前回ご紹介した、美容やコスメのサービス。知り合いのIT女子や女性経営者の方から「日本にもあったらいいのに!」という声を多くいただきました。
サンフランシスコ・シリコンバレーは、日々新しいサービスが生まれている場所でもあります。そんな場所で、私が働くことになったこの連載。
今回は、UIデザイナーとして初めて依頼された仕事のお話です。
初めての仕事依頼はFacebookメッセンジャーからいま関わらせてもらっているサンフランシスコのデザイン会社のオフィスの窓。
私がモバイルUIデザイナーとして初めてアメリカの仕事が入るようになったきっかけ――。
それは、通っていた学校の仲間が、私のデザインを人に紹介したことから始まりました。
ある日、Facebook経由で突然飛んできたメッセージ。
「君と同じ学校を卒業した僕の友人が、君のFacebookの投稿をシェアしているのを見たよ。それでピンときたんだ。僕がいま作っているiOSアプリのデザインを手伝ってほしい」
これを見て、なんだかおもしろそう! と感じ、すぐに値段交渉を開始。結果、 お互い納得のいく仕事をすることができました。
デザイナーとしての初めての仕事に、不安や戸惑いはなかったか。
そう聞かれるとゼロとはいえませんが、学校で身についた開発手法や技術者としてのマインドはこの時のデザインの仕事に大きく役立ちました。そのひとつに、アジャイル開発というものがあります。アジャイル開発とは、アプリ開発の工程において、短期間で軽量に改善を繰り返す手法のこと。
私は、ある程度ならこの手法をデザインプロセスにも導入することができると気がつきました。
ビジネスと顧客のフィードバックに基づいてUXを作り上げ、それに少しずつ磨きをかけていく。シリコンバレーのIT業界の競争は激化し、それに伴い開発手法や技術者のマインドも素早く変化してきているのです。
それを実際に肌で感じられたことは、とても良い経験だったといえるでしょう。
私はもっともっと仕事の幅を増やしたいと考え、この仕事の成果を「どのようにデザインしたか」という説明も添えてportfolioに載せました。その後、期待に応えるかのように、 ニューヨークのWEB制作会社、カナダのスタートアップから次々と問い合わせがくるようになりました。
ブランディングの重要性お気に入りのアイスコーヒーを片手に街を散歩。
人生ってなんだかおもしろくできているのかもしれない――。
最初に仕事を依頼してくれた彼は、いま、FacebookでiOSエンジニアをしています。いまでもオフィスへ遊びに行ったり、情報交換をしたりする仲になりました。
いまの時代、デザイナーがSNSで自ら積極的に発信することはとても大切なこと。
さらに、自分がどんなプロジェクトに取りかかりたいのか、将来どういう人と関わりたいのかをよく考えたうえで、発信するものを吟味する、つまりブランディングしていくこともとても大事なことなんです。
それは日本だけではなく、むしろ世界で活動する人たちはより綿密にブランディングをすることが重要だと身を持って感じています。シリコンバレーで働くデザイナーは、このブランディングが非常に上手で、自分の得意分野や興味分野の表現の仕方をよく知っています。
シリコンバレー流・仕事への姿勢サンフランシスコの好きな道のひとつ。
アジャイル開発やリーン開発は日本のソフトウェア開発環境でも導入されているので、日本もアメリカもそれほどは変わらないはず。
ただ、シリコンバレーが他の場所と異なるのは、世界中から様々な背景や国籍を持った技術者が集まってきて、様々な意見がネイティヴではない独自の英語で飛び交っていること。
するとどうなるかというと、人はより多様性を受け入れるようになるし、それと同時に、自分の意見をより直接的に相手に伝える必要が出てきます。
英語という言語の持つ「シンプルさ」や「論理的思考」は、こういった状況に非常に適していて、1件のメールのやりとりを完結にしたり、会議の時間を短縮させたりしています。
最初は戸惑うかもしれないけれど、一度慣れれば非常に気持ちよく仕事ができるようになるのです。
英語を覚えるだけで、仕事の幅も活躍の幅も広がるこちらもサンフランシスコの好きな道のひとつ。
そして、日本人が海外で働くときに壁となるのがこの英語。
「英語で仕事するのは大変じゃない? 怖くないの?」と心配する人がよくいます。
でも実際は、最低レベルの英語を知っていて、言葉の文脈を汲み取るのが上手な人であれば、さほどハードルの高いものではありません。
とくにデザイナー、エンジニアは特殊な職種のひとつで、場所にとらわれずに働くことができる仕事。だからこそ、技術者の人には少しでも多く英語を覚えて活躍の場を広げてほしい! シリコンバレーにいるとそう感じます。
そんな想いで、私はこの連載を更新しています。
次回はカナダの会社で働いている時に経験した珍しくておもしろい話を。
続く。
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