• このエントリーをはてなブックマークに追加
プリキュアの「ごきげんよう」を読み解く【完結編】~スネ夫のママとプリキュアの意外な関係~
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

プリキュアの「ごきげんよう」を読み解く【完結編】~スネ夫のママとプリキュアの意外な関係~

2015-06-06 21:30
    プリキュアとスネ夫のママ!?


    ごきげんよう。

    前回前々回と、過去最大にひっぱってきたこの話題ですが、ようやく「完結編」となりました。


    【大きな画像や動画はこちら】

    巨大化したキノコから地球を救うため、ラムとの鬼ごっこに挑む諸星あたる! 記憶喪失装置のタイムリミットは刻々と近づいている。果たして、夕暮れまでにあたるはラムを捕まえることができるのか!?

    と、それは『うる星やつら完結編』のお話。


    うる星やつら完結篇、名作です

    ダーリン、浮気はダメだっちゃ!


    うる星やつらの映画版の中で唯一、原作を踏襲しており原作・映画両ファンからの評価が高い作品です。

    また、せっかくなのでちょっとだけうる星談義をしますと、うる星やつらの映画版でオススメを問われたら、僕はこの完結編ともう一つ、押井守監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を推したいところ。崩壊した世界でのメガネ(cv.千葉繁)の語りから始まるシーン。トンデモなIFミステリーの中で描かれる、あたるのラムへの思い、そしてラムの願い。押井節が詰まった本作は、シリーズ最高傑作とも名高いので、ぜひ御清覧を。

    さて、本編にもどりましょう。プリキュアとスネ夫のママとの繋がりの話です。いや、べつにスネ夫のママである必要性はなく、トンガリのママでもいいのですが、とにかく彼女たちには共通項があります。

    スネ夫のママは実はプリキュアだったんだよ!

    なんてわけではなく、お題として投げかけているのはその話し方、口調です。ここでスネ夫のママの口調を再現してみましょう。

    「あ~ら、ドラちゃま。ウチのスネちゃまがお世話になって。でも、あの子デリケートだから、しっかりと面倒見てもらわなきゃ困るざますよ」


    さて、このスネ夫のママの語りですが、実はこれ。『Go!プリンセスプリキュア』で多用されている「ごきげんよう」と同質の言語である「山の手言葉」であるというのです。

    ---------------------------------------

    山の手言葉


    山の手言葉(やまのてことば)とは、東京の山の手で使われてきた日本語の方言。江戸言葉とともに東京方言を構成する。江戸の上層武家が日常用いた言葉を基盤に、明治時代に成立した。日本語の標準語は中流階層の山の手言葉を母体として形成されたが、標準語と山の手言葉は同一ではない。


    敬語表現が非常に発達している。現代の首都圏方言や標準語ではあまり使われない敬語表現(後述)がある。


    代表的な表現
    ・ごきげんよう
    出会った時や別れの時に相手の健康状態を伺う意味合いを込めて交わされる。


    ・ざ(あ)ます
    山の手(麹町、番町)に住む婦人などの間で広まった丁寧語。彼女らのような有閑夫人のもったいぶった話しぶりを嘲って「ざあます言葉」とも呼ぶ。「〜でございます」を早口に言った「〜でござあます」がさらに縮まったもの。現在では金持ちや成金、上品ぶった人を表す役割語として使われることがあり、ドラえもん等で使用されている。


    ・あそばす
    「遊ぶ」の未然形に尊敬の助動詞「す」が接続して成立した尊敬語。「ざます」と同様に「あそばせ言葉」(「あそばせ」は「あそばす」の命令形)とも呼ばれる。「おいであそばせ」「ごめんあそばせ」のように、多くは「お・・・あそばす」「ご・・・あそばす」の形で用いられる。


    Wikipedia「山の手言葉」より一部を抜粋して引用


    ---------------------------------------


    つまりノーブル学園で利用されている挨拶、「ごきげんよう」は山の手言葉なのです。ひょっとしてノーブル学園の理事長である望月ゆめは、山の手周辺に住んでいたのかもしれませんね。


    学園長は山の手地域出身?

    スネ夫のママもノーブル学園生だったのかもしれません。トンガリのママも。


    なお、「ごきげんよう」単体の歴史というのも調査してみますと、「NHK トクする日本語」にその語源の一説を見ることができました。そちらによると、もともとは室町時代の初期に宮中の女官が、上品で優雅な言葉として使い始めた「女房ことば」の一つで、江戸時代には庶民の間でも使われるようになったそうです。

    やはりもともとは気位の高い方々の言葉だったようですね。それが江戸時代には庶民に広がり、明治に入ると一部は廃れ、しかし一部は地域に根付くと共に、山の手言葉へと進化していったのでしょう。

    皆さんが普段、何気なく使っている「ごきげんよう」には、こんな歴史があったのですね。みなさんも今日からごきげんようを使う時は、歴史を噛み締めながらお祈りください。さてさて、最後にもしかしたらこうなっていた? かもしれないIFの世界として、プリキュアたちの会話に山の手フィルターを通してみましょう。

    はるはる:あ~ら、みなみさま!! 今日も凛々しくてステキざますね! ごきげんよーー!!
    みなみさん:ごきげんよう。はるちゃまは今日も元気ざますね。
    きららちゃん:ふわぁ~...。ごひ(き)げんひょ(よ)う~...。あら、ごめんあそばせ。それにしても眠いざぁますねぇ......。


    こんなプリキュア、やだ。

    ©ABC・東映アニメーション


    『Go!プリンセスプリキュア』公式サイト
    プリンセスプリキュアってなぁに?[YouTube]
    山の手言葉[Wikipedia]
    NHK トクする日本語[NHK]

    キュアコグレ

    関連記事

    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2015/06/suneos-mother-and-precures-relativity.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。