?
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    どちらの場合が望ましいか、あえて言う必要はないですよね。
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    《つぎに音楽著作権まわりについて》
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    ここでは音楽著作権がJASRACなどの音楽著作権管理団体に預けられていない場合を書きます。
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    ポイント4:「音楽著作物の制作業務委託契約」なのか「音楽著作権のライセンス契約」なのか?
    ポイント5:着うたなどの二次使用に際に「音楽著作権使用料」がもらえる契約なのかどうか?
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    これらは「音楽原盤」のときと同じ考え方です。ちなみに音楽著作権の使用料に関しては通常「JASRAC規定に準ずる」というのが一般的な考え方です。以下にJASRAC規定を記載します。
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    ●CDへの収録に対する印税:
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    CDの税抜販売価格×6%÷収録楽曲数×出荷枚数×(100%-出荷控除)
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    ここで「出荷控除」はメジャーレーベルの場合は25%となっております。
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    上の式でも「算出ベース」は「税抜販売価格」です。しかし、これはあくまでの「JASRAC規定」であり、JASRAC等にて管理されていない楽曲の場合は、そのレコード会社と相談して決定した契約条件に従うことになります。
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    つまり原盤と合わせると概ね(6%+15%=)21%となるわけです。
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    ただし上の数字はあくまでも「JASRAC規定はこんな感じだよなぁ」的なものであり、こうでなければならないというわけではありません。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 7
    著作権印税率は音楽原盤印税率とは別に設定されているか?トータルで設定されているか?
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    「原盤印税=15%」なのか「原盤印税+著作権印税=15%」では大きく印税が変わってきます。このあたりを必ず確認しましょう。
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    ●着うたなど配信使用に対する印税:
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    簡単に言えば、着うたは販売価格の7.2%か5円の高い方、着うたフルやiTunes配信は販売価格の7.7%か7.7円の高い方となります。
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    契約書面で見たほうが良い箇所 8
    着うたなどの二次使用に際しての音楽著作権印税はもらえる契約なのか?それは何パーセントなのか?
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    上記のJASRACの条件を参考に、レコード会社と相談してみてください。
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    以上、音楽著作権および音楽原盤権の見地から見たCDへ収録する場合の契約について、「なんとなくこんな感じだよなぁ」というような情報を書いてみました。
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    繰り返しますが、ここに書かれた条件はあくまでも「一般的にはこんな感じかなぁ」というものです。契約というのは双方が打ち合わせを持ち最終的に合意した条件で締結するものですので、この情報が正しいとか間違っているとかではありませんので、くれぐれもご注意ください。

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