「目ん玉飛び出るほどのうまい話があるんでさ〜〜〜。」
吉次は、なんでも奥州藤原氏の藤原 秀衡(ふじわら の ひでひら)が鞍馬寺に預けられた義朝の子に会いたがっていると言う。
「ぼっちゃん。」
「なんだい?」
「ぼっちゃん。」
そしてこんなことも・・・
もしも源氏と平氏の戦いがあれば秀衡が所有する18万騎が源氏に味方することなどを遮那王に語るのです。
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藤原 秀衡という人はかなりやり手で外交に関しては、巨大な経済力をバックに朝廷や平氏政権と友好的な関係を維持しながらも義経を匿うことで源氏とのパイプも築こうとしたのだ。
そんなことはつゆ知らず。源氏のぼっちゃん。遮那王は有頂天。
「ははははっははは!!!シャナナナナナーーーー!!これで平氏殲滅の目的はさらに近付く。くくくくく。」
遮那王は吉次の誘いで、鞍馬山を出て、藤原秀衡を頼って奥州に向かう決意をします。
その夜、嬉しさとこれまでの鞍馬寺のメモリーが走馬灯のように蘇り、遮那王は大粒の涙を流しました。
すべては、平家を抹殺するため。新世界の神に。
翌日には、都のあの出生の秘密を教えてくれた正門坊(しょうもんぼう)に挨拶に行き、その足で吉次ら商人一行とともに奥州に向かって出発したのです。
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