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11月10日発売!『SAOIF 公式小説アンソロジー』川原礫書き下ろし掌編の試し読みを公開!
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11月10日発売!『SAOIF 公式小説アンソロジー』川原礫書き下ろし掌編の試し読みを公開!

2023-11-09 18:30
    川原 礫チャンネルフォロアー、(レ)ッキーズのみなさま、こんにちは!

    明日、11月10日に発売される
    『ソードアート・オンライン IF 公式小説アンソロジー』から、川原礫先生による書き下ろし小説の一部を公開いたします!

    ●そもそも『ソードアート・オンライン IF 公式小説アンソロジー』とは?
    “もしも”をテーマに『SAO』の世界を自由に描く、公式アンソロジー小説!
    『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』や『ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット』だけじゃない。
    グルメありゾンビありの完全IFな一冊!

    書籍情報は【こちら】から!

    「電撃ノベコミ+」特設ページにて
    期間限定、一巻の試し読み増量キャンペーンを実施中!

    詳しくは「電撃ノベコミ+」をチェックしてね!

    この掌編は、上級修剣士ライオス・アンティノスとウンベール・ジーゼックが毒ガニに噛まれて入院した結果、キリトとユージオは罪人として連行されず、そのまま北セントリア帝立修剣学院に在籍し続けた世界を描いたアリシゼーション編のIFストーリーです。

    その名も『ソードアート・オンライン If You Can Smile』
    どうぞお楽しみください!
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    「おお……セントリアのすぐ近くなのに、水がめちゃくちゃ綺麗だな……」

     きらきら光るルール川の水面(みなも)を眺めながら、俺は感嘆の声を漏らした。

     水際に近づいて覗き込むと、川底を埋める丸っこい砂利や、軽やかに泳ぎ回る小魚の群れがくっきりと見て取れる。現実世界の埼玉県には長瀞渓谷(ながとろけいこく)という景勝地があり、小学校の遠足で訪れた時に「水がきれいだなー」と小学生並みの感想を抱いた記憶があるが、透明度ではルール川のほうが数段上だ。

     仮想世界では、水の綺麗さなどシェーダーの設定一つでどうとでもできる……という常識は、このアンダーワールドでは通用しない。川や湖にゴミを捨てたり排水を流したりすれば、現実世界と同じく水はあっという間に汚染されてしまい、容易には浄化できないからだ。ライオスたちが入院する原因になった湖も、そこを私領地とする貴族が屋敷で出た生ゴミを野放図に投げ捨てていたせいで水がよどみ、毒ガニの繁殖を招いた……ということらしい。

     つまり、人界最大の都市であるセントリアから何キロルも離れていないのに川水がこれほど綺麗なのは、近隣の住民がミカンの皮一枚たりとも捨てたりしていないからなのだ。アンダーワールド人は決して法を犯さないので当然と言えば当然だが、だとするとこの川の美しさは、人界を支配する公理教会の絶対的な権威を象徴しているようにも思えてくる。

     そんなことを考えながら、水際でぼんやり立ち尽くしていると――。

    「キリト先輩、何か見つけたんですか?」

     背後からそう呼びかけられ、俺はじゃりっと音を立てて振り向いた。

     笑顔で近づいてきたのは、ダークブラウンの髪を短めに切り揃えた、やや小柄な少女だった。灰色のショートジャケットとボックスプリーツのスカートを組み合わせた装いは、現実世界の渋谷あたりを歩いている高校生の集団にも違和感なく溶け込めそうだ。左腰に吊られた小ぶりなロングソードがなければ、だが。

    「いや……魚がいるなー、って」

     俺がそう答えると、少女は「魚?」と繰り返してから、隣に立って水中を覗き込んだ。

    「あ……ほんとだ。でもこれ、学院の池にもいっぱいいるナナメブナですよ?」

    「ありゃ、そうなのか。よく上から見ただけで解るな」

     感心する俺を見上げ、少女――ロニエ・アラベル初等練士は、少し照れたように笑った。

    「子供の頃、家で飼ってたんです。太陽(ソルス)に照らされると背中が青っぽい銀色に光るから、よく見れば解ります」

    「へえ……魚の他にも、何か飼ってたの?」

    「犬がいますよ、そろそろおじいちゃんなんですけどとっても元気です。ウェスダラス特産の《ブルハ旋毛種(せんもうしゅ)》っていう、ノーランガルスではとっても珍しい種類なんですよ」

    「犬か、いいな」

     そう言えば、アスナがかなり本格的な犬好きだったな……と考えてしまってから、俺は強引に思考を遮った。せっかくのピクニックで、ロニエに涙ぐんでいるところを見られるわけにはいかない。

    「なんて名前なんだ?」

     やや早口になりつつ質問を重ねると、ロニエは一度瞬(まばた)きしてから答えた。

    「チル、っていうんです。あの……よかったら、うちまで見にきませんか? もうすぐ夏休みですし、両親もキリト先輩に挨拶したがってますし」

     負けじと早口でまくし立てるロニエに、俺は思わず苦笑してしまってから頷いた。

    「うん、俺もいちどご挨拶しなきゃなーって思ってたし……」

    「ほんとですか!」

     ロニエがぱあっと顔を輝かせたその時、またしても後方から俺を呼ぶ声がした。

    「おーいキリト、そろそろこっちを手伝ってくれよ」

    (つづきは11月10日刊行予定の文庫をチェック!)



    なお、そのIFストーリーは、アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』Blu-ray&DVDの完全生産限定版特典小説として、川原礫先生が書き下ろしたシリーズとなります。
    その完全生産限定版特典小説の試し読みも、本ブロマガで後日公開しますので、お楽しみに!
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