おどけるライミ。
1939年の名作ミュージカル映画『オズの魔法使』の前日譚が描かれる、ファンタジーアクション映画『オズ はじまりの戦い』。今回は本作で新たなオズ伝説を創造した、怪奇と幻想の世界を巧みに、ハイテンションに作り上げる巨匠、サム・ライミ監督にインタビューして参りました。
『死霊のはらわた』(今夏にシリーズ4作目の脚本に取り掛かるとのウワサ!)や『ダークマン』などのカルト作品でジャンル映画ファンを虜にし、『スパイダーマン』シリーズで世界的大ヒットを飛ばしたサム・ライミ監督。そのやわらかいながらも、エンターテイナーとしてのこだわりが感じられる言葉の数々は以下より。
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ーー『オズ はじまりの戦い』ではオズが実際には魔法が使えないにもかかわらず、周りから魔術師として崇められ、やらざるを得ない状況に陥ります。オズはそこから努力と工夫でどうにか切り抜けていき、イカサマもガッツで本物になる、そして特殊能力がなくてもヒーローにはなれるということを証明していくわけですが、この物語の構造はジョン・ランディス監督の『サボテン・ブラザーズ』に非常に似ていると感じました。これは意識してそう作ったのでしょうか?
サム・ライミ(以下、サム):『サボテン・ブラザーズ』は見ていて最高に楽しい、大好きな映画だけど、特別意識はしていないね。でも、確かに非常に似たテーマを扱っていて、例え偉大に振舞っているように見える人がいたとしても、実際のところは僕たちとそう変わらない、というのはよくあることだと思うんだ。
......ところで、君が着ているTシャツのキャラクターは誰?
ーーアッシュです!(『死霊のはらわた』の主人公)
サム:クール! 一瞬気づかなかったよ(笑)。ありがとう。
ーーこちらこそ気づいていただいて嬉しいです。ありがとうございます!
ーー『死霊のはらわた』、そして『スペル』などにおいて特に顕著ですが、監督の作品には主人公がハイテンションでジタバタのたうち回る描写が多いように感じます。監督はなぜこういったシーンが好きなのでしょうか?
サム:たぶん、僕はそういうキャラクターとそういう方法しか知らないんだろうね(笑)。そういうパターンが染み付いていているんだと思う。人は皆ジタバタするのが普通なんじゃないかと思っていたんだけれど、違うのかな?(笑)
ーー自然とそういう描写になっているわけですね(笑)。『オズ はじまりの戦い』でのジェームズ・ブランコさんのジタバタ演技はいかがでしたか?
サム:ジェームズのそういった演技を見るのはすごく楽しかったよ。ブルース(・キャンベル:『死霊のはらわた』のアッシュ役、『オズ はじまりの戦い』を含め、サム・ライミ監督作品に多数出演)は一番の親友だから、また一緒に作りたいなと思ってる。ブルースには君がアッシュのTシャツを着ていたことも伝えないとね(笑)。
ーーありがとうございます! 本作は『オズの魔法使い』という童話が原作ですが、多くの童話はただハッピーな内容ではなく、ほろ苦い体験が描かれます。『オズ はじまりの戦い』でも陶器の少女は家族を亡くしたり、オズは自分の軽薄な行動のしっぺ返しを食らったりと、ただただ幸福な物語にはなっていません。監督は子供に言い伝える童話には、ほろ苦い体験が絶対に必要な要素だと思いますか?
サム:......(長考の後)そうだね。
やっぱりこういった物語はそのためにあると思う。現実は楽なことばかりではないから、「どうやって切り抜けるか?」、「正しい道はどっちか?」ということを教えるために童話は存在するんじゃないかな。童話には必ず皆に伝わる、現実にある悲劇、現実にある苦難に対する忍耐の表現が必要不可欠だと思う。
ーーなるほど、苦難だけでなく、それに対する忍耐の重要さも教えるという意味で、そういった表現は大事なんですね。本日はどうもありがとうございました!
サム:こちらこそ、ありがとう。
『オズ はじまりの戦い』は3月8日(金)3D・2D全世界同時公開。
©2013 Disney Enterprises, Inc.
(スタナー松井)
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