ブラット・ピット主演の『ワールド・ウォーZ』には、膨大な数の荒れ狂うゾンビ達が登場します。彼らは、エルサレムの高い塀をピラミッド状になって上り、バスを倒し、階段からドミノ倒しになり、ヘリコプターを墜落させます。こんな群衆、一体どうやって作ったのでしょうか?
このシーンの大半を担当したのは、ロンドンに拠点を置くMPCスタジオのVFXチーム。彼らは、通常であれば、人が重なり合ったり、ぶつかり合ったりするのを避けることを目的に使うAIを利用して、ゾンビが群れをなして重なる様子を再現したそうです。
では、以下から「io9」が紹介したWIREDの「ゾンビの大群の作り方」の動画をどうぞ。
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MPCが使ったのは、インハウスクラウドツールの「ALICE」。本来なら、クラウドがぶつからないようにするのですが、今回は群衆が重なり合うようにしています。
MPCのCGスーパーバイザーであるマックス・ウッド氏曰く、このゾンビの群衆シーンはモーションキャプチャーのデータをAIクラウドシステムの「ALICE」に落とし込み、レンダリングして作られているそうです。アーティスト達は、レンダリングした絵を見るまで、何がどうなっているのか把握することが出来ません。
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ゾンビがピラミッドのようになるシーンは、まず始めに、ゾンビ達がどのような形成に群れるのかを大まかにモデリングし、それから上って行くゾンビや落ちて行くゾンビのモーションキャプチャークリップをレイアウトしました。このシーンには、約5000体のゾンビが使われています。
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バスのショットには、「ALICE」でクラウドをシミュレーションさせた後、アニメーションのディテールを加えて表現。ヘリコプターのシーンは、実写とCGの両方を使ったとのこと。ストリートシーンのゾンビは、流れるような形状を作るために、次から次へとやってくるゾンビ達を、前が盛り上がるように倒れさせたそうです。
また、Digital Artによると、ゾンビの動きの全てがAIのクラウドという訳ではなく、複雑な動きは手付けアニメーションで、落ちたり地面に着地したりするゾンビには、HavokフィジックスエンジンがベースとなったインハウスツールのPAPIを使用。そして、より大規模なクラウドに関しては、「ALICE」に組み込まれたクロスを使ってシミュレーションしたとのことです。
[via io9]
(中川真知子)
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