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アメリカのベストセラー作家であり、映画化作品や『スプリンター・セル』、『ゴースト・リコン』等のゲームの監修でも知られる、トム・クランシーが10月1日、66歳で亡くなりました。 今回は、彼が生みだした素晴らしい作品の数々を振り返りたいと思います。 


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小説版『レッド・オクトーバーを追え!』


トム・クランシーはアメリカのメリーランド州ボルチモアで、保険代理店を経営しながら、余暇に書いた小説『レッド・オクトーバーを追え!』で1982年にデビューを果たします。同作は後に大統領のロナルド・レーガンから賞賛され、アメリカで大ベストセラー作品となりました。

また同作は、軍事技術の描写が優れていたため軍関係者からも人気を博し、米軍の高官達と会う機会に恵まれ、その経験が後の作品に生かされていったんだとか。2作目となる小説『レッド・ストーム作戦発動』も緻密な現代戦の描写が行われていますが、戦闘シーンは、共著のラリー・ボンドがデザインした海戦ミニチュアゲームハープーン』を使い、艦船のミニチュアを並べてシミュレーションしたものをベースに書かれたのだとか。

そして、3作目『愛国者のゲーム』を執筆。『レッド・オクトーバーを追え』で活躍したCIAエージェントのジャック・ライアンが再び主人公に。彼を主人公にしたシリーズは(関連作を含め)16作も執筆され、彼は作中でアメリカや世界を幾多の危機から救い、最終的に大統領の座につくというアメリカ版島耕作的な出世を成し遂げます。


レッド・オクトーバー
映画版『レッド・オクトーバーを追え!』


また、1990年にショーン・コネリー主演で『レッド・オクトーバーを追え!』が、映画化。それ以降、「ジャック・ライアン」シリーズは度々映画化され、高い人気を誇っています。 数あるトム・クランシー作品の中でも個人的に一番のお気に入りの作品は、シリーズでジャック・ライアンと共に活躍するCIAのエージェント、ジョン・クラークの誕生を描く小説『容赦なく』でした。


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『容赦なく』


スネークというコールサインで知られた海軍特殊部隊SEALsの元隊員のジョンが、麻薬組織に恋人を殺され、SEALsで学んだスキルを生かし麻薬組織に容赦無い復讐を実行に移しつつ、米軍とCIAからの要請により、戦争の続くベトナムに潜入する捕虜救出作戦を立案し準備を進めます。

そして、たった1人で麻薬組織を壊滅させ復讐を成し遂げ、救出作戦も成功させるという超人的な活躍をするストーリーです。 『メタルギア・ソリッド』のスネークと並び、ジョン・クラークは私の中学生の頃のヒーローの1人でした。ちなみに彼も出世して、小説『レインボー・シックス』では、国際テロと戦うため、世界中のエキスパートを集めて極秘裏に結成された多国籍特殊部隊「レインボー」を指揮する長官となります。 このような素晴らしい小説を世に送り出しつつ、トム・クランシーは、1996年にゲーム会社「レッド・ストーム・エンターテイメント」設立。1998年に自身の小説をベースとしたFPS『レインボー・シックス』を発売し、大ヒットを記録します。


レインボーシックス
『レインボー・シックス・ローグスピア』


ゲーム版『レインボー・シックス』は、小説同様に多国籍特殊部隊を主人公としており、各ミッションの最初にブリーフィングが行われ、他の隊員達はそこでの指示通りに動くという独自のシステムが導入されたゲーム。例えば、人質救出のミッションでは大きな音を立てると、テロリストが反応して人質を殺害してしまうため、タイミングを合わせて狙撃をした後、ドアを開け、フラッシュバン(閃光手榴弾)を投げ込み敵を排除し...などといった、緻密な作戦立案をする必要があるシステムでした。 さらに、一発でも銃弾を食らえば瀕死か死に至るというように設定されていることも相まって、いかにも特殊部隊な雰囲気が味わえ、当時の他のFPSとは大きく異なる軍事シュミレーション的なリアルさが魅力でした。


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『ゴースト・リコン』


加えてAIも素晴らしく、同作のエンジンは後に市街戦用の訓練プログラムとして米国国防省に採用されるほどのものに。この後、同社が開発したFPS『ゴースト・リコン』と合わせ、タクティカルFPSの人気を確立した作品です。両作品とも発売当時に夢中になって遊んだ記憶が蘇ります。


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『スプリンター・セル』


また、レッド・ストームの作品ではありませんが(同社の作品の発売元であり、後に同社を傘下に収める)、UBIソフトからステルス・アクションゲーム『スプリンター・セル』がトム・クランシーの監修のもと発売され、こちらも一大シリーズへと成長をしていきます。同作の主人公サム・フィッシャーのアイコンとも言える、緑に光る3つ目の暗視ゴーグルは超かっこいい。最新作『スプリンターセル ブラックリスト』は先日発売されたばかりです。

ベストセラー小説を連発し、現在で1億冊以上の本を売上げただけにとどまらず、ゲームにも緻密な軍事描写を持込み、後の作品に多大なる影響を与えたトム・クランシーですが、66歳でこの世を去りました。早すぎる死に世界中がショックを受けていますが、これからも彼の作品は広く愛されていくことでしょう。

ちなみに、彼の新作小説『コマンド・オーソリティ-(原題)』がアメリカで発売を控えており、「ジャック・ライアン」シリーズの30周年を記念して製作された新作映画『エージェント:ライアン』の日本公開も決まっています。どちらもファンとして非常に楽しみです。

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Tom Clancy Dead: Bestselling Author Dies At 66[Huffington Post]
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(傭兵ペンギン)