世界の天才たちが夢見た「すべてが可能になる世界」の謎を描くSFミステリー・アドベンチャー映画『トゥモローランド』。
今回は本作の監督であり、『アイアン・ジャイアント』や『Mr.インクレディブル』、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』等でもおなじみのブラッド・バード監督にインタビューしてまいりました!
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ブラッド・バード監督
――本作を製作する上で、一番影響を受けた作品はなんでしょうか?
ブラッド・バード(以下バード):私とデイモン・リンデロフ(脚本)が最も影響を受けたのは『未知との遭遇』ですね。『未知との遭遇』では主人公がUFOと出会い、そこから調査を始めますが、その流れは本作のストーリーにも近い部分があります。
しかし、それ以外の部分では『未知との遭遇』とは異なります。もっと言えば、これまでに『トゥモローランド』のようなストーリーの映画は無かったので、色々な失敗や苦労を重ねながら作っていきました。
――監督は多数のディズニー作品に携わってきていますが、他のスタジオと比べて、何か違いは感じるでしょうか?
バード:ディズニーも大勢の人間が関わっている会社なので、実際のところスタジオとして差というものは感じません。この言葉は使いたくないんですが、ディズニーという「ブランド」は、多くの人に大きな意味を持つものだということは事実です。
ディズニーにはその名前のために、大きな期待が寄せられます。そして、彼らはそれをとても大事にしているわけです。しかし、本作のような普通ではないストーリーで、規模の大きい、決して「安全」ではない映画を作る過程でも多方面において協力してくれたので、自由に作れました。
――ディズニーから指示やアドバイスはありましたか?
バード:大きな予算を動かす仕事ですから、色々と心配はありました。そして、ディズニーとは互いを尊重する関係を保ちながら話し合い、時には判断の違いが生まれることもありました。しかし、互いの意見に耳を傾けることで解決していきました。
映画に関わるアーティストが「みんなの意見なんて知るか! やりたいことをやるんだ!」といった態度をとる事はよくありますが、それは問題を引き起こすだけだと思います。映画には、大勢の人々が関わっていて、彼らの考えを聞くことで助けられることもあるんです。
時にはスタジオの言ってくることに抵抗することも大事ですが、同時にちゃんと聞くことも必要です。彼らは非常に頭のキレる人たちですからね。そして最終的には、その映画自体が自分がどうなりたいかを示してくれると感じています。
――本作に登場する謎の少女「アテナ」は予想外の方向の魅力を持ったキャラクターでしたが、そのアテナを演じたラフィー・キャシディさんは、どのような経緯で選んだのでしょうか?
バード:彼女を見つけられたのは、非常にラッキーでしたよ。
オーディションの段階で、彼女の父親がiPhoneで彼女を撮った映像を送ってくれました。その映像には3つのシーンがあったのですが、彼女はそれぞれの始まりと終わりに、サムズアップ(親指を立てるジェスチャー)をしたんです。
それを見て、彼女はスクリーンを明るくする力を持っていて、どんな時にも希望を持ち続けるというアテナのキャラクターにピッタリだと思いました。同時に、成熟した大人びた魅力を持っているのも、我々が求めた通りでした。
――アテナのアクションは、監督が今まで手がけてきたようなCGアニメのようだと感じたのですが、あえてそのように作ったのでしょうか?
バード:私はアニメーターでもあるので、実写映画を作る時もアニメーターの視点を持っていて、意図せずそうなってしまうのだと思います。
ちなみに彼女のアクションシーンはほとんど彼女が行っていて、CGはワンシーン以外使っていないんですよ。でも、人によっては私のCGアニメが実写映画のようだという人もいるんですよね。だから自分ではよくわからないです(笑)。
――監督は実写とアニメの両方で作品を作ってきましたが、どちらのほうがやりやすいのでしょうか?
バード:どちらもいろんな面で簡単であり、難しいですね。
アニメでは自分が何を作っているかは、映像化する前に把握できます。どうするかを決めなければ映像化できないですからね。あとは、そこから修正し、質を上げていくことになります。
実写では、一部の監督は多くのシーンをとにかくいろんな方向から撮って、編集に丸投げするという手法をとりますが、私はそんなやり方を「ゴミ演出法」と名付けるくらい嫌いです。
実写のいいところはそういう方法がとれるところではなく、偶然にいろんなシーンが生まれて、それを活用できるところです。アニメーションは事前に計画しないとできませんからね。
――とにかく明るいメッセージの込められた映画でしたが、映画の中で、近年の暗いエンタメ作品やディストピアものに対して否定的な台詞もありました。監督自身はそういった作品に対してどうお考えでしょうか?
バード:そういった暗いエンターテイメントは、人々が抱えている感情の表れだと思っています。地球の色んな所で酷いことが起こり、手の施しようがないことばかりです。30年前も同じくらい状況は悪かったですが、当時はまだ変えようという動きがあったと思います。
しかし今は、変えようという動きもあまり感じません。私とデイモン・リンデロフは、なぜ人々の感情がこうなってしまったのか、疑問を持ちました。世界の現状に対して、我々は行き先の分からないバスの乗客のように振舞っていますが、実際は自らハンドルを握って運転できるのです。
目標とする未来をしっかり見据えて、どんな障害でも乗り越えるという意志があれば、今日からでもその旅を始めることができると思っています。そんなことをテーマとした寓話として『トゥモローランド』を作ったんです。
『トゥモローランド』は6月6日(土)、全国ロードショー。
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(傭兵ペンギン)
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