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ボカロPのための音楽著作権&隣接権講座(中級編)Presented by 浜町音楽ギルド 解説#2
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ボカロPのための音楽著作権&隣接権講座(中級編)Presented by 浜町音楽ギルド 解説#2

2013-05-28 06:57
    その2「向谷実さんから発言があった《原盤二次使用料》について」

    5月24日に放送された「ボカロPのための音楽著作権&隣接権講座(中級編)Presented by 浜町音楽ギルド 」において、皆さまからのコメントでいただいた疑問点や、番組終了後に行われたボカロPさん(EasyPopさん、PolyphonicBranchさん、FB777さん)たちと打上げ会で挙がった質問などをもとに、ちょっと詳しく書いています。(その2)

    番組内で向谷実さんが「原盤の二次使用料が支払われないケースなんてあるの?」という発言がありましたが、ここでは「ボカロPさんの音楽活動における《原盤二次使用料》とは具体的にはどんなものがあるのか」について説明したいと思います。

    この議論の前提になっているのが、「ボカロPさんが自分の楽曲および原盤(ボカロ音源含むサウンドトラックを指しています)をレコード会社に提供し、その結果制作された商用CD」です。

    前回の説明で「レコード会社制作のCDにボカロPさんが自分の音楽原盤を提供した場合の一般的な条件」について説明しましたが、そこで書いた「原盤印税」はあくまでも「CDに収録したことに対する印税」です。

    昨今の音楽業界においてはCDが制作された場合、ほぼ間違いなく着うたなどの「有償での音楽配信」が行われます。特にボカロ楽曲の場合、着うたやiTunesでの配信は、ビジネス的にもとても大きい成果を出しています。そして「有償配信」をしているということはこのような音楽配信でレコード会社は利益を得ているわけです。

    レコード会社が音楽配信でビジネスを行うのですから、その音楽原盤を提供したボカロPは当然対価を得る権利があります。

    自分が提供した音楽原盤を使ったCDが有償配信された場合に得ることができる対価というのが、ボカロPにおける「原盤二次使用料」の最も重要なものの一つです。

    ですので、ボカロPはレコード会社に自分の音楽原盤を提供する際に、「CDに収録されたことに対する印税」だけでなく「そのCDが音楽配信された場合の印税」についてもキチンとレコード会社と決めておく必要があります。

    実はそれ以外にも「原盤を使ったカラオケ」(※1)における原盤印税や、「原盤を使ったゲーム」(※2)における原盤印税なども、ボカロPさんにとって重要な「原盤二次使用料」となっています。

    ※1
    通常のカラオケはカラオケ配信会社が制作したMIDI音源なので、ボカロPが制作した音楽原盤は使用されませんが、今回生放送にご出演いただいた株式会社鉄人化計画様が運営されている「カラオケの鉄人」においては、ボカロPさんが制作された音楽原盤をそのまま配信していただくことができます。
    原盤を使用した原盤印税についてはまた次回に説明します。

    ※2
    今回ご出演いただいた株式会社タイトー様のゲームはもちろん、日本の大手ゲームメーカー様の「音ゲー」にはほとんどオリジナルの音楽原盤が使用されています。

    そういった「原盤二次使用料」をいくらに設定するかは前回の「CDに音楽原盤を使用する場合」と同様ルールがありません。前回説明したのと同様に「指値(さしね)」なのです。

    ですのでこの交渉には「音楽配信ビジネス」や「ゲームビジネス」におけるスキルが必要です。

    特にゲームの場合複雑で、同じゲームでも、いわゆるゲームセンターに設置されているアーケードゲームと家庭用のゲームではビジネスモデルが大きく違います。また家庭用ゲームでも「最初からゲームソフトの中に楽曲が収録されている場合」と「個別に楽曲をダウンロード販売している場合」とでもビジネスモデルが違います。

    ビジネスモデルが違えば、印税に対する考え方も違ってきますので、ゲームの種類によって交渉のスタンスが違ってくるわけです。これについては以前こんなブロマガを書いていますので、是非そちらを参考にしてください。

    原盤二次使用料の交渉で気をつけなければならないこと!

    番組中で向谷実さんの最初の発言に対して甲斐顕一さんが発言した「原盤の二次使用量がボカロPさんに支払われない場合もあると聞いています」ということについて説明します。(これはものすごく重要です)

    一番判りやすい例として「レコード会社が《歌ってみたCD》を制作する」ときに、ボカロPさんから「ボーカロイドパートの入っていないカラオケ原盤」のみを提供する、という場合について説明します。

    この場合、たとえ「カラオケ原盤」といえでも「音楽原盤」ですから「CDに収録する場合の印税」は当然発生します。ただし、「フルフルでの音楽原盤」ではなく、レコード会社はボカロPから提供されたカラオケ原盤に、レコード会社が収録した歌い手の歌唱パートを組み合わせて更に別の原盤を制作するわけなので、この場合は番組で言われたような「15%」ではなく、もう少し低い料率になります。

    レコード会社によってはこれを印税ではなく「一括で●●円」という料金体系になる場合が多いようです。

    ここで重要なのはこの「歌ってみた原盤」が着うたなどで有償配信された場合、ボカロPに「カラオケ原盤の二次使用料」が支払われていない場合があるということなのです。

    甲斐顕一さんが発言された「原盤の二次使用料が支払われていない場合もあると聞いています」というのはまさにこのことです。

    恐らくそのようなレコード会社の言い分は「一括●●円」の中にはそのような配信の二次使用料も含まれるという考えなのでしょうが、事前にそのことがボカロPに説明されておらず、後になってトラブルになる場合が多いようです。

    参考までにこれまた以前に書いたブロマガを紹介しておきます。

    自分の曲をCDに収録したい。 ~「録音権」について~
    第三者への書き下ろしの曲を、自分のCDにも入れたい!
      (この内容は番組収録語の打上げの席で、ボカロPさんがとても興味を持ったようでした)

    次回は、株式会社鉄人化計画(「カラオケの鉄人」の運営会社です)の日野社長様から発言いただいた「カラオケの鉄人では使用している動画について、動画師さんや絵師さんたちも印税を支払っています」ということについて、説明したいと思います。よろしくです。

    (文責 浜町音楽ギルド にへどん)https://twitter.com/nihedon_21

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