「ステロイド」の機能と副作用


服用すれば筋肉モリモリでたくましくしてくれる反面、ニキビや肝障害、場合によっては心肥大などで命を落とす危険性を伴う「ステロイド」


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摂取してから身体の中でどう吸収され、どう作用していくのかを「io9」が紹介していましたので、その利便性と恐ろしい副作用について、ちょっとお勉強してみましょう。

スポーツ界で「ステロイド」と言えば悪者ですが、医学の世界では体内の炎症や免疫力を抑えてくれる、頼もしい味方だったりします(もちろん使用法に気を付けないと副作用がありますが)。

スポーツ選手が使うのは主にアナボリックステロイドで、一般的にはステロールや胆汁酸、コルチコイドなどがあります。他にも、主に炎症の治療に使用されるコルチコステロイドもありますが、これは最も影響が強いだけでなく、悪い影響も大きい代表格だそうです。

身体が感染によってダメージを受けた時、DNAに特異的に結合するタンパク質の一群である転写因子が特定の遺伝子に作用して炎症が起こります。この時にプロテインを発生させ、それが血管を広げて患部に注ぎ込まれ、赤みと腫れと発熱を引き起こすのです。

コルチコステロイドは遺伝子を抑制するホルモンで、細胞内の受容体が転写する(DNAの塩基配列をリボ核酸にコピーする)機能を停止させてしまいます。医学的で難しい話ですが、これが意外にも処方箋なしで買える局部的な安価なクリームから、処方箋が必要な厳重な取扱いを要する薬剤まで、あらゆる医薬品に含まれているのです。

能力を高めるのが、前述したアナボリックステロイドで、医療目的で局部的な患部に使用する点ではコルチコステロイドと同じホルモンですが、受容体を締め付けて能力を上げる代わりに、転写を止めてしまう作用がある点で異なります。


ステロイド 筋肉 増強 副作用

分子構造


筋肉は激しく使って筋肉組織にダメージを与え、それが修復&再構築される時に鍛えられ増加される......というのは、筋トレをしたことがある方ならご存知かと思います。筋肉痛が治っていく過程で、細胞がプロテインを出して筋肉を大きく強く育てるというわけです。これは誰にでも起こる自然現象ですが、ホルモン剤にはその工程を倍増させる作用があります。

その内の1つが、男性にはお馴染みのテストステロンです。元々は男性ホルモンの1種であるアンドロステンジオンという性ホルモンで、これが末梢組織でテストステロンとエストロゲンに変換されて出来たものの片方。

男性の筋肉量が女性より多いのは、このテストステロンの量が女性より多いからというのが理由で、筋肉が治癒する工程が早まるのもこれのおかげだそうです。つまり、筋トレをすると男性のほうが女性より早くマッチョになれます。

人間の成長ホルモンは、性腺刺激ホルモンのゴナドトロピンという名でも知られています。この役目はテストステロンとほぼ一緒。しかし検査で発見するのが、テストステロンよりも大変なのだそうです。その上、摂取してから2~3日で正常値に戻ってしまうとのこと。

しばらくの間、科学者達は死体からホルモンを採取し、一時的に検出可能な成長ホルモンを作っていました。しかし、これが最悪な退行性の脳疾患を広めてしまう原因になり、摂取していた人たちは服用を止めることになったそうです。

しかしながら、そうしたホルモン類の中でも有効的だったいくつかのうちが、アナボリックステロイドであり、1930年代には子供達のホルモン障害と大人の消耗性疾患を治す薬として使われていた過去があります。

これはスポーツ選手たちの間でも有名でしたが、効き目については保証されていませんでした。特に、1980年代に行われたテストで、運動能力が向上するアナボリックステロイドを摂取した人たちの半数には、持久力や耐久力などの向上が見られなかったそうです。

それにも関わらず、当時のスポーツ選手たちはアナボリックステロイドを服用することに意味を見出していたらしく、あちこちで常用されていました。そこで公衆衛生組合は、こうした広告で注意喚起を促していたようです。


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ステロイドの危険性を謳う公共広告


当時のスポーツ選手たちはより良い、そしてより強いステロイドを求めており、そこに登場したのが「クリア」とも呼ばれる、テトラヒドロゲストリノン(THG)というデザイナードラッグ(類似麻薬)でした。これは他のステロイドよりもアンドロゲン受容体とくっつき、早く、強く作用する薬で、ドーピング検査に反応しないように設計されたものだったのです。

ホルモンの中でも特にテストステロンは、筋肉増強だけを担っているわけではありません。これは部位によって増毛脱毛に作用し、ニキビや激しい感情の起伏を促す可能性があります。恐ろしいのは、男性が思春期に突入する時期にステロイド剤を使っていると、乳房の発達睾丸の縮小化が起こるのだそうです。


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ステロイドでおっぱいが育ってしまう


何故そんなことが起こるのでしょうか?

外部からテストステロンを大量に摂取するようになると、身体そのものがテストステロンの製造を止めてしまいます。常に一定量を摂取していれば自然な形に近いのでまだマシですが、ほとんどのステロイド摂取者たちは打っては止め、打っては止めと不定期に注射するため、それが男性ホルモン製造を止め、代わりに女性ホルモンのエストロゲンを増やす引き金となってしまうのです。

他にも、テストステロンの常用は睾丸を刺激する卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンを抑制してしまい、これが睾丸の縮む原因になります。とある男性は、処方されたステロイドを医療の目的で使っていたのにもかかわらず、キ○タマがブドウ大にまで縮んでしまい、余ったタマ袋がデロンデロンになったことでクレームを入れたという事例もあるのだとか......!! 

目的が何であれ、一度常用してしまうとこのような副作用が出てしまうステロイド。たとえ医療のためであっても、充分に気を付けて使う必要があるようです。

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How Do Steroids Actually Work?[io9]
転写因子[Wikipedia]
テトラヒドロゲストリノン[Wikipedia]

岡本玄介

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RSS情報:http://www.kotaku.jp/2015/08/how-does-steroids-work.html