小沢一郎記者会見 外国特派員協会での記者会見のご紹介

小沢代表は7月17日、外国特派員協会での記者会見に応じました。



日本外国特派員協会での小沢一郎代表の記者会見要旨

●安倍政権との経済政策の違い

 安倍内閣の経済政策は,小泉内閣とほぼ同質であり、自由競争により競争力のある企業、生産性の高い分野を成長させようというものだ。しかし、そこで得られた富は偏在し、多くの国民に再分配されることはない。たとえば、大企業の内部留保金が260兆ある一方で、一般国民の所得は低下している。この歪んだ政策を、安倍内閣は小泉内閣以上に徹底しようとしている。また、雇用の面でも、現在、非正規雇用が38%といると言われるが、今後、正規雇用を減らし非正規雇用の割合を拡大させる方向にある。医療分野でも、日本が誇る国民皆保険も破壊しようとしている。
 もとより、自由は人間にとって根源的なものであり、自由競争を否定するものではない。ただ、まったくの自由放任主義とでもいうようなやり方は、弱肉強食の動物の世界と同じになってしまう。民主主義は弱い立場にある多くの人間が安定した生活を営めるような社会を構築することで発展してきた。そういう観点からも、雇用、医療、農漁村、年金・・・、あらゆる分野でセーフティーネットをつくったうえでの自由競争であるべきだ。
 安倍内閣との経済政策についての根本的な違いは、私は正規雇用の促進など個人の生活を安定させ、それによって個人消費を拡大させることで景気を回復・拡大していくのが最良の方法と考えていることだ。とはいえ、大企業のもつ内部留保金を賃金や配当に強制的に回せとやみくもにいうのは筋が違う。たとえば、特定の年齢層を雇用した場合に税制上の優遇措置をとるなど、富の再配分を促す措置や政策を推進していくことが必要で、それが政治の責任だ。

●野党連合

 参院選には間に合わなかったが、非自民の立場の政党が協力できれば、必ず政権交代できる。国民はその受け皿ができることを望んでいる。昨年の総選挙でも自民党の獲得票数は前回に比べて決して増えてはいなかった。また、今年に入っての地方選でも、横須賀市長選に象徴されるように、自民党の敗北が目につき、国民は非自民を選んでいる。政党のエゴもあり、野党の協力体制をつくるのはなかなか難しいが、今後、国民の側からこうした声がもっと高くなってくると思う。受け皿づくりは、参院選後も続けていきたいが、私が主導すると、メディアが妨害するので善意の第三者として協力してやっていく立場になりたい。

●普通の国

 安倍内閣が提唱する軍事力を強化したり、あるいは愛国主義を鼓舞するような国を普通の国というなら、北朝鮮も普通の国ということになる。私がいうノーマルな国、普通の国とは安倍総理の考える国家像とはまったく違う。国民一人ひとりが自己判断と自己主張ができる、自立した国民が増えることが普通の国になることだと考えている。私はこれを常に訴えかけているが、日本はまだ普通の民主主義国家になっていないと思う。私の問題に関しても、私は古い体制を崩さないと新しい日本を生み出せないと信じているので、古い体制から利権を得ている人たちにとって大変危険な思想の持ち主と思われているようだ。しかし、意見の違いがあっても、その相手を権力をもって抹殺しようとするのは民主主義国家とはいえない。そういう意味でも、日本はまだ民主主義国家ではない。

●日米外交

 安倍政権のもとで、日米外交は危ういものになってきている。このことを、安倍総理や国民は真摯に受け止めるべきだ。たとえば、先のサミットでも同じホテルに宿泊しながら日米首脳会談が実現しなかった。同盟関係にある国が、ほんの少しの時間もとれないなど異常なことといえる。今後、安倍政権の右傾化は、国際的に批判されていくだろう。また基地問題については、前線に大量の実戦部隊を置くといういままでのアメリカの戦略に変化が見られ、沖縄に海兵隊を置く必要はなくなってきていると思う。極東の平和、有事即応の体制を考えたとき、沖縄を中心にどのような施設が必要か改めて考え直すべきだ。また、有事といってもいろいろなケースが想定されるので、米軍がくるまで日本が日本の領土をどう守るかも考えなくてはならない。日本が平和と経済だけで、国際的な責任を果たしていないと言われることについても、はっきり自覚しておかなければならないと思う。

●憲法問題

 自民党の改正案の骨子は、憲法9条2項を削除し「国防軍」を創設することと、97条の削除の2点といえる。これを実現しやすくするために96条を改正しようというのは乱暴な話だ。97条は最高法規の章で、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果でかつ永久の権利として獲得した基本的人権を削除しようと言うのはまったく信じられない。