「フラン犬」を巡る物語が描かれた、ストップモーションアニメーション映画『フランケンウィニー』がいよいよ12月15日(土)に公開されます。
そこで今回は今作の監督であり、『シザーハンズ』や『バットマン・リターンズ』、『マーズ・アタック』、『ビッグフィッシュ』、『チャーリーとチョコレート工場』などなど、数多くの名作をこの世に生み出してきたティム・バートン監督へインタビューして参りました。
監督の今作に対する愛情にあふれた言葉の数々は以下より。なお、若干ネタバレを含む内容が一部ありますので、ご注意ください。
ーーもし監督のお子さんがヴィクターのように「死んだペットを生き返らせたい」と願い、それを監督に言ってきたとしたらどうしますか?
ティム・バートン(以下:ティム):まあ法律違反だからなあ(笑)。『フランケンウィニー』はファンタジーだから実はそういった現実的な状況とはかけ離れていて、僕は死んだ家族やペットを生き返らせようとは思わない。『フランケンウィニー』はリアリティではなく、もっと感情、心情の部分を表現した作品なんだ。
ーー今作の大きな特徴の一つはやはりマペットだと思うのですが、これまでの作品で使用したマペットは全て保存しているんでしょうか? また、監督が個人的に集めているマペットはありますか?
ティム:もちろんなるべく全部保存しているし、集めているよ。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のものとかは大事にしている。ただ、マペットは長持ちしないのが残念なんだよね......。
ーー今作は映像はもちろんなのですが、音楽、そして歌が非常に印象に残りました。特にエンディングでかかる『ストレンジ・ラヴ』は『フランケンウィニー』という作品そのものを見事に表現した感動的な曲となっています。そして、劇中でとあるキャラクターが歌う、ちょっと珍妙な曲も同じく印象的です。そこで今作の音楽を構成する上で、ダニー・エルフマンさん(音楽を担当)に特別指示したことはありますか?
ティム:確かにあの子が歌うあれは変な歌だよね(笑)。
もちろんどの作品でも音楽は大事にしているけど、ダニーのことは彼が昔やっていたバンド「オインゴ・ボインゴ」の頃から見ていて、その時から彼の音楽には映画音楽のようなテイストがあったんだよね。そして彼は僕に趣味趣向、感性がすごく近いんだ。だから自分の作品の多くで音楽を担当してもらっている。
今作に限って言えば、彼も僕と同じでモンスター映画に対する愛情があるから、モンスター映画に必要なものを表現してくれているし、そしてそれと同時に『フランケンウィニー』の持つエモーショナルな部分も上手く表現してくれていると思う。
ーー劇中にはフランケンシュタイン化したウィニー以外にも多数のモンスターが登場しますが、監督が一番好きなモンスター映画、モンスターはなんですか?
ティム:どのモンスター映画も大好きだよ。だからなかなか一つは選べないね。フランケンシュタインはもちろん好きだし、狼男、ドラキュラ、日本の怪獣に至るまで、どんなモンスターも好きだ。要するに、選ぶのが難しいからいろいろ登場させたってことだね(笑)。
ーー今作はある程度子供向けということも想定された、お伽話のような意味合いのある作品だと感じました。その中で、主人公のペットが亡くなるという辛い体験が描かれているわけですが、子供に伝えるお伽話全般にそういったほろ苦い内容というのは必要だと思いますか?
ティム:興味深い質問だね。僕はいつもそういったものに惹かれているから、恐らく無意識に必要だと感じているんじゃないかな。なぜなら、人生とはそういうものだから。人生は楽しいこともあれば、悲しいこともあって、明暗が混ざってできている。僕はそういう人生のあり方に引き寄せられて、作品を作っているんだと思うよ。
ーー本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
ティム:こちらこそありがとう。
終始ニコニコと笑顔で語ってくれた監督の言葉の一つ一つから『フランケンウィニー』への深い思い入れが感じられました。個人的には監督の実写モンスター映画も是非見たい!
映画『フランケンウィニー』は12月15日(土)3D/2D同時公開。監督が好きすぎてたくさん出したというモンスターの数々はもちろんのこと、作品内で実際に登場したマペットが展示されている「フランケンウィニー アート展」は12月23日(日)までビックロにて開催中です。
(スタナー松井)
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